「・・・て!ねぇ、起きてってば!」
誰かが俺の体を揺さぶる。
この声は、えーっと、・・・誰だっけ。
ぼんやりとしか思い出せないな。
って言うか後頭部がズキンズキンする。
何でだっけ。
そうだ!俺は体育館で何かに後頭部を打たれたんだった。
あれからどれくらい経ったのだろう。
俺は気を失っていたのか?
目を閉じていても陽射しが眩しい。
もう朝なのか?
俺はゆっくりと目を開いた。
するとそこには、俺と同い年くらいのかわいい女の子がいた。
この子が俺を起こしてくれたのか。
けど見覚えのない顔だ。
「君はだれ?」
俺がボソリと尋ねると、
そのかわいい女の子は一瞬戸惑った。
が、すぐに楽しそうにケラケラ笑い始めた。
「なんで笑ってるの?」
俺は続けて質問したが、それが面白かったのか彼女は更に笑い出した。
やれやれ、笑いが止まるまで待つしかなさそうだ。
けど誰なのだろう。
制服から察するに若紫学園の生徒であることに間違いはない。
でも同い年にこれだけかわいい子がいれば知らないはずはない。
となると3年生か、それとも新入生だろうか。
などと考えていると、笑い疲れたのかようやく彼女が答えてくれた。
「頭を強く打ったせいで私のこと忘れてしまったの?しずかだよ!
妹のしずかっ!」
「妹のしずか?俺の妹のしずかは小4だぞっ。」
しまった、またまた地雷を踏んだようだ。
彼女がヒーヒー笑い始めた。
「いつの話してるの?小4なんて7年も前の話じゃない(笑)」
7年も前?
俺は目を閉じ、大きく深呼吸をし心を落ち着かせた。
そしてもう一度目を開き、周囲を見渡した。
見慣れたベッドに見慣れた机。
壁には俺が写生したムラサキシキブの花の絵が飾ってある。
ここは俺の部屋だ。
そして目の前の女の子はしずか、俺の妹だ。
寝ぼけていたみたいだが、だんだん意識がハッキリしてきた。
今は2015年3月22日。
俺は23歳でひきこもりのNeet君。
7年も前の夢を見るなんて俺の脳もとうとう腐り始めたか。
「しずか、ごめん寝ぼけてたみたいだ。」
「もう、ベッドから落ちてるから心配したんだからねっ!
それじゃあ私吹奏楽の練習行って来るけど頭痛くない?」
「大丈夫だ。行ってらっしゃい」
しずかは元気よくはーいと言って出かけていった。
それにしても、嫌にリアルな夢だったな。
あの後どうなったんだろう?
もう一度寝れば夢の続きを見れるかもしれないな。
と言うことで、Neetの俺はもう一度寝ることにした。
しばらく経って目を覚ました。
しかしやはり、夢の続きは見れなかった。
辺りはすっかり暗くなっていて、窓から吹き込んでくる風が冷たい。
「のど渇いたな」
俺は近くの自販機までジュースを買いに行くことにした。
その途中、朝見た夢のことをもう一度考えていた。
あの後俺はどうなったのか?
牛若丸やみんなは無事なのか?
俺は指を加えブツブツ考えていた。
考え出すと周りが見えなくなるのは俺の悪い癖だ。
それが行けなかったのだろう。
車に轢かれかけた。
ライトに気づき咄嗟に左に避けたので助かったが、
「バカヤロー!歩行者がいるんだから気をつけろ!」
俺は通り過ぎて言った車に対して吠えた。
まあ俺もボーっとしてたからな。
夢のこと考えても仕方ないのに何考えてんだろ。
でもあの夢何か変だぞ。
と言うかそもそも夢を夜まで覚えてるものなのか?
俺は奇妙な夢に取り付かれたまま家路に着いた。