わたしは相棒を脅したりなだめたりしながら
掛かりつけ医の内科へ連れていきました・・・


立ったり座ったりするのに
なかなか思い通りに体が動かない相棒を・・・


見ていてあまりにもしんきくさくて・・・
いつも家でやってるように

腰ベルトを持って引っ張り上げようと
しますと・・・


アイタ!
思いっきり片手でわたしを振り払う相棒・・・!

 


ああそうだった・・・


痩せても枯れても相棒は元男・・・
受付嬢や看護師さんに
イイカッコウしたいと思う本性は・・・

 


どんなに年を取っても

変わらないのね・・・

 


家を出るとき

杖を持って行こうと言ったのに・・・

 


掛かりつけ医へ行くときだけは
「うら杖は持って行かん!」と言い切った
理由は分かりました・・・


相棒のK病院で行った血液検査表を

掛かりつけ医の先生に見せますと・・

 

 

「カリウムが低すぎる以外は順調に

良くなっていますよ・・・

 

腎臓が片方でもここまで回復すれば

言うことありませんね・・」

 

と言われて相棒はホクホク顔・・・・

 

 

次にわたしの番で・・

「先日の脳腫瘍の検査では、腫瘍の大きさが

2センチ以上になれば例え良性でも

視神経に異常を来すので手術をしますと

言われましたが・・・

 

 

MRIの検査結果は

腫瘍は発見当時のままの1.8センチで

 

 

このまま1年後に

経過観察をすることになりました。」

 

 

と申しますと・・・

「危ない橋を渡っておられますね・・

ところで手術することを止められた

膵臓はどうなっていますか・・・?」

 

 

との質問に・・・

「前回胃カメラを飲んで、膵臓の検査したときには

発見当時のままで、特に目立った変化は認められず

半年後にもう一度と言うことで・・・

 

10月にもう一度CT検査をして

胃カメラを飲みます・・・

 

 

胃にピロリ菌がいると

膵臓癌と関連してくるとかで・・

ピロリ菌の検査もします・・

 

最初に膵臓の腫瘍の形は異形で・・・

そのまま放置すると膵臓癌になり易いから

思い切って手術をしましょうと言われたときに・・・

 

悪性じゃなかったら手術の必要が無いと

掛かりつけ医のI先生に言われました・・

 

 

(I先生はその道のベテランですから 

自分の名前を出してもいいと言われたので)

 

 

と申しましたら・・・

そういうことなら経過観察を続けましょうと

言うことになっております」

 

 

と申しますと・・・・

 

 

掛かりつけ医の先生は

「奥さんはどの検査も

ぎりぎりの危ない橋を渡っていますね・・・

 

 

もしかしたら将来本当に

膵臓癌になるかも知れませんよ・・?

 

 

あのとき早めに手術しておけば良かったって

事になると、わたしの責任は大きいですね・・」

 

 

と心配してくださるので・・・

 

 

「わたしは胃や十二指腸や胆嚢を摘出して

食道を直接小腸へ繋ぐような大手術をしてまで

半病人として生きたくありません・・・

 

 

まだ主人の世話もありますし・・

出来るだけ自由に動ける身でいたいので・・・

 

 

例え手遅れになろうと、年が年ですし・・・

一日でも健康な状態を維持できれば

それ以上は、何も望むことはありません・・・

 

 

人の寿命は決まっていますし・・・

どう導かれようと・・・

 

 

先生には感謝はしても・・・

恨むようなことは一切ありませんから・・・!」

 

 

と申しますと・・・

 

 

「そうですね・・膵臓癌の手術となると・・

それだけの内臓を摘出すると・・・

 

 

もはや半年間は半病人で

動けない状態となりますね・・・

 

 

そういうことから考えますと

今の健康体を維持できた方が・・

 

本人にもご主人にとっても

幸せな方法だったかも知れませんね・・

 

いくら健康だと言っても

明日のことは誰にも分かりませんから・・・」

 

 

倫理学の講義を受けてるような気分・・?

わたしの決意と・・院長の謝罪・・・???

 

 

謝られることはない・・!

わたしさえ元気ならば・・・!