東京第一初中の「朝の部活」へ。
【2月12日・木曜日】
「朝のアボジ掃除部員、募集中」との李創建(リ・チャンゴン)さんのfbに誘われて東京第一へ。八時三〇分過ぎ学校に着くと、運動場からは園児の元気な声が聞こえていた。見送りに来たオモニが、人工芝の上を駆けまわる園児にスマホを向けていた。

ハッキョポス[通学バス]が停まっている裏門まで行ったが、掃除をする人の姿がない。
戻ろうとすると、表情が少しずつ異なる七体の石像が目に飛び込んできた。大きな目と鼻、唇は閉じ、両手を腹部で合わせ、帽子をかぶっている、済州島のトルハルバン[石製の爺さん]のミニチュア版だ。ウリハッキョを守る門番? 何ともいい表情をしていた。

「掃除は?」。康校長は「今はじまりました。自転車を…」。校門の前にはぎっしり自転車が並んでいた。「チョンソアジョシー[掃除の叔父さん]、何をすれば…」と、声をかけると、にこやかに笑いながら「まずは自転車…それから学校の周囲を掃いて…」。そう言えばfbに「丁寧に自転車整理…」、そんなコメントがアップされていた。
私・「自転車は中学生から…近隣からの通学生が多いようですね」
李さん・「田端から来るトンムも…」
李さんは校門から、私は裏門の方からゴミを拾い、掃くことになった。
人工芝の上を園児が走り回っていた。ウリマル[朝鮮語]での「アンデヨ」、「アンデヨ」の可愛らしい声に、目が釘付けになってしまった。
タバコの吸い殻が何本か落ちていたが、意外ときれいだ。李さんは、自動販売機と販売機の間に大きな体を入れ、裏のゴミまで掃き集めていた。ここでもう一人が合流した。
私・「タバコの吸い殻だけで…」
もう一人の李さん・「校長先生が通学バスを運転する前に掃いたようで…」
fbには、「時間があるとき、祝祭日休部、焼肉なし、子供を送った後の1時間の活動」と、書いてあったが、今のところ「部員」は二人のようだ。
掃除を終えて、校門脇での「部会」に入れてもらった。
チャンゴンさんは自転車で、ヨンジュンさんは歩いてくると言っていた。二人は東京朝高一九八八年卒の同級生だ。「平壌祭典の前年です」と言っていた。「パルパル[88年ソウル]オリンピックの年」と言わないところが、ウリハッキョ卒業生か、なぜか感心してしまった。
東京だけではなく、倉敷、山口、新潟…ウリハッキョの話は尽きなかった。

「部会」を退席して、校舎に入る。運動場側の出口に「愛の新校舎、コマッスムニダ!」と書かれた大きなポスターが貼り出されていた。一九四五年一二月一五日に創立して、一九五九年と一九六一年に鉄筋の校舎が竣工、一九九二年に改修し、二〇一四年四月に現在の新校舎竣工までの歩みが写真と共に紹介されていた。

運動場では、園児たちが立ったり座ったり、忙しく動き回っている。休み時間になったのだろう、一年生がボールを蹴りはじめた。そのそばで、人工芝の運動場に寝転がって言葉を交わす児童の姿も、裏門でウリハッキョを見守る七体のトルハルバンの豊かな表情が重なった。

一週間前、二人の李さんと康校長の三人で、梅の木の枝切りは終えたが、電柱に引っかかりそうに高く伸びたプラタナスの枝切りをするのは大事だと、話していた。高層作業者を手配できる「部員」、緊急募集だ。
校舎から出てくると、二人の李さんの姿が。「今までなにを…」と声をかけると、「ハッキョのこと話していました」との答えが返ってきた。校門を出ようとしてふりかえると、二人の李さんも私も互いに「コマッスムニダ」とあいさつしていた。
「スゴハシムニダ[ご苦労さま]」とのあいさつも悪くはないが、「コマッスムニダ」の方が、気持ちがこもっているようで心が和む。W李さん、コマッスムニダ。