【2月14日・土曜日】
信号を渡ると、東京朝鮮文化会館に向う朝大生のながい列、前を行く三人が楽しそうに話している。真ん中にいるのは張学長だ。
「何年生になった?」、「三年になります…」、「今の一年生は一生懸命勉強しているようだが…」。そんな話声が聞こえた。
私・「アンニョンハシムニカ、楽しそうですね。学生に難しいこと言っているのでしょう…」
学長先生・「いやいや…私が苛められているのです。弱点を突いてくるのです…」
私・「??」
学長先生・「自分の名前を知っているかって…」
学長だからと言って、全校生の名前を覚えられるはずがないのだが…。私も二人の学生の調子に合わせてみた。

私・「先生、私の名前は知っていますか?」
学長先生・「知っている、イルトンム、政経学部一四期でしょ」
私・「コマッスムニダ。名前だけではなく、学部まで…」
二人の学生はいぶしそうに学長と私とのやり取りを見ていた。
学長先生・「このトンムは…トンムたち知らないかな…あれは『朝鮮学校のある』…、全国のウリハッキョのことを…」。本の宣伝までしてくれた。
時おり、学生の黄緑色のマフラーが寒風になびいた。校門をくぐりながらも話は続いた。
私・「トンムたちは、終わったら…何時まで帰ればいいの?」
学生・「今日の門限は一〇時です…」
私・「七時ごろには終わるから、寄り道して…」
学長先生・「そうもいかないんだ。試験中なので…」
学長先生の言葉に、二人は笑顔でうなずいていた。
ほんの五、六分だったが、なぜか清々しい気分にひたれた。ほっこ
× ×

この日の演目の独唱や重唱、合唱は、初めて聞く歌ばかりだった。金剛山歌劇団の公演を観るのは久しぶりだ。チャンセナプによるアリランには、二階に座った朝大生からアンコールの声が飛んでいた。