福島3号機、もっと早くに注水機能停止か 消防車の水も届かず
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CHPCIの仕組み
東京電力は13日、炉心溶融(メルトダウン)が起きた福島第1原発3号機で、原子炉を冷却する「高圧注水系(HPCI)」の機能が、これまでの推定より早く停止した可能性があるとする新たな分析結果を発表した。
事故時に消防車を使用した注水が別配管に流れ原子炉に十分届いていなかったことも公表。注水の停止で、より長時間にわたり燃料が熱せられたとみられ、東電は「格納容器内には従来の評価よりも多くの燃料が溶け落ちた」とし、HPCIが停止した時期や燃料の状態を詳しく調べる。
東電は昨年6月の社内事故調最終報告で未解明だった点を調査し、今回初めて進捗(しんちょく)状況を発表した。
HPCIは平成23年3月12日午後0時35分に起動。13日午前2時42分に、原子炉内の圧力が操作手順書の基準以下になり振動も大きくなったことから、炉の損傷を恐れた運転員が手動で停止した。
停止前の12日午後8時36分に水位計が壊れ注水量が不明となっていたが、手動停止の時点で注水が停止したとして燃料の状態などを推定していた。
しかし、今回東電が詳細に分析したところ、復旧した水位計による実測値と解析値に大きな隔たりがあることが判明。実測値を基に推定すると、手動停止よりも前の段階で注水が止まっていた可能性が浮上した。
一方、1~3号機の原子炉に消防車で注水した際、十分な冷却機能を果たさなかったことについても分析結果をまとめた。
福島3号機、もっと早くに注水機能停止か 消防車の水も届かず
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CHPCIの仕組み
注水経路となった配管の弁を閉めていなかったため、水が配管を逆流するなどして冷却に十分な量が原子炉へ到達しなかったとしている。柏崎刈羽原発では事故後、配管に逆流しない仕組みの弁を設置したという。
東電は「原子炉に水が入れば炉心溶融の進行を抑えられた可能性がある」としている。
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■高圧注水系(HPCI) 非常時に炉心を冷却する装置の一つ,おRMT。原子炉の圧力が高い状態の時に、原子炉内の蒸気を利用してタービンを駆動し、原子炉内に冷却水を注水することができる。柏崎刈羽原発には、電気駆動の後継機、高圧炉心スプレイ系(HPCS)が導入されている。