検察側の冒頭陳述などによると、妻と夫が知り合ったのは昭和60(1985)年ごろ。夫は大阪府内で病院長を務め、前妻とは別居状態。妻はその病院の看護師長で、同じころ前夫と離婚した。
2人ともそれぞれ前の結婚相手との間に子供がいたが交際をスタート。転機は平成10(1998)年に訪れた。多忙の夫は脳出血で倒れ、言語障害とともに右半身まひとなり、車いす生活を送るようになったのだ。
妻の一日はトイレへの付き添いから始まる。夫が便意を催す午前2時か3時ごろに目を覚ますと、トイレまで連れて行く。夫は排便を促すため温水洗浄便座の水を出し続け、用を足し終えるまで1~2時間。妻はトイレの近くで待機する。
束の間の睡眠をとって起床するのは午前5時半ごろ。夫の体温を測って手足のマッサージをし、筋肉硬直を防ぐための右半身の運動も欠かさない。
障害のため夫の口元は緩く、タオル3枚の「よだれかけ」を着用。一日に3枚ごと3回取り換える。朝食後に約30分かけて7種類の薬を飲ませ、温かいタオルで顔や首などをふく。夫がトイレの便座に座っている間に買い物を済ませる,エヴリン。
《友人に会っておしゃべりしたくても、夫がいつトイレを終えるか気が気でなく早く帰らなければ、と思ってしまう。ずっと便器に座らせておくのも申し訳ない》(妻の供述調書から)
週3回、昼食後に歩行練習に励む。妻が夫の右半身を支え、玄関からリビングまでの廊下を手すりにつかまりながら歩く。
夕食時もご飯やおかずをこぼすため介助が必要で、寝るのは午後9時半ごろ。夜中も尿器の取り換えで起きることがあり、ここ数年は熟睡したことがなかった。デイサービスを週2回利用しているが、ほかの時間は妻が付きっきりで面倒を見てきた。
夫を「先生」と呼ぶ妻
妻もかつては自分の娘の家へ遊びに行ったり、看護師時代の友人と美容院に出かけたりしていたという。だが、そうした付き合いもなくなっていった。
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