姑が元気だった頃、孫に自分を引きつけようと

「本当のこと言ったら、何でも買ってやるから、

お父さんと、お母さんと、おばあちゃんの三人の中で

誰が一番好きか言ってみなさい」と、長女に言うと

要領のよい長女は「おばあちゃん!」と答え

主人が同じ質問をすると「お父さん!」私には

「何も買ってくれなくても、お母さんが一番好き」

と家族の間を、如才無く渡って歩いた。

長男が生まれるまでは、家族みんなに可愛がられていた。

ところが、長男が生まれた。しっかり者の長女に比べ

口下手で、おっとりした長男は、3歳位の頃

恒例の姑の「誰が一番好きか」の質問に対して

「分からない」と答えた。

主人が聞いても、私が聞いても「分からない」と言う。

主人が、「こいつ、頭がおかしいんじゃないか?

日本語通じないぞ」と言ったら

長男は大きな涙をぼろぼろこぼしながら、

「だって・・・ぼくは、おばあちゃんも、お父さんも、お母さんも

お姉ちゃんも、みんな大好きだから・・・・・」と泣き出してしまった。



それから姑は口下手の長男をめちゃくちゃ可愛がり

要領のよい長女を、「内股膏薬」と呼ぶようになった。

長女は、ただみんなに好かれたかっただけなのに・・・・