人は自分にとって一番嫌いなものが
月日が経つ毎に一番必要なものに変化して
 
いつの間にかそれが好きに変わり
生活になくてはならぬ存在に変化する
運命にあるのかも知れない・・・
 
 
私は小学校の時から
一番嫌いな学科が家庭科で家庭科のある日は
朝から辛気くさくて憂鬱な気分だった・・
 

中でも針を持って作業するというのが苦手で・・
初めて習った刺繍はうまく刺すことが出来ず
同じところばかりやり直して穴あき状態・・
 

初めてミシンを使って縫った白いブラウスは
袖回りがどうしてもうまく付けられず
何回もやり直してる間に
袖だけが手垢で真っ黒な仕上がりに・・・
 

それよりもノコギリやクギを使って組み立てる
椅子や電池を使って組み立てる
模型制作の方がよっぽど好きだった・・
 
 
にもかかわらず・・母がいつまでも親は
子どもの側に付いていて破れた衣類の
補修などをしてあげることが出来ないから・・・
 
 
結婚したら親元を離れ自分一人で子育てをして
子どものためになる資格は必要と・・
 
 
男勝りの私に女らしくなれと高校を出たらすぐに
保育士の資格を取らせ調理師の免許を取らせ
和裁を習わせ編み物を習わせ生け花を習わせた・・
 

好きなものは早く上達し・・ピアノは半年間で
バイエル100番までこなし・・
保育士の資格も難なく取れたけど・・・
 
 
苦手な針仕事が一人前の和裁仕立職人になるまでは
丸7年ぐらいかかっている・・・・
 

和裁だけじゃなくこれからは洋裁師の技術も必要だと
掛け接ぎ技術の資格や洋服のリフォーマーの資格も
自分から希望して取った・・・・
 
 
興味を持てば資格取得も早くなった・・・
 

でもこれらは苦労の割には収入に見合わなくて
ボーナスや給料には及ばないので
 
 
短時間で手っ取り早く儲けたい時には無理!
 
 
 
仕事を辞めてから家にいて
まさかこんな日が訪れてこようとは・・・・・
・・・思いもしなかった・・・
 
 
昔一番嫌いだった針仕事で子ども達の手助けを
することになろうとは・・・
 
 
息子や娘家族の洋服の破れやほつれは
ほとんど持ってくるし・・・
 
 
昨日なんかはほとんど一日中・・
息子の制服直しにかかっていた・・・
 
 
「息子が・・この制服は製造元で直して貰うと
片袖に750円ずつ取られるし同僚は直しで
1500円かかったと言うわ・・
 

それに持ち込んでも日にちがかかって
すぐにはやって貰えない・・
 

お母さんならタダだし・・一日で仕上がるから助かるわ・・
これ明日までにお願い!」
 
 
と言われると何はさておいてでも
息子のためには一生懸命になれる甘い母親である・・
 

若い頃は父の休みの日には一緒に
山仕事や田畑を手伝ったり・・
 

鮎釣りのシーズンになると父と一緒に
麦わら帽をかぶって炎天下の川を遡って・・

鮎釣りをし、自然の空気の中で生きれる瞬間が楽しくて
そんな日が妙に性に合っていた・・・・・
 
 
結婚と同時にこちらへ来て
いつの間にか・・それも出来なくなって・・・・

 
イヤだイヤだと思いながら学んだ針仕事が
こんなに重宝すされる時が来るとは
思いもしなかった・・・
 
 
親の目は先を見越してると心底感じた・・・・
今では大嫌いなことでも・・
 
 
それぐらいしか出来なくなる年を迎えると
だんだんこんな毎日が大好きになり
 
 
それらを根気よくわたしに言い聞かせ
学ぶように仕向けてくれた亡き母に感謝してる・・・・
 
 
お母ちゃん・・・
老後の生きがいを授けてくれてありがとう・・・!