あれから
つっちーとは、気まずいながらも、
ボチボチ会話できるくらいにはなったが、
元のようにはいかないもので・・・。
小さな恋のメロディーは、
小さいまま、最後の小節を終えた。
つっちーと、そんなやりとりがあったこの時期、
そういえばトン先輩とも、こんな出来事があった。
あれは・・・たぶん球技大会より少し前の頃から始まった。
音楽の授業が終わり、教室に戻る途中の渡り廊下。。
・・・・・・・・・あれ?
いつもの「おい!チビ」
っていう、トン先輩の声が聞こえない。
ふと非常階段に目をやった。![]()
トン先輩はいつもの場所に座っていた。
いつもウザいけど・・・
・・・何も声かけられないと気になるじゃん![]()
なに?急にシカト?
けっこう遠くに見える非常階段なので、
トン先輩の表情までは見えない。
すると、
先輩がなにやらジェスチャーをした。
「は?」
首を傾げてみる。
意味わかんねぇ。
ま、いいや。
シカトして、教室に戻った。
それ以来、トン先輩はたまにこんな、変な行動をとるようになっていた。
トン先輩に知り合って、半年近く経つけど、
ほんとわけわかんない人・・・。
何度か、そんなことを繰り返し、
文化祭が終わった頃だったと思う。
また、音楽室の帰りの渡り廊下で、
同じように先輩が何かジェスチャーをしている。
いつものようにシカトして教室に行こうとしていたら、
「おい!」
と先輩が立ちあがって大きな声で叫んだ。
ぎょぎょ∑ヾ( ̄0 ̄;ノ
目立つからやめてよもぉ~~~。
トン先輩は元々目立つ人だからいいだろうけど・・・
うっくんなんて、ロクなことでは目立たないんだから。。
うっくんは「私?」
と自分の顔を指さした。
(待て)
「そこで待っていろ」 なのか・・・?
待ってろっつってもさぁ、
どんだけ距離あんのよ。
しーーーらない。
どうせくだんないことなんでしょっ。
そうやって教室に戻っていたら、
トン先輩がうっくんの教室の前にやってきた。
「なんなんすかっ。もう恥ずかしいじゃないですか!
あんな大きな声で呼ばないでくださいよ!」
「お前さ、なに無視しとん?」
「え?私無視なんかしてませんよ。」
「俺のサイン、無視したやん」
「は?なにサインって」
「いつもサイン出してんだろ!」
「あの、わけわかんないポーズですか?」
「あれはな、
”ホームランかっ飛ばしていくぞ!”
のサインだ。」
「ハ?」
「愛してるのサインっつーことだ!!」
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
「さぶっ!!」
「わっはっはっはっは!!ま!そういうことだ!!!」
ってか、”そういうこと” って、
どういうことだかサッパリ。。
ま、いいや、、、わろとけわろとけっ。
「ははははは。。。。じゃ、ショート始まるんで
」
「次は無視すんなよー?じゃーな!おチビちゃん」
さすが95%ウソの男!!
”愛してる”って言葉も、あの人にとってみたら、
毎朝飲む味噌汁と同じようなもんなんだろうな。
もう、なんでこうキャラ濃いいかなぁ~~~![]()
そうやっていつものように、
95%ウソの男にからかわれながら過ごした中での、
つっちーとの事件勃発だったわけ。
12月に入った。
「おい!チビちゃん」
「あー、トン先輩。
」
「お前、 ”お帰り” もなしかよ」
「あー、そういえば修学旅行に行ってたんでしたっけ。」
「くぅ~~~!お前ホントそういうとこ冷てぇーな」
「で、どうだったんですかたのしかったですか」
(↑完全棒読み)
「聞きたい?」
「・・・や別に」
「なーんだぁ。お前にとっておきの”月野情報”仕入れてやろうと思ったのになぁ。
残念だなぁ。
」
・・・ってさ、
それ絶対とっておきじゃねーだろっ!
何企んでるわけっ!
ほんとこの先輩と関わるとロクなことないんだから。
「なんなんすか、もうっ
」
「あのな」
「はい」
「月野に、お前もらうぞって言ったから!!!」
「はぁぁぁぁ!?」
「お前がいらないなら俺がもらうけどいいかって。
あいつ、”もう俺はかんけーねー”っつってたぞ。」
「ってか・・・なんで月野君にいつもそうつっかかるんですか」
「おい、お前、さっきの話完全ムシ?
」
「どうせ先輩、”月野君の動揺する顔が見てみたかった”とか、
”月野君になんでもいいから挑戦状送りたかったとか”、そんな理由でしょっ」
ふんっ!だいたい何が愛してるのサインだよっ。
思い出したら腹たってきた!
いくら味噌汁並みっつったってさ、よくそんな言葉いけしゃあしゃあと。
ドリカムかっつーの!
あんたなんか、頭にメット5回ぶつけて軽く脳震盪おこせばいい!
「あーあー、残念だなぁー。俺はこんなにおチビちゃんのこと想ってるのにぃ
」
「あー、ハイハイ。。言っててくださいよ」
「ま!あれだ!!月野はもう、お前のことはどうでもいい!!!
っな!? スゴイ月野情報だったろ?感謝しろ!!」
・・・・・・
ぶん殴っちゃっていいっすか。![]()
相変わらずこの男、逆撫でポイント、よくつかんでらっしゃる。。
どこからどこまで本気なのか、ウソなのか、
相変わらず謎の多いトン先輩だった。





