兵庫県公館 | ウルブリヒトのメモ帳

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兵庫県公館
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この建物は、兵庫県の4代目本庁舎。設計は山口半六氏、明治35年完成

山口半六なる建築家は、
1858年生まれの明治期の建築家で、日本で二人目の工学博士とのこと。
パリ留学の後、文部省にて学校建築に寄与し、省を辞した後、
この兵庫県公館建築中の明治33年、惜しくも急逝する。
ちなみに、後に海軍中将で有名な山口多聞は、半六氏の甥にあたる。

代表作としては、
熊本大学五高記念館(旧第五高等中学校本館)
石川近代文学館(旧第四高等中学校本館)
旧東京音楽学校奏楽堂、があり何れも重文で現存する。


この公館は、残念ながら戦災の被害により、内部と天井を消失している。良く見ると満身創痍である。
昭和60年、庁舎から公館に改造の際、特徴あるマンサード屋根を復元した。
また、中庭のあった部分は、現在ホールとして全て室内に変更されている。
このホールでは、震災追悼の催しが天皇臨席のもとで複数回、開催されている。

さて、
このように当時の面影は偲ぶことが出来るが、幾分改造されているため、
館内に明治期のオリジナルの姿の模型(1/50)があったので、この模型写真も交えて紹介。

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特徴は、マンサード屋根を2つも頂いていることだ。(現在は1つのみ)
これはやはり山口半六がパリで学んだことによるものであろう。
フランスの復古的ルネサンス様式を正調として取り入れて、ルーブル宮のファサードを連想させられる。

他の校舎の作例では、マンサード屋根は見られないので、庁舎建築としての意気込みが感じられる。
しかし完成を見ずに亡くなったとは大変残念なことだ。こうして作者が亡くなっても,
建築は生き続けていることは、生みの親としては喜んでいることだろうと感じる。

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見所のポイントは、
ファサード~明治後期の庁舎建築の様式を残していること
玄関と門番所がほぼ当時のままである
館内の精密模型
東側のファサードに戦災痕と思われる大きな補修部がある

現在は、無料公開されており、兵庫県政の歴史と現在の兵庫県の姿が公開されている。
兵庫県は、7旧国・3道・畿内から連合形成しているので、その推移を見るのも面白い。