いわゆる「シェディング」に伴ってTVOC検出器が接種者に高い感度で反応する、という噂を実際に確かめるべく、簡易型センサー(半導体型ガスセンサー)で環境計測を行った。
TVOCはその名の通り、揮発性の有機化合物に反応するため、消毒用アルコールにも当然ながら反応する。
飲食店や接種会場ではアルコールが使用されるため、反応するが化学種を或る程度弁別する為には半導体型センサーではなく紫外線励起を利用したPID方式(励起エネルギーによる弁別)の高価な装置が必要となる。
当然ながらそんなお金はないので、携帯性の高い簡易型センサー"Air Quality Tester/JD-3002"を用いて、屋外、飲食店、接種会場など、合計52回測定を行った。
屋外のデータはバックグラウンドレベルのリファレンスとして。
飲食店では主に、アルコール消毒の影響を調べるため(机をアルコールスプレーで拭いた時の上昇の度合い)に行った。
接種会場でも当然ながらアルコールは大量に使用されるためにシェディングの効果を検証する事は厳密には不可能であるが、兆候の検出を期待して環境計測を行った。
屋外の値は平均で0.02mg/m3。
飲食店では机の上に置いた状態の定点観測によるもので、1mg/m3前後の大きな値は隣の机の消毒時のものである。
TVOCは匂い計でもあるので、料理の匂いにも反応するが、和食洋食共にアルコール消毒時以外では概ね1mg/m3以下の値を取る事が分かった。
一方、接種会場での測定は会場の中ではなく、接種の行われている1階フロアに対して吹き抜けの3階階段付近で行った。
計測器を持って階段部分から玄関まで移動しながら測定を行ったが、全ての測定値が2.0mg/m3と検出上限まで達していた。
玄関から屋外に出て、飽和値である2.0mg/m3から背景レベルまで下がるのに約2分かかったが、これがセンサーのレスポンスであると予想される。
これに大して、接種会場で値が飽和するまでの時間は概ね30秒程度であり、2.0を遙かに超える値に達している事が予想される(記録は分単位でしか取っていないため正確な外挿予測は出来ない。今後の課題)。
上記の測定以外にも、様々な場所でこれまで100回以上の測定を重ねてきたが、いずれも屋外では0.1mg/m3以下、飲食店など匂いのする場所では1.0mg/m3以下であった(アルコール消毒を除く)。
次の課題は2.0mg/m3以上の、ダイナミックレンジの広い検出器での環境測定とPIDのような化学種の絞り込みが可能な環境測定だ。
とは言え、そんなものに投資するお金はないので手持ちの簡易測定器で測定を地道に積み重ねて特異イベントの検出などの情報を蓄積するしかない。
以上、暇人のつぶやき