「 本能寺の変 」 （ 柳柊二 ・ 画 ）
● 織田信長の夢も、幻の如く 消え去り、戦乱の世は、豊臣秀吉が
全国支配へと、強引に推し進めていきました。
権力を掌握するまでの 秀吉は、なかなか 魅力的なのですが ・・・・
（ １５８５年までは、羽柴秀吉。
１５８５年に、関白太政大臣になって豊臣秀吉。
１５９１年に、太閤に。）
（ 柳柊二 ・ 画 ）
完成した大坂城 天守閣 （ 水戸成幸 ・ 画 ）
※ 完成した大坂城天守閣の近くに、教会を建てる許可を得るために、オルガンチーノ神父と ロレンソたちが 訪ねて行った時
（ １５８３年 ）
「 （ 羽柴 ） 秀吉が、司祭 および 同行した ロレンソ修道士に示した好意と歓待ぶりは、実に驚くべきほどで、
身分ある家臣たちは、彼が この国の仏僧たちに対するのとは 打って変わった柔和さと温情をもって 彼らを遇するのに接して、驚嘆した。
秀吉は、司祭を そこに長時間留め、やさしく きわめて愛情に満ちた
言葉で親しく語らい、次のように述べた。
『 伴天連らが遠国からはるばると、教えを説くために渡来した辛酸労苦は非常なものだ。
伴天連の望みを叶え、極上の敷地を進ぜよう。
その土地は、他の大勢の者に断った場所だ。
申し出た教会についても、何びとの妨げも受けず、随意に 建築することを許可しよう。』
オルガンチーノ神父が、お別れの挨拶を告げた後、
秀吉は、自ら 城外に出て行き、
我ら イエズス会員に与えることに決めた地所に赴き、それを測量させたところ、長さ 約 １３０ｍ ・ 幅 １１０ｍ 近くあった。
秀吉は、自ら、その地所の所有権を、同行していた ロレンソ修道士
に与えた。
そして、 『 伴天連たちが、多くの樹木を植えることが出来るようにと、こうした 広々とした敷地を与えることにしたのだ。』 と言った。」
（ 柳柊二 ・ 画 ）
※ ある日の 羽柴秀吉と ロレンソとの会話 （ １５８４年 ）
ロレンソ修道士は 古参であり、五畿内の すべての諸侯に知られており、それらの人たちと 自由闊達に語らいました。
羽柴秀吉は、多年にわたって ロレンソを知っていて、
過日、ロレンソと 長時間、談話に耽りました。
その対談中、秀吉は 冗談半分に、ロレンソに対して 言いました。
「 もし 伴天連らが、予に 多くの女を侍らすことを許可するならば、
予は、キリシタンになるであろう。
その点だけが、予には、デウスの教えが困難なものに思えるのがが。」
すると、ロレンソは、同様に からかい半分に答えて言いました。
「 殿下、私が許して 進ぜましょう。キリシタンに おなり遊ばすのが
よろしいと思います。
なぜなら、殿だけがキリシタンの教えを守らず、地獄に行かれることになりましても、
殿が キリシタンになられることによって、大勢の人が キリシタンとなり、救われるからでございます。」
秀吉は、ロレンソ修道士の、この返答 および これに類した話を聞き、大声を発して笑い、満悦げだったのでした。
（ 水戸成幸 ・ 画 ）
※ コエリョ 日本副管区長が、大坂城に、表敬訪問した時
豊臣秀吉と ロレンソ修道士 最後の謁見 （ １５８６年 ）
髙山右近 ロレンソ コエリョ フロイス
豊臣秀吉は、フロイス神父と ロレンソ修道士が一緒にいましたので、１５６９年の 織田信長の面前で行われた、日乗上人とロレンソとの
宗論のことを思い出していました。
日乗が 激怒して、信長の刀を握って ロレンソを斬りつけようとしたところに、秀吉もいたのでした。
「 予も その場に同席していたが、予は 貴殿らの味方であった。
もし 今であったならば、あの坊主が ああした無礼なことを、貴殿ら
に振舞うことは なかったであろう。
なぜなら、予は即刻、坊主を殺してしまうであろうから。」
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