教会でウリハッキョを語る | トンポ・トンネ 日々イモジョモ

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教会でウリハッキョを語る
12月8日・土曜日】
 練馬区の教会で、子どもをウリハッキョ(朝鮮学校)に通わせた、通わせている三人の女性の話を聞く場が設けられた。
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 自己紹介から保護者の様々な「顔」がうかがえた。
 子どもを通じて初めて朝鮮学校を知ったという申さんは夫婦ともに日本学校出身だ。金さんは「父と母、私、そして子どもの三代が朝鮮学校を卒業」、連れ合いもそうだ。韓さんの両親はともに日本学校を卒業したが、自分は小学校から大学まで一六年間民族教育を受け、ひとりは朝鮮高校を卒業して日本の大学に進学し、もう一人は朝高に在学中とのことだ。
 この会を催した岩瀬たけし練馬区議(市民の声ねりま)は、「それではみなさん…質問がある方は…」と。
 三人の女性が紹介される前、韓国の映像創作集団がつくったウリハッキョ紹介動画を観て、無償化裁判弁護団の伊藤朝日太郎弁護士が「朝鮮学校を支持する日本人として」、在日の歴史と朝鮮学校の現状について話をきいたものの沈黙が…。岩瀬区議によると、五〇名ほどの参加者の三分の一が教会関係者、残りは区議の支援者で、初めての人も何名か。質問が出ないのも無理からぬことかも。
区議は、「公共施設に在日を対象としたみるに堪えない落書きが2014年をピークに毎年発生している」ことにふれ、地域でこうしたイベントを催す意味を強調しながら、高裁での「無償化」裁判の不当な判決の感想を求めた。

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 申さんは、高校生が日本政府を相手に裁判を起こさなくてはいけない厳しい現実にふれ、「学ぶ権利はないんだよ…摩訶不思議な判決に怒りと共にこの国は何なのだという憤りが…」、金さんもまた、「この日本は一体どうなってしまうのだろう」という危惧を、「私たちはここで生きてはいけないのかな、そんな思いが…」。韓さんは「七〇年間戦わずして得られた権利は一つもなかった。ほっておけば日本人になる、それが『本音』では…裁判の行く末は分からないが言葉と文化、ルーツを知らせる教育はどんなことがあっても守っていく」と。そして三人が共通して口にしたことは、「日本の支援者がこんなにもたくさんいるということを実感させてくれた裁判闘争だった」ということだ。
 会場から「拉致…二〇〇二年が潮目だったのか?」との質問が飛び出した。
 申さんは「朝鮮学校に入学させて何か月して…まず子どもたちが狙われる、一緒に登校してとの連絡が…子どもを守って生きてきた。『拉致』といえばいじめられてもいい対象に…」。途中で言葉が出ない。他のオモニたちはたくさんの悔しい思いをしたようだ。
 朝鮮学校を訪問したことがある女性が話し出す。見学して、アリランと赤トンボのコーラスも聞き、一緒に焼肉も…。「在日の方から歩み寄ってくれているのに胸が痛む。私たちこそしなくてはならないことがあるのに…周囲で『雑音』を聞くたびにもぐらたたきのように対処しているが…こんなことが何年も続いている…」、「こんなことでは東アジアで日本だけが取り残されてしまう」と。
 金さんは、「南北の融和が進み…祖国の統一が先か、『無償化』が先か…統一して高校無償化の進むのではないか、そんな思いにかられることも…」。
 「近所付き合いは」との質問に「普通に町内会費も払い…」、「役員も引き受け…」、「団地の掃除も…」、と応えながらも、心痛むエピソードが語られた。
 「お子さん礼儀正しくて、どこの学校? 朝鮮学校と答えると顔色が…」(金さん)、パート先で娘が朝鮮学校に通っているというと、「なぜか『大丈夫よ』との答え…何が? 大丈夫?」(申さん)、「当たり障りのない会話しか…それが日常」(韓さん)。生きづらいという前に、暮らしづらい現状が浮き彫りにされた。
 会場からは「五輪、万博をやるという国が…地域で何ができるのか考えてみたい」との声が。
 そして、最後に一言ずつ。
 韓さんは「ありがたい」、「ありがとう」、「よろしく」、涙で言葉が続かない。金さんは、「国籍が『朝鮮』だと言えない時も…でもへこたれる私たちではない」と。申さんは「同じ在日でもいろんな人が…朝鮮学校に入れることによって明るく素敵なオモニたちと会えて…一人が強く生きて行けばいいのではなく、声を上げていく、知り合うことを大切に、これからも前を向いて生きていきたい」と。
 岩瀬区議からは、これからも差別や偏見に目を背けず地域でできることに取り組んでいく、毎月二〇日の区内の駅頭での「無償化」実現の街頭宣伝への参加と、東京第三の新校舎建設への募金が呼びかけられた。
タイトル通り「在日コリアンとしてこの社会に生きるということ―民族学校オモニのみなさんとともに考える」場になった。一方的に話す、聞くのではなく、自分のことも話しながら問う、心の通った集まりだった。互いの顔をみることができる、このようにウリハッキョを語る機会がこれからも設けることができればと思った。
岩瀬区議は、冒頭、「このイベントを公表すると、今までにない中傷のメッセージが寄せられた。意味のない、人権無視の誹謗中傷…こんなにも反感が強いとは…だからこそ地域の中でこうした催しを行う意義が…」と、述べていたが、明らかに、その第一歩になったようだ。
二時間にわたる話しあいの場が終わった後も、伊藤朝日太郎弁護士と三人の女性たちは参加者に取り囲まれていた。話は尽きないようだった。
*加筆して『朝鮮学校のある風景』53号に掲載します。