【腐れ縁は離れず】
=悪縁や不純な関係の縁は、切ろうとしてもなかなか断ち切れないものである。
祐輔先輩集団と一緒に帰ることが、
まさかあのふーちんと繋がるなんて、思ってもみなかった。
祐輔先輩と一緒に帰るようになって数日経ったある日、
ふーちんの手下、すーちゃんが珍しくうっくんに話しかけてきた。
「ねぇ、最近祐輔先輩と仲いいよねぇ?
祐輔先輩って、すっごい優しいでしょ?」
「あ、うん!すごい優しいねぇ。」
「・・・ふーーーーーーん。」
「??」
ん?なんか言いたげ??
「あのさぁ」
「うん?」
「文化系の部活の人は知らないだろうけどね、
日曜日とか、部活が終わった後、バレー部、サッカー部みんなで
遊んだりしてるんだぁ。祐輔先輩も。」
「へぇ~~!そうなんだぁ!仲いいんだねぇ!!」
「そっ。仲いいの。
祐輔先輩ってぇ~、誰にでも優しいから、
けっこう勘違いされやすいんだよねー。好きかも?とか?
でもね、全っ然そんな気ないと思うから。」
「だーかーらーねぇ?
変に近づかないでくれる?
知ってるよね?ふーちんが祐輔先輩好きなこと。
ってかね、ふーちんじゃなくったって、面白くない人、
いっぱいいると思うから。気 を つ け て ね?」
こやつ!
ってかさ、ふーちんが誰を好きかなんて
知ってるわけねぇーっつーの!
その後の会話は全く覚えていない。
そりゃ~もう、テンパった!
目立たず波風立てず
『平穏無事』 を目標に、
充実した3年間にしようと思ってたのに
しくじった!!
今日の下校どうしよう!
そうだ!早く帰ればいいんだよ!
で、急ぎ足で帰ろう。
うん、そうだ!そうだよ!!
狂犬に追いかけられてるつもりになれば
なんとか速く走れるよ!
なんなら自分が狂犬になる勢いで!!
おうちに着くまで全速力で帰ろう!
あ!そだそだ、音楽室、サッと出れるように準備しとこう。
その日の部活の練習中は、
どうやったら足が速くなるか、そればっかり考えていた。
(えーー!そこぉ~~!?)
部活が終わって、
部活中にエンドレスでシミュレーションしていたとおり、
音楽室に行ってすばやく出た。
そそくさと校舎を後にする。
「うっくん!俺もすぐ終わるから!」
そ、その声は!!
後ろを振り返ると、外の水飲み場に祐輔先輩がいた。
がーーーーん
「あ!ごめん!今日は早く帰んないといけないんだ!先帰るね!!」
言えた!!
よし!!!!
「あー、そっかぁ~。じゃ、気ぃつけてな!」
なんだぁ~。
案外すんなりいけることだったのねっ。
シミュレーション通り、うっくん的には全速力で
自宅に着くまでずっと走って帰った。
次の日も。
その次の日も。
そのまた次の日も。
そして・・・・・・
「なぁ!!俺なんかした?
俺のこと避けてない?何怒ってんの?
ムカつくことしたんなら謝るからさっ!」
廊下ですれ違った祐輔先輩に、
後ろから肩をつかまれた。
真剣な視線が痛い。
「いや、別に避けてないよ(^o^)
みんなと一緒に帰ってるんだよ!」
「うそばっか言え。光が独りで帰ってるって言ってたぞ。」
oh!バ レ テ ー ラ !┐( ̄o ̄)┌
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
無言が続く。
「もういいよ。」
たぶん、そのあとには”勝手にしろ”という言葉が続いていたんだろう。
うっくんにはどうしていいかわからなかった。
何が最善なのか。
祐輔先輩は何も悪くないのに、困らせてる。
うっくんが独りで寂しい時、いつも助けてくれていたのに・・・。
どうしたらいいんだろう・・・。
・・・ってか?
付き合ってもいないのに、いきなりの修羅場!?
ナニナニこの展開!
なんで好きでもない人のことで脅されたりしてるわけ!!
だけど、中学に入って、
同じクラスではあったものの、
部活が違ってほとんど接点がなくなっていたふーちんと、
また関わることがいやだった。
いや、それだけじゃない。
自分も、人を好きになったことがあるから、
たとえ相手がふーちんであっても、
嫉妬するキモチがわかった。
もう、嫌われたっていい。
祐輔先輩と仲良くするのは止めよう。
祐輔先輩と、その後会話することはなくなった。
廊下ですれ違っても、顔を合わすこともない。
お互い避けるようになっていた。
気まずいまま夏休みに入った。
うっくんは祐輔先輩のことで悩んでいた。
自分は本当に正しいことをしているのだろうか?
胸が苦しかった。
だから、正直、
自分の恋どころではなくなっていた。
月野君とも、だいぶまともに会話できるようになっていたが、
戦線離脱していたし、ふーちんグループの一味であるさあちゃんたちに
色々とあらぬことを言われてはたまらない!という想いがあって、
月野君との会話を、どこか避けている自分がいた。
だってね?
うっくん泳げないし、スポーツも嫌いなわけ。
って、こんないい波も風もうっくんには必要ナッシング!!
だからね、波風立てずに平和にくらしたい・・・
祐輔先輩のことも月野君のことも、
ちゅうぶらりんのまま新学期が始まった。
数日経ったある日、
その日の部活は、合奏だった。
合奏するときは人数が多いので、かなり密集している。
顧問の先生が来るまで、各自練習しているので、
周りはブーブーピーピーうるさい状態だった。
さあ、うっくんも練習しよう!としていると、
「メバル・・・」
呼ばれた気がした。
「はい?」
隣の月野君に振り向いた。
「祐輔となんかあった?」
月野君が耳元で囁いた
ちょっ・・・いきなりのフェイント!
耳、超ツボなんですけどっ!!!
なんで知ってるの!
(そんなつもりじゃないと思うっ)
心臓バクバク。
破裂しちゃう!!!
「え・・・えぇぇ?な、何がっ?」
「もうさ、許してやれよ。祐輔、へこんでるよ?」
「・・・・・・」
ん~~~~!違う!!
違うんだけど!!
全っ然違うんですけど!!
そんなんじゃない!
悪いのはうっくん。
きっとそのうち、神様が怒って
「お~~ぬ~~~しぃ~~~~~
何度も助けてやったのに恩知らずめぇ~~~
こうしてやるぅこうしてやるぅ~~~」
(↑打ち出の小槌でつぶされる刑)
ってなっちゃうよ。
うん、それうっくんには一番いやな刑だな。
・・・たぶん・・・
困らせてるのは祐輔先輩だけじゃない。
月野君のことも困らせてる。
どうしたらいいの・・・?
返答に困ったうっくんに、月野君が言った。
「俺が間に入ってやるからさ、もう仲直りすれば?なっ?」
ハイ!そうします!!
その瞳に乾杯
!
そのイケメンに完敗!!
---うっくんは思いのほか薄情だった!!---
その日の帰りは祐輔先輩が終わるのを月野君と待った。
待ってる間、なんだか気まずいんだけどあったかい時間が流れた。
「祐輔に怒ってるわけじゃないんだろ?
・・・・・・・・・なんとなく検討はついてるけどさ・・・・・・
普通にしろよ。俺たちがついてるから。」
ギュギュギュギュイィ~~~~~~ン!!
パヒューーーーーーーーーン!
---うっくんは種子島宇宙飛行場より発射された---
月野君、好き!!
しつこいようだけど、何度も言っちゃう!
好き!!!!
私を月まで連れてって!!
「地球は青かった!そして人間の生きる世界は思うより小さかった!!」
って中継で世界中に言っちゃうから!!
あー、やっぱこの人好きだわぁ~~~。
なにこれっ!
なにこの ”中学生のくせに大人” 発言!
なんだかテンションが上がりすぎて・・・
もう無敵になった気がしたんだ・・・。









