今の現場ではどういう風な教育が、家族に対してなされているのか

定かでないが、私たちの時代は、

因果な職業を生業としていた夫を持つ妻に対し

上司の奥さんから厳しい教えを受け、それが徹底されていた。


「どんな困難な時にもご主人の代わりに、体を張って地域の人々や

家族の命を守りなさい。留守宅を安全に守るのが妻の任務です。

凶悪事件や 不慮の事故で、いつご主人が亡くなるか

分かりませんがこの任務には、危険が付き物です。

まさかの時が訪れても、決して人前で泣いてはなりません。

ご主人の名誉を傷つけることになりますから。」


そんなこと言われたって、いったいどうしたらいいのか。

私に出来ること、それは子どもたちの命を守ることだった。

ある日、やーさんが自宅に現れ「XXを出せ!」と大声でわめいた。

とっさに私は、まだ幼い小学1年生の息子と4年生の娘に、

靴は玄関に1足と、反対側の裏庭出口に1足用意させ、

「あなたたちは、何があっても生き延びなければならないの。

お父さんに、もし何かあったら、お母さんも一緒に

刺されるかもしれない。でも、何が起こっても、絶対に大きな

声を出したり、泣いたらダメ!裏庭に出してある靴を履いて、

バラバラの方向へ、全力で逃げるの。安全な場所で、

音が聞こえなくなるまで伏せているの。怖くても声を出したら

刺されるかもしれない。じっと我慢して伏せているの。

後から必ずお母さんが助けてあげるから。」

「お父さんとお母さん、死んだらどうなるの?」

「大丈夫、保険にしっかり入ってるから(???)

叔父さんがついてるし先のことは心配いらないの、あなたたち

死にたくなかったら、絶対に遠くまで逃げ切るの。泣いたらダメ!」


こんな辛いことを、6歳の子どもに教えました。

あれから、29年・・・こうしてみんな元気で生き延びております。


お陰で子どもたちは、どんな時も動じず、家族を守っておりますが

二人とも、逃げ足の速さだけは、誰にも負けません・・・・・・・