09月14日の読書:澁澤龍彦『秘密結社の手帖』 | つれづれマカロン

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 澁澤龍彦に凝って読んでいます。今日は『秘密結社の手帖』を読み終わりました。




 読み終わって思ったことは……秘密結社って思ったよりロマンがないな! 『フリーメーソン』とか『薔薇十字団』とか、名前を聞いただけでわくわくするけれど、その実態は実際的な職業組織、みたいなのばっかりで。世界征服を企む謎めいたひみつ組織、ではなかった。




 職業組織でないなら、たいていは政治結社なんですよね……。イスラムにはいっぱい分派があるけれど、教義の違いというよりは政治的立場の違いで分かれている、と読んだ時にはちょっとがっかり。イスラムに何を期待していたんだ、ということになりますが。




 ただ、秘密結社の多くが、時代がかったというか芝居がかったというか……そういう「入社式」を行っているのは面白いと思いました。先輩結社員を兄と呼び、リーダーを父と呼んだり。擬似的な死と再生を体験させたり。特に「死と再生」というテーマの入社式はどこの国でも地域でも見られるのです。宗教(秘密結社=宗教ではないけれど)の本質は死と再生なのかもな。




 多くの秘密結社が男性のみを構成員として女性はお断り、なのに対してブラヴァツキー夫人の『神智学協会』は女性がリーダーで興味深い……と思ってウィキペディアでもっと調べてみたけど、どういう信条で何を目的としているのかよくわからない。読んでいる私の頭が悪いんだろうけど、難しいよ(´・ω・`)




 悪趣味だけど楽しそうだな、と思ったのは『地獄の火クラブ』。貴族の子弟の黒ミサごっこ。もと修道院をまるごと買い取ってきらびやかに改造して、延々と黒ミサにふけるなんて、不健全で面白そうです。




 入会の儀式があって、仲間内での暗号のような符牒があって、裏切ると制裁がある……という意味で日本のヤ○ザも秘密結社に分類されていました。たしかにそれはそうかもしれないけどさ……ロマンがないな!





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