どんなに好きだった人の記憶も
月日と共に日々影が薄くなる・・・
 

だけど不思議なことに
顔は思いだせなくなっても・・・
 

そのときの声や手のぬくもりは
しっかりと覚えている・・・
 

母が亡くなってから3年経ち・・
当時の母のことを時々思い出す・・・
 

お見舞いに行って帰るときに
握った手をなかなか離してくれず・・
 

涙を見せながら・・・
今度いつ来てくれると
次回に会う約束を取り付けた母・・・
 

そのときの手は肘まで冷たくて
骨と皮になっていた・・・
 

一生懸命明暖かくなるように
マッサージしてあげていたけど・・
 

その手はなかなか思い通りに
暖かくなることはなかった・・・・
 

あのときの母の手の感触は
今も尚わたしの手のひらに
残っている・・・・
 

骨の上に
サランラップを巻いたような
冷たくて細い手だった・・・
 
 
子どもを5人も産んでいながら
なかなか全員が揃うこともなく
 

いつもそばにいてくれた弟夫婦や
年子の妹には心から感謝している・・
 
 
親元へすぐ駆けつけられる
距離にいなかったわたしは・・・
 

いつも親に対して
すまぬ思いで一杯だった・・・・
 

身近で介護できない分・・・
罪滅ぼしに働き始めて22年間・・・
 

親の生活費の足しにと・・
年間100万円ほどずつ22年間
一度も休まず送金を続けた・・・
 

だけど・・わたしの親を思う
気持ちよりも
 

親が私達を思う気持ちの方が
はるかに勝っていた・・
 

「親思う心にまさる親心」
 

そのことを親が亡くなってから
気づかされた・・・
 

親は父の年金と母の年金だけで暮し
わたしが送ったお金には
一円たりとも手を付けず・・・
 

そのままそっくり遺してあった・・
 

自分たちが亡くなった後に
遺された子ども達で
分けるようにと言って・・・
 

自分たちは何一つ贅沢をせずに・・
 
 
私達が親を思う以上の愛を遺して
旅立って逝った父と母・・・
 
 
果たして私達は・・子どもたちに
それだけの物を遺せるのか・・・?
 
 
まぁ・・それを言うなら・・
うちの子達は自分達の生活が
一杯で・・・・
 
 
貰わなきゃ別に遺す心配も
いらんというわけで・・・?
 

でもうちの子達は
旅費もお土産代も掛からない
近くの結婚相手を見つけてくれたため
 

何があっても
すぐ駆けつけられるし・・・
 

その点は親孝行だったと
思っています・・・
 

何はともあれ
一番感謝したいのは・・
 
 
わたしを実の子のように
可愛がり・・・

二人の子どもをずっと
お世話してくださった
義母のお陰です・・
 

今日の日をつつがなく
暮らせますのは・・・
 
 
周りの人たちのお陰と
心から感謝申し上げます・・・