【4月2日・日曜日】
長野朝鮮初中級学校には、これまでも何度か足を運んだことがある。
校舎に隣接する自前の畑。サムチュと野沢菜の季節だ。紫がかったサムチュは本場韓国産とのこと、野沢菜といえば漬物だが、新芽のこの時期は、漬けずにそのままで美味しいそうだ。
まずは、付属幼稚園の入園式。両親だけではなく、祖父母、知人もお祝いに駆けつけていた。
校長が歓迎のあいさつ。保護者に向かってはウリマルで「責任をもって立派に育てます」と。園児には「わかんないよね」と日本語で話しかけていた。
…いっぱい食べて…お姉さん、お兄さんたちと元気に一緒に遊んで…。
幼稚園の担当主任が一人ずつ名前を呼ぶ。「呼ばれたら、元気にイェッて…」。
一人目の大きな声での「イェ~」には、会場から「お~」の歓声と拍手だ。二人目と三人目は、名前を呼ばれる前に「イエッ…」。会場は笑い声に包まれた。
年長組と年少組・保育班の担任が紹介される。二人とも、保護者たちを安心させる笑顔だ。

主任は保護者に通園バスや行事の説明をし始める。入園児はなかなか親元を離れようとしない。もう一人の先生は、八人の園児を集め、「ピョンアリパン(ひよこ組)は…コキリパン(像組)は…」と、ウリマルを交えて話していた。園児たちは周囲に大人がいるので、落ち着かない。それでも保護者が向けるスマホには、笑顔で応じていた。

会場を体育館に移して、初級部と中級部の入学式。いつものように校内をひと回り。教室にいたのは、初級部一年生だけだった。黒板には、「入学をお祝いします」との文字の下の六つのチューリップには、新入生の名前が記されていた。緊張してか、二人の児童は、トイレに行ったり来たりしていた。

地元のチョチョン(青年同盟)か、チョンサンフェ(青商会)のメンバーなのか、ラフな格好の若者たちがつくる花の輪をくぐって新入生が入場。多くが付属幼稚園出身とはいえ、新入生は緊張気味。中級部の九人は、笑顔で舞台正面の席に着いた。

校長が大切な子どもをウリハッキョに送ってくれた学父母に感謝を述べた。
初級部の新入生は、保護者と一緒に紹介され、児童を挟み、その場で記念写真に収まっていた。松本市内が四人、上田から一人、石川県から松本に引っ越しきた児童が一人だ。
初級部と中級部の新入生代表が決意表明。初級部児童の「…チャカン ハクセンイ…」に、会場からは「평양억양(平壌のイントネーション)だ」との声が飛んだ。幼稚班の出身だ。
そして担任の発表。歓声や喚声が漏れるかと思っていたが、四年生のときはなぜか笑いがもれたものの、意外と整然としていた。
上田までの通学バスの運転手と、幼稚園の「補助」として、日本人スタッフが紹介された。運転手は人気者のようだ。幼稚園の補助の女性は日本の幼稚園の園長を務めたベテラン、たくさんのアドバイスをもらってきたようだ。

新入生の記念写真。両親だけではなく、祖父母なども加わり、舞台いっぱいに並んでいた。石川県からの新入生には、一〇人を越える一族がお祝いに駆けつけたとのことだ。
しばらくすると、校舎に隣接する田んぼで、日本の市民団体の手を借りて田植えが行われる。秋にも、成長した新入園児と新入生の姿を見に来ようと思う。
*加筆して、五月下旬に刊行する『朝鮮学校のある風景』43号に掲載します。