信長の和歌 ~平和への願い編~ | ★織田信長の夢★ 鳴かぬなら 鳴ける世つくろう ほととぎす

★織田信長の夢★ 鳴かぬなら 鳴ける世つくろう ほととぎす

織田信長の人柄や精神面に
焦点を当てた逸話や記事を書いておりまする★


□■信長の和歌 ~平和への願い編~■□


年代不明


今日、紹介する和歌は去年、本能寺の宝物館に行った時に発見した、信長が詠んだとされる和歌である。
意味を調べる前までは、この和歌の意味がまったく分からなかったが、色々と詳しく調べてみると、信長の平和への願いが込められた和歌だったことが分かり驚き、感動した。

この歌は、恐らく信長が法華経の経典「勧持品(かんじほん)第十三」という一節の講釈を聞いてから、詠んだものと思われる。


■本能寺所蔵 信長和歌詠草■

「うらみつる 風をしつめて
はせを葉の 露を心の 玉みかくらん」


聴講 法華経詠
勧持品 和歌案 信長


①直訳
世の中に吹く悪い風を静めて
芭蕉の葉に露が溜まるよう、我が心を磨こう


②意訳
誰に何と言われようとも、それに耐え忍び、今の世の中にはびこる悪い習慣、嘘、戦争、暴利を貪る者たち、そのような乱世を静めて、平和な世が訪れるように、自らの心を磨こう。


③解説
・「はせを葉」とは「芭蕉の葉(ばしょうのは)」のことである。
 
(「JA沖縄」様、HPより)

芭蕉とは、バショウ科の熱帯植物であり、その葉は風雨に晒されると簡単に破れてしまう。

和歌の世界では、秋の季語として使われる。
その理由は、葉の弱さが秋風とも相まって、もののあわれを想起させるためである。


・『法華経 勧持品第十三』の内容を簡単に説明すると、菩薩たちが釈迦の前で以下の様な誓いを立てる。
「仏が入滅した後の嘘や高慢、悪習がはびこる悪世で、例え我々が罵倒され、危害を加えられようとも、我々はそれらに耐え忍び、この教えを人々に説きます。」というような、誓いを立てるというものである。

詳しい解説は、サイト「旅の途中で」様に詳しい。
また、原文・書き下し・現代語訳は、ブログ「御書を繙く」様に分かりやすく載っている。


・「うらみつる風」とは、悪世がもたらす、恨みや辛みなどの負のものを指していると思われる。
「風」いう表現を敢えて使っているのは、芭蕉の葉が風雨で簡単に破れてしまうことに掛けている。
芭蕉の葉が破れてしまっては、露も流れ落ちてしまう。
露(ここでは、平和の象徴か)が留まれるように、「乱世を平定して(うらみつる風をしつめて)、平和な世の中が訪れるように(はせを葉の露を)、自らの心を磨こう(心の玉みかくらん)」という意味なのではないかと、私は考えた。


これらすべてを踏まえて考えると、この和歌の意味は上記の意訳のようになるのではないかと思う。

信長の平和な世を築く覚悟や意志が感じられる和歌である。

━─━─━─━─━─ ━─━─━─━─━─ ━─━─━─━─━─ ━─━─━─━─━─ 

 

ちょんマグ 信長 ちょんマグ 信長
1,080円
Amazon

 

 



ぽちっと押していただければ、嬉しいです

歴史ランキングへ