【11月4日・土曜日】
東京北区の西が丘サッカー場に「イギョラ」の赤いのぼりが並んだ。全国高校サッカー選手権東京予選で準決勝まで勝ち上がってきた東京朝鮮高級学校サッカー部が強豪・関東第一高校と対戦した。
応援席を埋めた赤いTシャツや制服姿の朝高生が、ブラスバンド部の奏でる「行こう! 白頭山へ」に合わせ力強い歌声でエールを送る。古くは「遊撃隊行進曲」から新しくは「一気に!(タンスメ!)」まで歴代の朝鮮ヒットメドレーにまじり、校歌や「バスに乗って、電車に乗って」などウリノレ(在日朝鮮人の歌)が広いグランドに響く。合間に選手たちの名前を連呼して、激励する。

そんな応援に励まされ、前半は二点を先取され押され気味だった朝高サッカー部が、後半一〇分過ぎに二本のシュートを相次いで放った。ゴールキーパーの予想以上の好守で遮られたもののその一〇分後、ようやく一点を返した。2―1で勢いづき、応援に力が入る。ところがその一五分後、速いプレーでアッという間にゴールされ3―1に。残り時間は一五分。PKで勝ち抜いてきたとはいえ二点を返すのは…、と弱気になり始めた三三分頃(残り時間七分)、まず一点、次いで二分後にまた一点、同点ゴールに応援席が総立ちになった。
緊張と期待の中、延長戦が始まった。延長前半二分、関東第一が一点先取。その後何度かシュートを打ったが、ゴールキーパーの好守に阻まれた。4―3、東京朝高サッカー部の全国高校サッカー選手権大会が終わった。グランドに倒れこむ選手、応援席で涙を流す生徒たち。
試合を終え、まず相手校の選手たちが整列して、「ありがとうございました」と深い礼をした。赤いTシャツを着た最前列の朝高生が「次、必ず勝てよ!」「がんばれよ!」と声をかけていた。相手校選手のお辞儀は思ったより長かった。
替わって朝高サッカー部の選手たちが整列した。キャプテンが「来年は後輩たちがこの競技場で必ず勝ってくれるはず…、引き続き応援をよろしくお願いします」とあいさつし、全員が深々と礼をした。

競技場を出ながら、涙しながら応援席を後にする朝高の女子生徒たちの姿を目にした。「青春」という言葉が頭に浮かんだ。(この項、金淑子)
*加筆して、11月刊行の『朝鮮学校のある風景』に掲載します。