4日の夜は、新国立で「誤解」初日でした✨
稲葉賀恵さんの、新国立デビューですラブラブ
なんだかんだで1回しか行けなかった…(´; ω ;`)!←だからほらry

上演時間はこんなでした。
以前、立川さん演出で「誤解」を観ていまして。パンフレットの上演リストに立川さんのも載ってて嬉しかったりします✨
このイラストめっちゃ好き(*´ー`*)

美術は乘峯さん。

小劇場を広く感じる空間に、暗い照明の中、シンプルな布とベッドだけ…というのがかえって陰鬱で重いです。垂れ下がる布が「水」だったり…時に見えない「向こう側」みたいだったり。

布に映る人影が綺麗だけど、登場人物の心の揺らめき(闇)にも見えて。とても怖かったです。


「誤解」ほど「たられば」を思うものもなくて。母も息子も娘も妻も。それぞれがそれぞれに誤解(つか期待、とも)しすぎてるの不幸だと思います。

母と娘にとっては「息子(兄)が戻ってくる」という希望が消えて…想像できなくなるくらいの重い20年だろうな、と。

人を殺して貯めたお金で「南の国に行こう」と夢みるくらいですし。それも、ちゃんと貯まってたかどうか。


小島聖さん演じるマルタの、「若さ」を失った(と思ってる)希望の消えた重く暗い声が良いです。母役の原田さんがとっても素敵でした(*´ー`*)

南の国への憧れはモスクワを焦がれる「三人姉妹」の姉妹たちにも似てるけど…より境遇は残酷ですよね。三人姉妹の彼女たちはモスクワにいたことがあって「幸せな時」とともに思いを馳せるけど、マルタにはその記憶はない。漠然とした「憧れ」なんだもの。


兄もまた、素直に話せばいいのに…一度は「家を捨てた」罪悪感からなのか、自分の家族を試してしまう。気付いてくれたら「許された」と思えたのでしょうかね。「まさに世界の終わり」のルイにもダブります。ルイより結末は無残ですけど。

20年は子供が大人になる年月です。面影を感じられる人もいるけど(うちの母は全然変わってないから)、彼の場合は貧乏→裕福になり…身なりだけじゃなく姿形だって変わっていたでしょう。それを「気づいて欲しい」というのは酷な願いだと思います。

家族を試した罰。これ見よがしに話してマルタを刺激した罰…というには哀しいほど、サクッと殺されるけど。母親はなんとなく体や心は反応していたようにみえたので、より切ないです。

マルタも彼が兄だとわかっていたら、モチロン殺さなかったですよね。本当なら夢を現実にしてくれる人だったのに…希望の太陽が憎しみの対象になってしまう。兄だとわかったあとも、今度は「自分から母を奪うもの」として。


真実が告げられるのが遅すぎた…と、母親にいうには辛すぎると思うんですが、「息子の死」によってガラリと(皮肉な言い方だけど、命が吹き込まれたように)雰囲気が変わる原田さんの母親がすごいかったです。

母親にとって「息子」が特別なのも「子殺し」に苦しむのもとてもわかるのですが、マルタと同じ「娘」のワタシは若干もやもやっとした気分になりますf^_^;

兄が20年いなかった間、生活が苦しい中そばにいたのは私でしょ!?って思ってしまって。「ひとりにしないで」って…捨てないで、と思う。

絶望していた20年以上に「母に捨てられた」ことは大きいと思います。絶望のさらに「底」があったんだ、みたいな。


マルタと兄の妻マリアとの対比も鮮やかでした。

マリアのいうことは「正しい」と思うんです。でも、マリアが「夫を失った悲しみと不幸」を言えばいうほど、マルタたちの長い孤独に感情移入してしまったりして。


使用人のような…シェイクスピアの道化のような「男」の飄々とした存在感は、勝也さんならではでした。

空気がフワってしたり、キュッとなったり。チャーミングさもあって、思わず笑ったり。

「神さま」のように、彼らの行為を俯瞰して眺めて…マルタを止められなかったマリアの慈悲を求める声を無情に断る。←このセリフ、一言なので翻訳で微妙に違う💦

都合のいい「神さま」なんていない世界で、突き放されるの好きでした。あの台詞の後の空気がたまりません(゚´ω`゚)



以前から稲葉さんに「新国立デビューお祝いにお花贈りますラブラブ」と話してたので↓
バラを集めたアレンジメントでした\( ˙▿︎˙ )/