佐藤一の著作を読み、戦後史についての心の整理がついた。素晴らしい。第一、著者の名前がいい。平凡過ぎてNPBなら登録名「ハジメ」とでもしただろう。感情的な表現が多いのは佐藤が行動の人だから。何しろ松川事件で死刑判決を言い渡されていたくらいなのだ。日本共産党にはガッカリだ。欧州の共産党や革命左翼がソ連から多額の援助を受けていたのと同様に、こちらも少なくとも1955年まではモスクワの指揮下にあったのだ。下山、三鷹、松川の三大国鉄事件に白鳥事件まで加え、日本の黒い霧を解き明かすとする論を張った清張の支離滅裂を指摘した佐藤一。やはり事実は小説より面白い。五全協、六全協もよくわかった。日本の司法制度が凡そまともに機能したためしがないことも。しかし、それは至極当然ではあった。左翼運動が欺瞞に満ち溢れていたとしても、そのこと自体が日本の支配体制の健全さや正当性を示唆することは一切ないのだから。六全協がよくわかったとは言え、国際共産主義運動が何だったのかは依然謎のままだ。地政学を知らない理想主義者たちを
だまして利用した一部権力者たちの勢 力拡大運動だったのか。大義名分はいつでもなんとでも作れる、という典型例か?
