寒いぞ!入試前日の朝大
【1月23日・月曜日】
新宿から、吉祥寺、高円寺、国分寺と、「寺」を越えるたびに気温が一度下がると、言われている。国分寺の駅に降り立った時、寒さが身にしみた。
いつもの昼食時だ。講義を終え、食堂に向かう学生たちも足早だ。食堂の前の数段の階段に、無造作に置かれた教科書やノートが風になびいている。プリントが数枚、舞っていた。
今年二度目の学食、この日のメニューはサンマ定食、曜日ごとにローテーションがあるのか、昨年一一月の月曜日のメニューと同じだ。夏休み前だっただろうか。行くたびにメンチカツがつづいたことが思い出された。
朝食の残りなのだろう、マカロニ?サラダが一メートルぐらいあるボールに、すでに底をついていた。

寒かった。校庭を歩く、女子学生からは「チュプタ」、「チュウォラ」の声しか聞こえない。研究棟から下りてくる学生はカーディガンにマフラーぐらいだが、一度寄宿舎に行った学生たちは、「くまさん」状態に着込んでいた。


昼食を終え、第三研究棟で何人かの先生に話を聞いて図書館へ。学生たちの姿はない。
書庫は相変わらず寒い。何枚かの資料をコピーして、外に出ようとすると、「ミアナムニダ。寒かったでしょう。講堂で学生たちの集まりがあったので…」。閲覧室は、暖房の余韻が残っていて、それほど寒さを感じなかった。
講堂から学生たちが一斉に出てきていた。月曜は学生会や、学部別,班別のモイム[集まり]の日だ。私が在学中は土曜日だった。週末はアルバイトに出かける学生が多いので、週初めになったと、聞いたことがある。講堂には暖房が入っていたというが、そとにでてくるなり、「チュプタ」、「チュウォラ」の大合唱。気温も下がっているが、時折吹く風に体温を奪われるようだ。
池の前で顔見知りの先生と二言三言、言葉を交わす。やっぱり寒いという話だ。
何日か前には池に氷が張ったという。翌日が大学入試、試験会場は、ここ大学と大阪朝高とのことだ。
「受験に来た高校生が、朝大って寒い…四年間耐えられないと、入学を躊躇しなければいいが…」。
そんな心配もしていた。今年は日本の大学でも受験者が多いようだが、朝大の受験者も例年よりやや多いとのことだ。
講堂での全校集会が終わると、校、内の大掃除だ。枯葉を集め、ごみ袋に入れる女子大生たちのいでたちが凄い。大きなヒザかけを腰に巻いたり、頭からすっぽりかぶったりしている学生もいる。ここでは、「チュプタ」、「チュウォラ」の声の合間に大きな笑い声だ。
先ほどの、「寒さを理由に入学をためらう高校生が…」という先生の話が思い浮かび、写真を撮ることができなかった。
「寒いでしょ」と声をかけると、「ケンチャンスムニダ」との返事が。
この寒さの峠を越すと、木蓮のつぼみが、すると間もなくして卒業式だ。そして、ツツジの花が咲きだすころ、新入生を迎える。入試を一日前にした朝鮮大学校の風景だ。
××
翌二四日、朝、テレビをつけると、八時現在都心で一℃、明け方はマイナス一・九度、今年四度目の冬日を記録したとのことだ。日中も三~五℃、朝大の受験生のことが気にかかった。
*加筆して、3月下旬に刊行する『朝鮮学校のある風景』42号に掲載します。