先週の木曜日の朝から土曜日まで

実家の母の見舞いに帰って来ました。



丁度その日は義妹が用事で出かける日で
いつもならそんな日はデイサービスで
預かってもらえることになっていますが



近くに住む年子の妹が実家での母の世話を引き受け
私が行くのを待っていてくれました。



私が遠くから来るというのを心待ちにしていた母は
その日は朝から夜までベッドに横たわるということなく



終始笑顔で椅子にずっと腰掛けて
私と妹の他愛もない世間話を聞いていました・・



世間では私達4人姉妹はみん体型も顔もよく似ていて
同じにしか見えず見分け方に困ってるようですが・・



骨と皮になり・・・不思議な事に顔だけは1本のシワもなく
昔の綺麗なままの母に・・・



わたしが順にこれは誰・・と聞くと
誰一人間違いなく我が子の名前を言い当てます・・



「お母ちゃんまだぼけてへんや~上出来100%正解!」
と言うと・・・母は大笑いし・・・



「かわいい我が子を忘れたら終わりや・・・・
みんないい子に育ってくれて何よりも嬉しい・・



お母ちゃんはいつも神様にこうして手を合わせて
お礼を申しているんやで。」(仏教徒のくせに・・)



と言います。



そしてIちゃん(義妹)に
「米びつの古い米を入れ替えて羽に新米を食わせてやってくれ・
新米を羽の車に積んで土産に持たせてやって・・」



と言うので



「お母ちゃんもうそんなことまで心配せんといて・・
お母ちゃんが気にせんでもIちゃんがお米くれたし・・
ビールももらったし畑で採れた大根や白菜や蕪を
いっぱいくれたで・・・」



と言うと・・



「私が何も言わんかてIちゃん は私の思ったことをそのまま
やってくれるとてもありがたい嫁や・・・



体の身動きが取れなくなると他の嫁なら遠い施設へ
入れっぱなしで面会にも行かず寂しく死んでいかねば
ならないのに・・・



Iちゃんは違う・・・
本当にかゆいところに手が届くような優しい気配りを
してくれるし・・・ありがたい神様のような人や・・」



と母は私に言う・・・



弟は会社を経営してるので金には不自由してないが
私はそれでも金銭面で弟夫婦に迷惑をかけないようにと・・



感謝の気持ちもあり
私が行ってる間の食料は
自分たちと弟家族分まで持ち込む・・



その他に母や姉妹やお世話になってる人たちへ
それぞれの体に合わせたそのシーズンの洋服を
お礼に買って持っていく・・・



これは結婚して以来実家へ帰るたびにする習慣で
大体の好みは察しがつくので

女の人はそれを殊の外喜んでくれる・・



お泊りした日の一日目・・夜中の12時過ぎに



「羽・・羽・・ちょっと起こしてくれ・・・!」と
母のそばで寝ている私を母が呼び起こす。



「何?お母ちゃん・・・?」と枕元へ立った私に母が言う・・



「Iちゃんにいつもよくしてもらってありがたいんや・・
ベッドから降りてIちゃんに頭を下げてお礼が言いたいんや・・
ちょっと起こしてくれ・・・羽!」と言う母。



急にお礼を言うとあの世からお迎え間近だと人は言う・・・



うちの義母も私とそばにいた娘の3歳になる孫息子に
丁寧にお礼を言った次の日に亡くなった ・・・



チョッとまだそれは困るし・・・
自分が見舞いに帰った日に亡くなるのは
縁起が悪いと思って・・



その時義妹はお風呂に入っていた・・・



「お礼は明日の朝にしょうねぇ・・もう夜中だから・・
Iちゃんもお母ちゃんの気持ちはようわかってるで・・・



私達もいつも感謝してるんよIちゃんには・・ありがたいねぇ
いい嫁さんが来てくれたねぇ・・」



と背中をとんとんと叩いていたらそのまます~っと
眠りモードに入った母・・・



母の時代は幸せだった・・・息子夫婦と同居し
何かあれば子供全員が一堂に会する事ができたから・・・



今は時代も人の考え方も変わり
家族の繋がりよりも個人の生き方を重視するように
なってきてしまっている・・・



子どもと同居してないから
年老いてから母のような生き方は絶対に
出来ないものと覚悟して・・・



年老いてどちらかが取り残された場合には
子供たちに迷惑をかけないようにと
終の棲家を模索中です・・・