【2月1日・土曜日】
餅つきの日の第9―校内を行ったり来たり、聞えてきた言葉を拾ってみた。
◎am11:01多目的ホール-
学年別に机と椅子が並べられ、あんこと黄粉、海苔が載った長テーブルの前で、何人かのオモニたちが話しこんでいた。ついた餅が運ばれるまでまだ時間があるようだ
「こっち、こっち向いて…美しいお2人を撮ります…」
マスクをしたオモニが向けたレンズの先に、豚汁が入った大きな鍋をかきまわす2人のオモニがいた。

◎am11:04 校舎の2階-
運動場を見降ろしていた3人の女子児童。
「あれ、○○のアッパじゃない…」、「うちのアッパはまだ…」
アボジではなくアッパ、低学年のようだ。
「どっちが臼で、杵…」
「そのくらい覚えておけよ」
臼を囲んで談笑するアボジからはそんな声も。

◎am11:06 運動場-
「時計回りに…」「米をつぶすのではなく、丸めるつもりで…」
ボランティアを買って出てくれた日本人男性、いかにも「職人」といったいでたちだ。「ついた餅は45度のお湯に入れて…」。45度を強調していた。
「こねる…テレビで見たことがあるが、儀式ではなかったのだ」
もう一つの臼でも、アボジたちがもち米を杵でこねはじめた。
「実家で、トックは作ったことはあるのだが…」
杵をふりあげ、餅をつく動作はぎこちない。

◎am11:17 運動場-
「お餅って何で作るの…お米?」
「もち米でしょ、そんなことも…」
「サランの会」のメンバーが連れてきた若い女性の会話だ。
趙教務主任・「歳を考えて…無理をしないように…」
アボジ・「杵が頭にぶつかったらごめんなさい」
「サランの会」・「×回ついたら、ひっくりかえすので…」
アボジ・「交替、誰か交替して…これ案外ハードだよー」

◎ am11:32 校舎の玄関先-
児童たちが一斉に運動場に出てきた。
「ちゃんと履かないと…」
下駄箱の前で女子児童が男の子に靴を履かせていた。手伝いのオモニが連れてきた、弟のようだ。先生がそんな2人を笑顔で見つめていた。

◎am11:37 運動場-
まずは5年生と1年生だ。
1年生の児童・「ムゴウォヨ(重たい)」
杵が持ち上がらない。
どこからか「アッパと一緒に…」
「こっち、こっち…」
カメラを向けるオモニと担任の先生。

◎am11:55 運動場-
自分の年の数だけついてと言われた児童が最後に大きな声で「ヨンチャ」。
ひたすらつき続けるアボジも。
あるアボジ・「あと50回はいけそうだ…子どもが見ているよ」
ついていたアボジ・「インフルエンザで休んでいます…」

am 11:59

◎pm12:18 校舎の前で。
「センダ」
「ミツオ」
6年生が言葉のキャッチボールをしながら、もち米が炊蒸しあがるのを待っていた。児童の輪に入った担任の金先生が大きな口を開けて笑い転げていた。
金先生・「チンチャクハセヨ(落ち着いて)…落ち着いて…」
男子児童・「ソンセンニムも…」

◎pm12:16 多目的ホール-
6年生を除いた児童が食べ始めていた。
「自分の年の数だけついた…9回…」
3年生の児童のようだ。
席から立ちあがって並ぶ児童は「お替り組」だ。
オモニたちは手際よくつきあがった餅にアンやら、黄粉をまぶしてお皿に盛っていた。
「ソンセンニム、マシイッソヨ?」
美味しいと言っているのではなく、先生に「美味しいですか」と聞いているのだ。

◎12:31 再び運動場-
6年生がつき始める。
「サランの会」のメンバー・「校長先生も…普段のストレス解消のために…」
鄭校長・「ストレスはありません…明日…」、「何年か前、張り切りすぎて次の日、パソコンが打てなくなって…」

◎12:35 運動場-
6年担任の金先生・「ぜひ、児童たちと一緒に…」
「サランの会」の「出前教室」で宮沢賢治を教えた先生に声をかけていた。
あるアボジ・「いい音…剣道でもやっていたのでは…」
後にその先生・「薪割りの要領ですよ。薪割り…力を入れず…」

◎12:41 炊事場-
「20キロです。餅つきを教えている方が提供してくれて…」「豚汁は前日にオモニたちが…」
最後のもち米を蒸しながら、「サランの会」の申会長だ。
隣では2人のオモニたちが後片付けで食器を洗いはじめていた。
男子児童・「スプーンを…」
オモニ・「豚汁は箸でも…」
申さん・「チョソンサラムは、スープはスプーンで食べなくちゃ…」
こんなやり取りも。

◎pm12:46 再び運動場-
新年度入学予定者も餅つきに加わった。2時からは「一日登校」が予定されているのだ。
「どうだった?」「重かった?」
5年生の男子児童が餅つきを終えた、三つ編みの幼児に話しかけていた。
保護者に連れられ校門に入って来る子供に5年生の児童が駆け寄って行った。
オモニ・「今日一日遊んでくれるオッパ」
オッパと紹介された児童は、女の子の胸に名札をつけると、一緒に餅をつきはじめた。

◎pm1:20 校舎の玄関―
「ようこそウリハッキョへ!」「みんながくるのをまってたよ!」と書かれた新一年生を歓迎するポスターが貼られていた。
餅つきを終えた何人かのアボジは、そのポスターに載っている写真の新一年生の数を数えていた
「今年は何人?」
「全員、入学すれば…昨年より多いのだが」…

◎ pm1:25 一年生の教室-
女の子が大きな…箱を受け取っていた。
趙教務主任・「笑って…もう一枚…」
箱の中は制服だ。その女の子のオモニが嬉しそうに、見つめていた。
「ジャンパーですみません。知っていたら…」
制服の伝達を急に任されたのか、青商会の役員はしきりに恐縮していた。

◎pm1:34 校門の前で-
6年担任の金先生・「下校します」、「4人だけ?」
たくさんの児童が運動場を走り回っていた。保護者と一緒に帰る児童のようだ。
男子児童・「○○と2人でなくて良かった…」
2人の男子児童が女子児童の手をひく金先生の後を追って校門を出ていった。
男子児童はしゃべりっぱなしだ。ときおり「ソンセンニム」と、前を行く先生に声をかけていた。金先生は女子児童に盛んに話しかけていた。

◎pm1:43 阿佐ヶ谷駅-
「アンニョンヒケシプシオ」の声を残して散って行った。JRの改札口ではなくバスの停留所に向う児童もいた。
金先生と一緒に学校に戻って「一日登校」の様子も見ようとおもっていたが、何度も杵をふりあげたわけでもないのに、戻る気力は残っていなかった。
金先生・「今日もご苦労様でした」
「一緒に戻るのですか」と、聞かれなくてよかった。そのまま児童と一緒にホームに向かった。
