*掲載日の順序が入れ替わっています。
バザーの前日の東京第3・その1
【10月25日・土曜日】
11時半過ぎに学校へ。一階奥の廊下と会議室、教育会室、厨房がざわめいていた。
廊下を走っていた幼児と眼が合う。立ち止まって口をもぞもぞ、「アンニョンハシムニカ」と言っているつもりなのだろう。
廊下では二人の「オモニ」が段ボールをかき回していた。
教育会室と会議室には、足の踏み場もないほどの日用雑貨が所狭しと置かれていた。仕分けにはまだまだ時間がかかりそうだ。

厨房の調理台にも肉に野菜が山積みされていた。ビニールに入ったままだ。コリアンフードのメニューを見ると、カルビにホルモン、チヂミ、牛肉スープ、ホルモンうどん、おでんに唐揚げ、フランクフルトにハッシュドポテト…仕込みは夕方までに終わりそうもないようだ。
話を聞くどころではなかった。それでも、オモニ会の趙会長が通りかかったので、声をかけた。
私・「末っ子は?」
いつも廊下や校庭を走り回っている、来年幼稚園に入園する「コウちゃん」の姿が見えないからだ。
趙会長・「連れてきたら仕事にならないから…昨日は実家に、今日はアッパが…」
とにかく忙しそうだった。

教員室の廊下側の壁には、オモニ会通信「해님(お日様)」の二号が貼り出されていた。
通信は、八月の夜会、七月の敬老会、九月のチャリティーゴルフの報告、オモニスポーツクラブの戦績、一年生の交流会と二年生の教育セミナー、それに読書サポートキャンペーンなど、盛りだくさんだが、トップは「一〇月二六日のバザーを成功させよう!」だった。二年と五年に転入生が入ってきたという嬉しいニュースも載っていた。

邪魔にならないように、いつものように校舎内をひと回り。
二階から運動場を見降ろすと、女子児童が焼肉用の七輪を運んでいた。

高学年の児童は掃除だ。男子児童が廊下や階段を雑巾で拭いていた。拭き終ったばかりの二階の踊り場は、光っていた。

掃き終えると、教室と廊下も雑巾で拭いていた。窓ガラスもだ。児童たちも手を休めることなく、掃き、拭き、洗い、絞っていた。

中庭では、テーブルを組み立てていた。会場づくりのようだ

一階の廊下の窓ガラスも拭いていた。
「届くか…届かない? もっと大きくなりなさい…」、「内側だけではなく、外からも拭いて…」
金校長の声が廊下に響き渡っていた。
ときどき、「バザーの品物に手をふれないよう…」との注意も飛んだ。

しばらくすると、校門の前で五年生が音楽に合わせて踊りだした。「一〇〇パーセント勇気…どこまでもかけていくのさ…」。そんな歌声が聞こえた。バザーで披露するようだ。担任の許先生が話しかけている。教育会の洪先生は、許先生と児童にスマホを向けていた。

つづく