自宅が泥棒に入られた件と、それでわかったアメリカのセキュリティ | 微事ログ・オルタナティブ

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ラスベガスに住むプログラマー、パスカルの日常

隣に住む男が朝に我が家に現れ、庭に落ちたボールを取らせて欲しいと言ってきました。裏庭へ行くには自宅の中を通る必要があります。応答した妻は男を自宅に入れたのですが、英語が話せないので、通訳として2階にいる娘を呼びに行きました。

財布の入ったカバンが机の上にあったので、不用心だと思った妻は2階へ行く前に椅子へ下ろしました。しかし妻が2階から戻ると男は既にいなくなっており、カバンの中の財布も消えていました。男が財布を盗って行ったことは明らかです。

私はその時職場にいて、妻から財布を盗られたので隣の家に行くと電話があり、慌てて止めさせ、仕事を抜け出して自宅へ急行し、すぐに警察を呼びました。

911のオペレーターに事情を説明しているうちに続々とパトカーが自宅の前に集まってきます。

警官にも事情を一通り話し、隣の家をチェックしてもらいました。しばらくノックを続けても応答がなく、警官は調書を取って帰っていきました。パトカー1台が少し離れたところに残り、遠くからしばらく見張ってくれました。恐らく警官を呼んだことに怒って攻撃してくる場合があるためだろうと思います。

妻の財布を盗んだ男はその頃、近くのガソリンスタンドへ行き、妻のデビットカードで2台の車に給油し、ウォルマートで妻のカードを使って$600ぶんの買い物をしていました。応答がなかったのは、すぐに出かけていたからだったのです。

警官が帰った後にカードを停止させましたが間に合いませんでした。その後カード会社と話をして、悪用された分は無事に補償されました。

2年前に隣に引っ越してきたメキシコ人は以前から怪しく、働いている様子もなく、ゴミの日は守らないし、深夜に幼い子供たちが外で遊んでいるし、近所の人にSWATを呼ばれたことが2回もあります。間違いなく銃も持っているでしょう。うかつに問いただしに行くべきではありません。

結局隣人は逮捕されていません。逮捕されて欲しいところですが、相手に正義の鉄槌を下すことよりも、家族の安全を守ることが最優先です。すぐに引っ越すべく、不動産屋に連絡して新しい物件を回り始めています。




ところで今回の一件で、米国のセキュリティに関していくつか分かったことがあります。

銀行のカードはデビットカードで、クレジットカードと互換性があります。クレジットカードはサイン認証で、自販機の場合は郵便番号認証になりますが、デビットカードは暗証番号による認証になります。

妻のデビットカードは盗まれた直後にガソリンスタンドで悪用されました。本来は暗証番号で守られているはずです。カードには暗証番号のデータは記録されていないはずですし、総当たりで番号をすぐに見つけたとも、以前から知っていたとも思えません。暗証番号を入力せずにガソリンスタンドでガソリンを入れる技があるのだろうと思います。カウンターではクレジットカードとしても使えるので、カウンターで支払ったのかもしれません。

いずれにしても暗証番号が全く何のプロテクションにもならなかったということに衝撃を受けました。

またウォルマートで使われたもう1枚のクレジットカードについても、$600も使えば必ず店員が身分証明書を確認しているはずで、その際に妻の運転免許証を提示したのでしょうから、アジア人の写真がついた免許証をメキシコ人が提示しても何の不信感も持たれなかったということになります。

これはつまり、免許証がさらに悪用される恐れもあるということです。妻はその日のうちにDMVへ行き、免許が盗まれたことを伝えて再発行しました。運転免許のID番号は変わらないようです。まず心配なのは、犯人が交通違反を起こしたときに、その免許証を提示して妻になりすますのではないかということです。DMVへ連絡したので、警官が免許を照会するときに盗難された記録があることを確認してもらえるとよいのですが。

幸いにもSSNカードは財布に入れていませんでした。渡米直後はSSNカードを使うことが多く、私は一時期SSNカードを財布に入れていましたが、もしSSNカードと免許証を同時に盗まれるようなことがあれば、金を借りたり車を買ったりやりたい放題される恐れがあります。前述のように、免許による本人確認というのはあまりあてになりません。写真の人種が違っていてもわからないのです。しかしSSNが不明であれば、免許で悪用できることは限られているはずです。財布にSSNカードを入れている人は今すぐやめたほうがよさそうです。

私たち夫婦はサインが日本語です。普通に楷書の日本名をサインにしています。これがセキュリティ的に有効なようです。大半の日本人は米国で西洋人っぽいサインを使っているでしょう。日本語のサインはあまり格好がいいものではありません。でも日本ではサインなんか使わないのに、海外に出たとたんに、普段使わない英語のサインというのもいかがなものでしょうか。私が日本語のサインを使っているのは、まず自分のアイデンティティであるというのが1番の理由で、セキュリティは2番目の理由でした。妻も私に倣って日本語にしています。パスポートのサインも日本語です。ちなみにアメリカ人は日本語でサインをするとクールだクールだと褒めてくれます。

もし免許を悪用してローンを組もうとした場合、写真による本人確認がほとんど役に立たず、セキュリティとしては不十分であることがわかりました。サインが日本語であるというのはかなりインパクトがありますので、メキシコ人でこのサインはおかしいだろうと相手もかなり高い確率で気づくはずで、これは結構有効なセキュリティになってくれるはずです。スーパーなどではスルーされても、カーディーラーなどではスルーされないでしょう。

免許の有効期限が短いことも防犯上は多少意味がありそうです。ビザ滞在者はビザの滞在期限が切れると運転免許の期限も切れます。ネバダの場合、アメリカ人は4年に1度の更新で、最近の法改正で8年に一度の更新へ移行中ですが、私のビザでは2年に1度更新しないといけません。滞在期限が切れる前に出国して戻ってこないといけませんので、事実上は1年半です。しかし免許の期限が長期になるのも、今回の一件があってから、必ずしもいいものではないと思えるようになりました。妻の免許はあと半年で期限が切れますので、悪用できるのもあと半年です。