笑えるセックス | Fuck and Shit

Fuck and Shit

朝起きて、顔をあらって、ご飯を食べて、仕事して、お風呂につかって、次の日のためにベッドで眠る。

そんな日常が、うれしかったり、さみしかったり、悲しかったり、退屈だったり、愛おしかったり。

どうしようもない片思いを継続して2年と少し。


最近は、中毒症状も現れることなく、順調に離脱中。


そんなタイミングで、久しぶりに「One night stand」ってやつを体験してしまった。



なんてゆーか、あんなにしつこく口説かれたのも初めてだったし、今日はじゃんけんで負けたし、運が悪かったと思って俺とセックスして寝よう、なんて、ストレートに言われたのも初めてだった。



そんなつもりなかったの とか言うのは「スイーツ(笑)」系の女の子の言い訳だと思ってたけど、本当に、そんなつもり、これっぽちも、微塵もなかったのだ。



彼とは職場で、一度くらい顔を見たことがあるものの、話したのは初めて。


よく通る声で話す人で、話すとおもしろそうだな、と思っていた。


身長は小さく、すこしポッチャリで、犬みたいな顔をしている。


昨日は友達が企画した飲み会だった。


犬みたいな彼は、一次会でもアホみたいにしゃべり倒していて、2次会でも元気に歌を歌っている。


タクシーに乗るのは5人で、あたしはと彼はグーを出して、他の人はパーを出したので、あたしは彼とタクシーに乗って帰ることになった。


本当にただそれだけだったのだ。お互いに。それなのに!



タクシーの中で、さぁ一緒に降りるぞ、いや、何言ってるの?家かえるし!なんてやり取りを5分繰り広げて、タクシーの運転手さんに嫌な顔されながら、車から超強引に引きずり降ろされて、「何もしないから」「セックスなんて考えてないよ」「ちょっと家寄ってよ」「大丈夫、変なことなんてしないよ」などなど、堂々とどうしようもない口説き文句を羅列する彼。



極め付けに「じゃんけんで負けたんだから運が悪かったと思ってさ」なんて、ってゆーか負けてないし!あれはじゃんけんじゃなくグッパーだし!


プライドなんて、ちっともない。どうやら必要としていない様子。



本当に超超超超超超超超しつこかったので、そのしつこさと、強引さと、相手の気持ちなんてちっとも考えない傲慢さに負けて、結局セックスをしたんだけど、それがそれが、すっごく楽しかったのだ。



ここ2年、どっぷりと片思いの恋にはまっていたので、相手とするセックスは、幸せで不幸せでせつなくて苦しくて悲しいものだった。


彼に抱かれたくて、抱かれたくて、待ちに待ったセックスのあと、どんなに素敵なピロートークやまどろみがあったとしても、それはなんていうか、どうしても、自分でもびっくりするほどドロドロしていた。



けれど「俺は今日、どうしてもやりてーんだよ!」と言い切る犬みたいな彼のセックスは、ほんとになんか、そんな思いひとつもなくて、とてつもなく明るい。



超超超超超超超しつこい口説きに、断るのにも疲れてきて、「負けました」と、笑いながらとうとう家に上がるバカな私。


部屋のつくりはオシャレ部屋なのに、肝心の内容は、女の子を意識したり、オシャレを意識したりする様子はちっともない。


テーブルにはエロDVD・スロットの本、くしゃくしゃのまま干してある洗濯物、トイレにはしぼったままの雑巾、風呂には髪の毛、オシャレとは程遠いカーテン、汚いシーツ、といった正真正銘「男の部屋」!


靴を脱いで家に上がったとたんに、「そこシャワーだから。はい、タオルっ!」といそいそと言う彼。


あからさますぎて、爆笑してしまう。どんだけやりてーんだよ!



バスマットはプーさん。バスタオルはポップな花柄。



シャワーから上がると、彼は毛玉だらけのスエットに、無地のグンゼの白のTシャツを着て、コンタクトをはずしている。


初対面の相手とセックスするのに、そんな姿。ふつーのおっさんだ!!


「おっ うちのシャワーはどうだった?俺も入ってこよーっと。」とまたしてもいそいそと言っている。



こういうのって、なんか、高校生とか大学生みたい。



彼は家の向かいのコンビニで、化粧水と歯ブラシを買ってきてくれて、2人で歯磨きをしながら、初対面の2人は一緒にベッドに入る。


笑いながら、キスをして、抱き合って、笑いながらセックスをして、愛なんてちっともないのに、なんでこんなに楽しいんだろう。



セックス中にも話すことをやめない彼は、寝ても寝言を言っている。寝ていても笑わせてくれる。



ずっと片思いをしていた彼は、あたしが夜中に帰るといっても、玄関まで送ってくれたことなんて、一度も無い。




けれど、楽しいセックスをして、恋愛感情というものがかけらもない犬みたいな彼は、ちゃんとあたしが起きると言っていた時間に目覚ましをかけて、キスをして見送ってくれた。




愛のあるセックスなんて、一体何のことを言うのだろう。



恋愛感情をはさまない犬みたいな彼とのセックスは、愛のあるセックスではないのだろうか。




ちっともかっこよくなくて、ただ声はすごく素敵で、身長も低いし、センスもよくない。


けれど、彼が女の子にモテる理由がよくわかった。


気持ちよく、笑わせてくれる。それは本当に、気持ちがいいのだ。


裸でくっつきながら、そこには何も無いんだけど、それでも彼の懐は暖かい。


かっこ悪さや、プライドや、モラルや、そんなものとっぱらって、「俺はセックスが好きなんだよ!」と言い切ることができる彼。なかなかいない。



「俺とセックスしてよかっただろー?そうだろー?俺はそう思うんだよ、やってみろって!」とよく通る声で、元気に言っていた。



少し元気になったはずなのに、裸でごろごろしたせいか、今日は38.5度の熱を出して、仕事を休んだ。


ちっくしょー まだまだだな。