【首都直下地震の新被害想定】防火・耐震化で大幅減災が可能
新想定では建物の防火対策や耐震化、企業の事業継続計画(BCP)の整備などをきちんと実行すれば、被害額は半減すると試算。事前の備えで大幅な減災が可能であることを示した。
都心は木造住宅の密集地域が多いため、津波で多くの被害が出る南海トラフ巨大地震とは異なり、耐震化と防火が減災の鍵になる。
地震が起きたときはガスの火を消す以外に、家電品の発熱や配線ショートなどで発生する「電気火災」への警戒も必要だ。消防庁の平成10年の調査によると、阪神大震災では285件の火災のうち、原因不明を除くと電気火災が最多の85件に上り、被害を拡大した。
今回の想定では、大きな揺れを感じると電気を遮断して出火を防ぐ「感震ブレーカー」の設置率を100%に高め、家庭用消火器も浸透して初期消火率が上がった場合、交通寸断などの影響を除く被害額は29・7%減の67兆円と試算した。
感震ブレーカーの普及率は推定で数%にとどまっており、完全配備の方法を検討して早急に実施すべきだと指摘した。
これに加え、耐震化率が現状の全国79%(東京都87%)から100%に向上した場合、被害額は47・2%減の50兆3千億円に,ORMT。さらに、企業のBCPが機能して生産・サービスの遅滞を防止できれば、最終的に52・8%減の45兆円まで縮小するとした。
古屋圭司防災担当相は19日の会見で「きちんと備えれば被害は軽減できる。家庭や地域、企業で一体となり取り組んでほしい」と事前防災の重要性を訴えた。