この物語は、愛あり、涙あり、笑いあり、精神的バイオレンス満載の、いわばフィクションである。
超高層マンションEX 第三話 社会のしくみ
平凡な朝の一幕。
それはその家族にとっての平凡であって、一般的な平凡ではない。
慌ただしく外に飛び出そうとしてるのは、田中家長男の沙夢(さむ)と次男の賢斗(けんと)。
「ちょっと待って待って!!」
二人を呼び止めたのはナンシーだった。
「何?!もう遅れるよ!!
初日から遅刻なんてありえないし。」
今日は二人の転校日、ちなみに久里栖はとっくに出ていった。
「ねぇ、二人とも何か忘れてない?」
二人はお互いの顔を見合わせると、渋々ナンシーの頬にキスをした。
「じゃあ行ってくるよ!!」
「行ってらっしゃ~い!愛してるわ~!!
二人とも愛してるわ~!」
田中家の早朝は『ママにキス』で始まる。
ちなみに終わる時も『ママにキス』だ。
その頃10階長越家では、みさきがいつもより30分も前に家を出ようとしていた。
昨日は北島真奈美の登場により難を逃れたが
中川貴美子の怒りが収まった訳では無い。
今日も同じ時間に現れるという予感は否めない。
エレベーターに乗り込むが、背面の鏡を見る事はない。
みさきは1階につくまでの間、じっとエレベーターの先を見つめていた。
エレベーターが1階に到着する。
そこには・・・誰も居ない。
少し安心して自転車置き場へと向かう。
と、その時だった。後ろからみさきに声が掛かる。
「あら、おはよう。
こんな朝早くからパートだなんて元気ね~。
若さだけはあるみたいね。」
驚いて振り返ると、そこには31階に住む池田佳美が立っていた。
「はぁ~ビックリした。
おはようございます。
今日は用事があって早出なんですよ。」
貴美子じゃない事が分かって、安堵感が広がる。
しかし、その安堵感も次の言葉で一瞬にして無くなった。
「明日の小学生会、会長が出席するらしいわよ。
会長も最近色々あるみたいだから
あんまり機嫌損ねないでね。
って、もう遅いかしらね?
ホホホホホホホホホホホホ」
小学生会の会長。
それは小学生会を立ち上げた中心人物の一人。
その名は『中川貴美子』。
みさきがブルブル震えながらパート先に着いている頃。
下仲岬小学校では、久里栖の自己紹介が始まっていた。
「品川区から引っ越しして来ました。
田中久里栖と申します。
趣味は糸井重里のコピーの書き直し。
って言っても最近では街に溢れるコピーの駄目出し全般なんですが☆
特技は永作博美の物真似です。
そういう事言うんだ・・・・こんな感じです!」
最初教室内の男子達が騒ぎ出したが
途中辺りから教室内は静まりかえった。
久里栖は他の生徒達よりも、そうとう大人びれてるらしい。
「ま、まぁそういう事だからね。
みんな田中さんと仲良くするように。
で、席なんだけど、あの後ろの空いてる所にね。」
久里栖が案内された席に着くと
横の女の子が久里栖に話かけてきた。
「あたし池田弥栄って言うの。
アンタ26階に越して来たんでしょ?
2日前にお母さんから聞いたわ。
あたし31階に住んでるから
これからちゃんとアタシの言う事聞いてよね。」
マンションのルール、それは小学校の中にも浸透していた。
同日午後、田中家に客が訪問してきた。
「はじめまして。
私38階に住む片岡と言うものなんですが
おたく、小学生のお子さんがいらっしゃるみたいですから
このマンションでやってる小学生会に参加なさらないかと思いまして・・・
小学生会っていうのはですね・・・」
彼女の名前は片岡恵。42歳
14歳の娘と8歳の息子、派遣会社の役員である53歳の夫との4人暮らし。
現小学生会の理事長をやっている。
「あ、聞いてます聞いてます。
参加しますよ。」
恵は『聞いてます』の一言に少し心臓がドキっとした。
しかし次の『参加しますよ』で、あまり聞いてない事に安心した。
「あら~。そうですか~。
実は明日、その小学生会の会合がございまして
もしお時間空いてる様でしたら、明日からなんていかがかしら?」
「大丈夫ですよ。
では明日。」
ナンシーは知らなかった。
その参加が、自分の『階級』の位置づけ教育という事に。
次の日、ナンシーは小学生会で自己紹介をしていた。
「初めまして!ナンシー田中と申します。
みなさんナンシーって呼んでくださいね。
えっと、小学3年生の息子と小学6年生の娘が居ます。」
自己紹介は簡単なモノだった。
簡単すぎる自己紹介に一人の参加者から質問が出る。
「田中さんは何階なんですか?」
少し変な質問だと思いつつ
「26階、2605号室です。
っていうかナンシーで良いわよ!」
少し会場がざわめいた。
室内には仕様が全く違うテーブルと椅子が3種類置かれていた。
仕様がチープな方程、人数が多く座らされ
仕様が豪華になる程、人数が少ないという不思議な分かれ方だ。
ナンシーはその中間にあるテーブルへと案内される。
そうなのだ。これこそが『階級』。
1階から15階が『下級層』
16階から30階が『中級層』
31階から45階が『上級層』となっている。
しかも上級層になればなる程、その中で『階級』は細分化されている。
そうこうしてる間に壇上には貴美子が立っていた。
「この前言っていた期末テストの対策。
みなさん考えてきてるかしら?
10階の長越さん。」
貴美子がみさきに話を振った。
「え、えっと。
子供達が勉強しやすい様に
この会場の一部を・・・」
「あっそぉ。」
貴美子はみさきの話を最後まで聞かず、次の話に移った。
「夏休みの予定なんですけど
夏休みに怠けて成績の下がる子が沢山居ます。
毎年週二で勉強会をしているのですが
それでも成績が落ちるのが現状。
何か対策を練らなければなりません。
次回までにみなさんで考えて欲しいんですけど
何か今思いつく事とかありません?
10階の長越さん。」
再び貴美子がみさきに話を振った。
「え、えーっと、えーっと。
週二を週三にするってのは・・・」
「あっそぉ。」
このやりとりで、小学生会始まって以来のハプニングが起こってしまう。
「なんかおかしくありません?
みさきにばかりに振って、肝心な答えを聞かないなんて。
それに何でこんなにバランスの悪い座り方してるのかしら?」
タブーはいつか破られる。
それを破ったのは他の誰でもない。ナンシー田中だ。
「片岡!この人にちゃんとここでのルールを教えておいて。
このマンションで住むって言う事を。
私は私用があるから帰るわ。」
ナンシーの戦いが今始まった。
次回予告
遂にナンシーの戦いに幕が開けた。
それはナンシーだけに終わらない、田中家全員を巻き込む激しい戦いとなる。
その中に味方は居るのか?はたまた全員敵なのか?
そして池田家の過去が明らかに・・・。
次回の超高層マンションEX 第四話 戦争勃発
天を仰げば敵ばかり、地を見下ろせば亡者共
この地に案ずる場所はあるのか?
ハグして!そしてママにキスして!!
超高層マンションEX 第三話 社会のしくみ
平凡な朝の一幕。
それはその家族にとっての平凡であって、一般的な平凡ではない。
慌ただしく外に飛び出そうとしてるのは、田中家長男の沙夢(さむ)と次男の賢斗(けんと)。
「ちょっと待って待って!!」
二人を呼び止めたのはナンシーだった。
「何?!もう遅れるよ!!
初日から遅刻なんてありえないし。」
今日は二人の転校日、ちなみに久里栖はとっくに出ていった。
「ねぇ、二人とも何か忘れてない?」
二人はお互いの顔を見合わせると、渋々ナンシーの頬にキスをした。
「じゃあ行ってくるよ!!」
「行ってらっしゃ~い!愛してるわ~!!
二人とも愛してるわ~!」
田中家の早朝は『ママにキス』で始まる。
ちなみに終わる時も『ママにキス』だ。
その頃10階長越家では、みさきがいつもより30分も前に家を出ようとしていた。
昨日は北島真奈美の登場により難を逃れたが
中川貴美子の怒りが収まった訳では無い。
今日も同じ時間に現れるという予感は否めない。
エレベーターに乗り込むが、背面の鏡を見る事はない。
みさきは1階につくまでの間、じっとエレベーターの先を見つめていた。
エレベーターが1階に到着する。
そこには・・・誰も居ない。
少し安心して自転車置き場へと向かう。
と、その時だった。後ろからみさきに声が掛かる。
「あら、おはよう。
こんな朝早くからパートだなんて元気ね~。
若さだけはあるみたいね。」
驚いて振り返ると、そこには31階に住む池田佳美が立っていた。
「はぁ~ビックリした。
おはようございます。
今日は用事があって早出なんですよ。」
貴美子じゃない事が分かって、安堵感が広がる。
しかし、その安堵感も次の言葉で一瞬にして無くなった。
「明日の小学生会、会長が出席するらしいわよ。
会長も最近色々あるみたいだから
あんまり機嫌損ねないでね。
って、もう遅いかしらね?
ホホホホホホホホホホホホ」
小学生会の会長。
それは小学生会を立ち上げた中心人物の一人。
その名は『中川貴美子』。
みさきがブルブル震えながらパート先に着いている頃。
下仲岬小学校では、久里栖の自己紹介が始まっていた。
「品川区から引っ越しして来ました。
田中久里栖と申します。
趣味は糸井重里のコピーの書き直し。
って言っても最近では街に溢れるコピーの駄目出し全般なんですが☆
特技は永作博美の物真似です。
そういう事言うんだ・・・・こんな感じです!」
最初教室内の男子達が騒ぎ出したが
途中辺りから教室内は静まりかえった。
久里栖は他の生徒達よりも、そうとう大人びれてるらしい。
「ま、まぁそういう事だからね。
みんな田中さんと仲良くするように。
で、席なんだけど、あの後ろの空いてる所にね。」
久里栖が案内された席に着くと
横の女の子が久里栖に話かけてきた。
「あたし池田弥栄って言うの。
アンタ26階に越して来たんでしょ?
2日前にお母さんから聞いたわ。
あたし31階に住んでるから
これからちゃんとアタシの言う事聞いてよね。」
マンションのルール、それは小学校の中にも浸透していた。
同日午後、田中家に客が訪問してきた。
「はじめまして。
私38階に住む片岡と言うものなんですが
おたく、小学生のお子さんがいらっしゃるみたいですから
このマンションでやってる小学生会に参加なさらないかと思いまして・・・
小学生会っていうのはですね・・・」
彼女の名前は片岡恵。42歳
14歳の娘と8歳の息子、派遣会社の役員である53歳の夫との4人暮らし。
現小学生会の理事長をやっている。
「あ、聞いてます聞いてます。
参加しますよ。」
恵は『聞いてます』の一言に少し心臓がドキっとした。
しかし次の『参加しますよ』で、あまり聞いてない事に安心した。
「あら~。そうですか~。
実は明日、その小学生会の会合がございまして
もしお時間空いてる様でしたら、明日からなんていかがかしら?」
「大丈夫ですよ。
では明日。」
ナンシーは知らなかった。
その参加が、自分の『階級』の位置づけ教育という事に。
次の日、ナンシーは小学生会で自己紹介をしていた。
「初めまして!ナンシー田中と申します。
みなさんナンシーって呼んでくださいね。
えっと、小学3年生の息子と小学6年生の娘が居ます。」
自己紹介は簡単なモノだった。
簡単すぎる自己紹介に一人の参加者から質問が出る。
「田中さんは何階なんですか?」
少し変な質問だと思いつつ
「26階、2605号室です。
っていうかナンシーで良いわよ!」
少し会場がざわめいた。
室内には仕様が全く違うテーブルと椅子が3種類置かれていた。
仕様がチープな方程、人数が多く座らされ
仕様が豪華になる程、人数が少ないという不思議な分かれ方だ。
ナンシーはその中間にあるテーブルへと案内される。
そうなのだ。これこそが『階級』。
1階から15階が『下級層』
16階から30階が『中級層』
31階から45階が『上級層』となっている。
しかも上級層になればなる程、その中で『階級』は細分化されている。
そうこうしてる間に壇上には貴美子が立っていた。
「この前言っていた期末テストの対策。
みなさん考えてきてるかしら?
10階の長越さん。」
貴美子がみさきに話を振った。
「え、えっと。
子供達が勉強しやすい様に
この会場の一部を・・・」
「あっそぉ。」
貴美子はみさきの話を最後まで聞かず、次の話に移った。
「夏休みの予定なんですけど
夏休みに怠けて成績の下がる子が沢山居ます。
毎年週二で勉強会をしているのですが
それでも成績が落ちるのが現状。
何か対策を練らなければなりません。
次回までにみなさんで考えて欲しいんですけど
何か今思いつく事とかありません?
10階の長越さん。」
再び貴美子がみさきに話を振った。
「え、えーっと、えーっと。
週二を週三にするってのは・・・」
「あっそぉ。」
このやりとりで、小学生会始まって以来のハプニングが起こってしまう。
「なんかおかしくありません?
みさきにばかりに振って、肝心な答えを聞かないなんて。
それに何でこんなにバランスの悪い座り方してるのかしら?」
タブーはいつか破られる。
それを破ったのは他の誰でもない。ナンシー田中だ。
「片岡!この人にちゃんとここでのルールを教えておいて。
このマンションで住むって言う事を。
私は私用があるから帰るわ。」
ナンシーの戦いが今始まった。
次回予告
遂にナンシーの戦いに幕が開けた。
それはナンシーだけに終わらない、田中家全員を巻き込む激しい戦いとなる。
その中に味方は居るのか?はたまた全員敵なのか?
そして池田家の過去が明らかに・・・。
次回の超高層マンションEX 第四話 戦争勃発
天を仰げば敵ばかり、地を見下ろせば亡者共
この地に案ずる場所はあるのか?
ハグして!そしてママにキスして!!