【 千々 の 悲しみ 】 | 高山右近研究室のブログ

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監修 右近研究家・久保田典彦
http://takayama-ukon.sakura.ne.jp/

 

 

 

Q. 天正遣欧 少年使節が、豊臣秀吉の前で 演奏した曲の名前は、

わかっているのですか。

 

A. 1591年3月3日。京都 ・ 聚楽第において、

 関白 ・ 豊臣秀吉と、インド副王使節としての ヴァリニャーノが謁見

した時に、帰国した 四人の 天正遣欧使節たちも同行し、秀吉の面前で 西洋音楽を演奏しました。

 

 その時の様子が、「 フロイス 日本史 」 第5巻 26章 に記されています。

 

 「 関白は、四名の公子に音楽を奏でて 聞かせてもらいたいから、

自分の前に出るようにと 命令した。そして、そのために用意されていた楽器が ただちに届けられた。

 

 クラヴォ ( ヴァージナル ・ チェンバロの前身 )、アルパ ( ハープ )、ラウデ ( リュート?)、ラヴェキーニャ ( ヴァイオリンの前身 ) の楽器を演奏し始め、それに歌を合わせた。

 彼らは、イタリアと ポルトガルで それを十分 習っていたので、りっぱな態度で、実に品よく 軽やかに奏でた。

 

 関白は、これらの音楽を 非常に注意深く、かつ 珍しそうに聞き、彼らをして もっと歌を歌わせた。

 というのは、公子らは、関白への敬意から、彼を煩わせてはいけないと思い、少しく楽器を奏でた後は、弾奏を中止したからであった。

 

 関白は、同じ楽器で 三度、演奏し 歌うことを命令した。

 

 その後、楽器を一つずつ 自らの手にとって、それらについて 四名の

日本人公子に 種々 質問した。

 

 なお その他、彼は ヴィオラ ・ デ ・ アルコと レアレージョ ( 携帯 風琴 ) を弾奏するように命令し、それらのすべてを きわめて珍しそうに観察し、彼らに種々 話しかけ、

 “ 汝らが、日本人であることを 大変 うれしく思う ” と述べた。」

 

● この時、関白 ・ 豊臣秀吉の前で 演奏された音楽の曲名は、記されていませんので わかりませんが、

 

 その内の一曲について、皆川達夫さんは、

 彼ら 遣欧使節が ヨーロッパ旅行中に 盛んに演奏されていた

 「 Mille regretz ・ ミル ルグレ 」 ( 千々の悲しみ ) に違いないと、

推察されています。

 

 ルネッサンス期の作曲家 ジョスカン ・ デプレ の曲ですが、

 スペイン国王 ・ カルロス一世 が こよなく愛したことから

 「 皇帝の歌 」 とも呼ばれるようになった 美しい曲です。

 

 歌詞は、当時 音楽先進国であった フランドル ( 今の ベルギー辺り ) の言葉の、フランス語です。

 

 天正遣欧使節が、関白 秀吉との 聚楽第での謁見の際、天下人に

ささげるのに 最も ふさわしい曲として 演奏されたのではないかと推定されています。

 

 

 ※ どんな曲なのでしょうか。

 

https://www.youtube.com/watch?v=8WuQ0FFo8xA

 

https://www.youtube.com/watch?v=gArCoxd5QPA

 

https://www.youtube.com/watch?v=uv-LgLq_wmY

 

 

 

 ※ 楽譜は こちら。

   2段目と 6段目の ♪ファ は、 ♪♯ファ が、よいようです。

 

http://chris.art.coocan.jp/gleewiki/?%A1%DA%B8%A6%B5%E6%A1%DB%A3%C1%A3%C2%A3%C3%C9%E8%A4%CB%A4%E8%A4%EB%A1%D6Mille%20regretz%A1%CA%C0%E9%A1%B9%A4%CE%C8%E1%A4%B7%A4%DF%A1%CB%A1%D7

 

 

 ※ 曲に合わせて、歌詞を 私訳 してみました。歌うことが出来ます。

 

        千々の悲しみ

        あなたを残し 別れるゆえ

        千々の悲しみに 暮れてゆく

        この悲しみと苦しみ

        あまりに大きすぎて

        私は まもなく 消え果ててしまう

        千々の悲しみ

 

 

 

   ※ 昨日 ( 8/16 ) の、 思い出の 一枚 【 初めての 登山 】

 

 

 

 私 ( 久保田 Ukon 典彦 ) は “ 四人きょうだい ” ですが、

 昨日、みんなが集まった時に、6歳上の兄が、

 「 珍しい写真が 出てきた!」 と言って、思い出の写真を持ってきて

くれました。山好きの兄が、大学生だった私を 「 木曽駒ケ岳 」

連れて行ってくれた時のもので、

 私には、初めての 登山らしい登山でした。 感謝!

 

 

 

 ※ [ Archives ] ( アーカイヴズ ・ 記録保管所 )

 

https://ameblo.jp/ukon-takayama/entry-12102298415.html

 

https://ameblo.jp/ukon-takayama/entry-12135683847.html

 

 

 

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