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監修 右近研究家・久保田典彦
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フロイスさん ありがとう!

 ルイス・フロイス著の「日本史」を、ていねいに読了しないで、キリシタンのことを、わ かったように語るなかれ!
 ※(完訳:松田毅一・川崎桃太 / 中公文庫・全12巻)

 ルイス・フロイス宣教師が、十数ヵ年、精魂を傾けて執筆した「日本史」(Historia de Iapam)ですが、実際、どれだけの人々に読まれ、用いられていったのでしょうか?

 フロイスが書き記した原本は、上長の巡察師ヴァリニャーノから「短いものにまとめるように」と言われ、ローマのイエズス会総長宛には送られないまま、マカオのイエズス会学院内の書庫で埋もれたままになってしまいます。 

 フロイスは、1597年に長崎で召天しますが、18世紀(1720年頃)になって、ポルトガル 政府の方針で、海外の同国関係文書が謄写されまとめられていった時に、写本が作られますが、原本そのものは、1835年の学院の火災で、他の文書と共に、地上から姿を消してしまったのです。
何とか残された写本も、分割されて、いくつかの場所に分散され、20世紀になって、別々に発見されていきました。

 ということは、せっかくのフロイスの労作・大作ですが、ほぼ、誰にも読まれず、用いられるということもなかったようなのです。

 現代ではどうなのでしょうか。「日本史」のほとんど大部分は、ポルトガル語によってすら、活字化されてはいません。ということは、読まれてはいません。

 唯一、この名著・大著が読まれているのは、現代の日本においてです。それは、松田毅一・川崎桃太の両氏が、精魂こめて、訳注付で、完訳してくださったおかげです。
 ただ、これほど恵まれている現代の日本なのですが、髙山右近やキリシタン達に関心がある人たちであっても、さてさて、どれだけの人たちが、読了しているのでしょうか?
もったいな~~い!!

 フロイスさん、そして松田毅一さん・川崎桃太さん、ありがとうございます!!!

※ 横瀬浦に建つ「ルイス・フロイスの像」

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