先月SPITFIRE AUDIOから新作音源「BBC Symphony Orchestra」が発売されました。
https://www.spitfireaudio.com/shop/a-z/bbc-symphony-orchestra/
フルオケに必要なほぼすべての楽器が揃っており、それが10万円程度で買えるということもあって気になっている人も多いかと思います。実際コスパという意味では非常に優れていると言えるかもしれません。
音色はSPITFIREらしく美しいものですが、SPITFIREらしくメモリ食いでもあります。今回はその辺のところを書いてみようと思います。
・実際どのくらいメモリを必要とするのか?
ぶっちゃけ32GBではまるで足りませんし、64GBでも足りないでしょう。僕のPCはメモリ32GBですが、最低限を本当にギリギリロードできるくらいです。ギリギリすぎて場合によってはアプリごとクラッシュしてしまうので実質ギリギリアウトです。
この音源の売りのひとつとして、多彩なマイク位置を設定できるというのがあります。Close、Treeから始まってStereo、Close wide、Mid、Side、それから各種ブリード…すべて合計すると20種類あります。
先ほどの最低限というのは、このうちの1つだけをロードするという意味です。最低限が32GBだと仮定して、20種類すべてのマイクを自在にコントロールしようと思ったら単純計算で最低640GBのメモリが必要になります(笑)。そんなにメモリを積めるパソコンなんてmac pro 2019くらいしかありません。
使うマイクは1種類だけと決めておけば64GBでも安定して使うことはできると思います。
・必要なディスク速度は?
もっともよく使うであろうアーティキュレーションはレガートだと思いますが、レガートは複数のサンプルを組み合わせて鳴らしているため、1回のキーオンで5 voiceほど消費します。高速で連打を繰り返すと最大で50 voiceほどになります。それだけディスクはのアクセス回数が増えるのですから、かなり高速なストレージでないと処理が追いつかなくなります。
僕が使用しているストレージは2.5インチ Crusial MX500ですが、ゆっくりとした曲であれば気になりませんが高速フレーズが頻繁に登場するような(例えばワルキューレの騎行のような)曲ではあっという間に音切れが発生します。
この問題の簡単な解決策はサンプルのプリロードメモリを増やすことです。ただしその分メモリの使用量が増えます。そうなるとメモリ64GBでも対応しきれなくなってくるかもしれません。どにかく可能な限り高速なストレージを用意する必要があります。そうなるとPCIe4.0/NVMeのM.2とかですかねぇ。
・結論
フルオケを演奏しないのであればメモリ32GB+2.5 SSDでも大丈夫。
フルオケを演奏したいならメモリは最低でも64GB必要。さらに高速なストレージも別途必要。
フルオケを演奏させつつ、マイクも自在にコントロールしたいならメモリは最低でも640GB。できれば1TBくらいは欲しい。