朝大、嬉しい出会い三連発
【10月21日・土曜日】
全国の少年団員による「クイズ王」決定戦が開かれるというので朝大へ。前回、和歌山ハッキョの生徒が、ぶっちぎりで優勝した、その大会。二年ぶりの開催だ。
国分寺で朝大行のバスに駆け込むと、超満員。後部座席には、一見してウリハッキョの児童、生徒が座っていた。
「クイズ王大会?」
声をかけると、二、三人の生徒が席を譲ろうとする。遠方からの「参戦組」なのだろう、皆大きな荷物を持っている。
一番後方に座っていたのは大阪からの参戦組だ。二人の教員が一二、一三人の児童・生徒を引率、「各学校の先生が一緒に来ることができればいいのですが…」。南大阪ハッキョの女性教師の話だ。バスが発車すると、その先生の隣に座った児童が、雨で曇った窓ガラスに何やら書きだした。「Y=…」何行か書いて、私の視線が気になったのか、手で慌てて消していた。
「このトンムは朝大に行くのが初めて…それだけで興奮気味…入学を希望…」。先生のそんな紹介に照れ笑いをしていた。
他の子どもたちも、早起きをしたせいか、車内は至って静かだ。
「明日はディズニーランド? 台風が近づいているというのに…」。前回はそうだった。
「朝大で泊まって…体育館で運動…」。児童もそうだが、先生も少し残念そうな表情だ。
同じバスには、千葉ハッキョの「選手」も乗っていた。
バスを降りて、校門に向かうと、何人かの朝大生が「選手」を取り囲むようにして出てきた。出身校の後輩を激励の昼食に連れだしたようだ。
バスの中での参加者の様子にふれられたこと、それがうれしい出会いの一つだ。
雨が強くて、写真を撮れないのが残念だ。
××
昼食はカルビ焼き。並んで器をトレーに載せると、呼び止められた。食券は渡したはずだが…? 振り返ると、引率教師と間違えられたのだろうか、大盛と替えてくれた。
食事を終えて、器を戻していると、韓昌道先生の笑顔に遭遇。いきなり「遅くなって…原稿、送りました」。七月、平壌滞在中に朝大の体育学部の学生とホテルで一緒になった。韓先生は、何日か遅れて着くとか、「それで原稿依頼」の伝言を頼んだ。自然博物館を見たので、是非とも「昆虫博士」の韓先生の専門家としての見解を知りたかったからだ。早速、スマホで確認すると長文の原稿と写真が届いていた。
いつものように校内をひと回りする。

事務棟のロビーに、何人かの学生が宅配便で届いた荷物を受け取りに来ていた。「食べ物?」。「それも入っていればうれしいです。冬物の服です」との答えが戻ってきた。金木犀の香りの時期が過ぎると、冬支度だ。
図書館に向かう。池にまだカルガモがいる。小雨に打たれながら三羽はうずくまっていたが、一羽はすいすいと泳いでいた。

『風景』の前号に「朝大の人工池での野生カルガモの繁殖」を寄稿してくれた鄭鐘烈先生によると、大手町のビルでのカルガモが残した孵化後の滞在記録の九〇日を更新中とのことだ。鄭先生は、次号に「その後のカルガモ」の執筆を約束してくれた。
次号に、韓先生と鄭先生の執筆原稿をゲット、メールではなく偶然にも会うことができ、直接話ができた。嬉しい出会いだ。
図書館正面の「新着図書」紹介コーナーに『風景』の別冊「今どきの朝高生と朝鮮 ピョンヤン&白頭山」が陳列されていた。手に取ると、読んだ跡がある。これは嬉しい出会いの番外編だ。
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「クイズ王決定戦―私たちの勝利は科学だ!」には、学校別の予選を勝ち抜いた初級部四四人と中級部二八人が参加した。講堂での開会式に引き続き、準決勝は校内のいくつかのチェックポイントをまわる、オリエンテーリングの形式で、上位八人による決勝戦は、計三〇問を早押し形式で争われた。
図書館前で準決勝に挑む「選手」に会った。「蛤?」何か難しい漢字にチャレンジしていた。すらすら答える児童を前に、朝大生からは「この子ら只者ではない」と一言。

サッカーやバスケットボール、舞踊や声楽などでも「全国大会」が催されているが、こうした雑学での競技大会もありだと思う。朝大生を身近に接し、各地の「強豪」を目のあたりにして、刺激を受け、勉学の励みにもなるようだ。
一九六〇年代まで行われた高級部生徒による「一等生試験」に参加するための徹夜の日々が思い出された。
*加筆して、11月に刊行する『朝鮮学校のある風景』46号に掲載します。