「おっ。チビ帰ってきたか」
「はいー。車酔いもなんとか・・・。
先輩のテープのおかげで気が紛れてよかったです♪」
「お前はなんもわかってないなーぁ・・・
これだからお子ちゃまは」
「いや、わかってますよ?」
「・・・・・・」
「先輩、私ね、先輩のことウザいって思っていたけど(笑)
でも、好きですよ!!」
・・・・・・・・・
「おぉっ!そうか!?
わかればいいんだよ!!わかれば!アッハッハッハ!
ほらっ!来い!!」

・・・やっぱ考えすぎだったか?
いつも通りじゃん、先輩。
こ、こっちなんて、
場合によっちゃー、チューもする覚悟で来たっちゅーに!
ま、よかったっちゃーよかったか・・・。。
「あっ!お前、今度の花火大会、行く?」
「行く予定はありますけど、家族と行きますよ?
先輩とは無理です!
お父さんもお母さんも一緒に見るのが毎年恒例なんですから」
「でも、行くんだろ?」
「ハイ、行きます・・・。???」
「よしっ!わかった!!!いいこと思いついたぞ!」
それ、絶対いいことじゃないっ!!
ヤな予感がするよ。
もう、アンテナびんびんだよ!
そして・・・
夏休みに入って、
例の花火大会の日がやってきた。
もう、夏休みも中盤に差し掛かろうとしていたこの時期まで、
一度も先輩とゆっくり話すことはなかった。
なーんか、付き合ってるのかいないのか、やっぱわかんないやw
うっくんは、予定通り家族と花火大会に行った。
お姉ちゃんは、女友達に合流するといって、
花火が始まる前に、さっさと抜けて行ってしまった。
お父さんとお母さんとせっかく来たんだし・・・
ってことで、うっくんは友達と会っても、
「おうっ!」って手を挙げて、挨拶だけにしておいた。
先輩も、この花火・・・どっかで見てるんだろうなぁ。
キレイだね、先輩・・・
花火が終わって、
お父さんもお母さんも
「きれいだったねー」
って言って、
「さぁ、かえろっか?」
って時に。
やっぱり、予感は的中です。
「あ、どーもどぉ~も!うっくんのお父さんとお母さん!」
「あれぇ~!この間の・・・
トンくんだったっけ?
いつもうちのうっくんが仲良くしてもらってるみたいでありがとうね」
「あー、はぁ~い。
毎日迷惑かけられっぱなしなんですよぉ~!
でも、俺の懐、深いっすから!!あははははは!!」
「あはははは!!」
またしても、なんつーことをっ!!!
お父さんもいるっていうのに、なんなんだよこの先輩のノリ!
「あっ!どーもごあいさつが遅くなりました!
僕、うっくんさんの学校の先輩でトンといいます!!」
お父さん・・・
THE無言。
でーーーすーーーよーーーねーーーーー。
「あの!今からですね、うっくんがいつも仲良くしてる同級や僕の同級たち
みんなで、そこの公園で花火しようと思ってるんですけど、うっくん借りて
いいっすか!女子もいっぱい来るんで!
高校の最後の思い出にもなるし、一緒に花火するだけです!」
「でもぉ~、今からの時間、補導されるんじゃないの?
夜も遅いし・・・ね?お父さん?」
「・・・・・・・・・」
ハイ、無言。
「あー、まあ、そこの公園、いっぱい人いるし、
大丈夫だと思います!補導される時間までにはお返ししますから!
ちょーーーーっとだけいいですか!1時間くらい!」
「そぉお?ま、トンくんがいるから大丈夫でしょうけど、
女の子だから、一人にしないようにしといてね?」
「あっ!ハイ!!大丈夫っす!!
」
いやいやいやいやっ、お母さん!!
2度目の対面で、どんだけトン先輩のこと信用しちゃってるわけ!?
こいつが一番信用ならねーよぉ~?
この調子の狂う二人の会話に、
若干の疑問を抱きつつ、
その場から連れ去られた。
公園に行ってみると、
「うぃ~~~~~っす!」
「うぃ~~~~~っす!」
「うすっ!」
「お~~~ぅ。」
「おせーよ」
5人の男たちが、むさくるしくたむろしていた。
・・・・・・!!!!!
「せ・・・先輩・・・女子は?」
「は!?いるわけねーだろ!」
「・・・ハイ?ウソついたんですか!?」
「あーでも言わなきゃ、連れ出せねーじゃん」
「サイテー」
「ばか、お前な?おれの脳内の99%は嘘なんだぞ?知らなかったか!」
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
なんか、まともに相手するのも疲れる・・・。
「どぉ~もぉ~。うっくん?
俺、トンの中学ん時のダチぃ~。よろしくぅ~~~」
「あ!俺も!!中学までトンと一緒だったやつ!!」
きょ・・・
きょわいぃ!!
「あ・・・こここ、こんばんわ!!」
公園で待ってた男集団の2人が、声をかけてきた。
よく見ると、その他3人の男たちは、
学校でよくトン先輩とつるんでいる先輩たちだった。
「まーじで、ちっさいねー。俺、○○高のすぐるっていいますぅ~」
「あ!!俺は、ゆーじ!高校行ってなくて、今社会人っす!」
「あ、どーも、はじめまして・・・うっくんです。。。」
ギクシャクしながら挨拶をして、
他の3人にも、とりあえず挨拶。
ふんぬぅ~~~~~!!
せんぱいめぇ~~~~~!!!
だーまーしーたーなーーーーーーー!!!
・・・というビームを出していたら、先輩が言った。
「今日はさ、すぐるとゆーじにお前紹介しようと思ってさ!
こいつら俺のいっちばんのダチ!!」
すぐる:「そーいうことぉ~(^_^)」
他の3人の先輩たちとゆーじさんは、
うっくんのことなんかそっちのけで花火を始めた。
「お!俺にもやらせろ!!
」
トン先輩もそっちに合流。
・・・ってオイ!!
会って早々のこの2人を、おいてくんじゃない!!!
こ・・・心細い!!
ソワソワしていると、
ベンチにだるそうに腰かけてるすぐるさんが、
トントンとベンチをつついて言った。
「ここ、座れば?」
「あ、はい・・・ありがとうございます」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「あいつさぁ~・・・わからんっしょ?」
「・・・ハイ・・・、さっぱり」
「いや~・・・あんなでもさ、マジメなヤツだよ?」
「・・・あ、ハイ・・・一応知ってます・・・たぶん・・・」
「まあ、すんげーわかりにくい奴だけど、
ホントは一番、わかりやすい奴だよ?
あいつ・・・めちゃいいやつだからさぁ、ま、仲良くしてやってよ」
なんかこの人・・・
か、、、
かっちょえーーーー
すごく大人な雰囲気を持っている人で、
先輩とはまるで正反対な感じのお兄さんだった。
花火をしてはしゃいでるむさくるしい男たちを見ながら、
静かにそんな話をした。
「おい!チビ!!!お前もほら、これならできるだろっ!!」
「ひゅ~~~~っ!やっぱつきあってんだぁ~~~」
今まで二人に興味なさそうにしていた、
その他4人の男どもが、からかう。
「まーあれだ!!
友人の評価はイマイチでもshe so cute!っつーことだ!」
「・・・またわけのわかんないこと言って
・・・ってか、
友人の評価はイマイチなんですね・・・
」
「お前、陸上部の夏合宿、行くん?結局。」
(いや、否定してよっ!)
「まー・・・行かなきゃならないでしょうね」
「ふーーーん。ま、お前にいっこいいこと言ってやるよ!」
「絶対それ、いいことじゃないでしょ。」
「恋なんて言わばエゴとエゴのシーソーゲームだ!!」
「帰ろっかな
」
「おーーーーっと出たな!
♪図に乗ってぇ~ 君はまたノーリアクションさ♪」
ウっゼェ~~~~~~(*´Д`)=з
どーしてこうイチイチイチイチ歌にするかな。
「うっくん。」
二人のやりとりをずっと静かに見ていたすぐるさんが言った。
「はい?」
「ま・・・大変だろうけど、相手してやって」
「あはははは」
こうやって、先輩の一番大切な人たちと、
1時間ほど、過ごした後、
うっくんは、約束通り解放された。
先輩はうざいけど、
大切な人たちに、わざわざ紹介してくれて、
「あー、彼女なんだなぁ」
って初めて実感した1日だった。
数日後、CDを借りたうっくんは、
この曲を、おうちで聴いた。
シーソーゲーム~勇敢な恋の歌~ byMr.Children
ふ~ん、いい曲じゃん?
って思ったけれど、先輩の気持ちには、やっぱり気付けないうっくんだった。
つづく。
