【4月8日・月曜日】東京第3の始業式へ
入学式の翌日は、始業式だ。入学式に行けなかった、いつもの第3を訪れた。
校長室から出てきた金校長に「今学期もよろしく…」と挨拶、「同じです、よろしく」との言葉が戻って来た。「同じです?」何がと思いながら、まずは前日見られなかった新入生の教室に向かうことにした。
階段で前年度5年担任だった許先生とすれちがう。
私・「今度は何年生の担任ですか?」
許先生・「変わりません」
「同じです」と「変わりません」。「私は5年生…」。すべての先生が前年度と同じ学年を担任することになったということだ。
低学年の教室が並んでいる2階の踊り場には、前日の入学式のときのポスターがそのままになっていた。
「新1年生のトンムたち! 入学をお祝いします!」との文の間のイラストは、新年度から東京第3のイメージキャラクターだ。
職員室で、金教務主任が「チォサミ」と「ミレ」をよろしくと言っていた。「チェサミ」は東京第三、ミレは未来という意味だ。「東京第3の未来」という思いが込められているようだ。描いたのは第3に孫を送っている画家のホン・ヨンウ先生だ。

奥の3年生の教室の前では、全先生がしゃがんで児童の洋服掛けのネジをしめていた。
二つ手前の1年生の教室をのぞくと、黒板には、ウリマルで「입학식(入学式)」「시업식(始業式)」という二つの単語が書いてあった。
黄先生・「나의 이름은(私の名前は)?」
児童・「俺は○○○」。自分の名前を答えていた。
先生・「俺はウリマルで?」
何人かが・「나」
先生・「それでは동무の 이름 全部いえる人?」
児童・「2人なら…」
黄先生と児童たちがこんなやり取りをしていた。

机を持ち上げたり、立ちあがったり落ち着かない児童が何人かいる。
黄先生は、「나(私)」、「이름(名前)」、「동무(友だち)」の3つの単語を使って、繰り返し児童に問い掛けていた。
「それでは선생님(先生)の이름は?」
児童たちは一斉に「ファンヘミ」。何人かは「선생님」をつけていたが、なかには「ファンウ○コ」という児童も。
金教務主任は、「今年はワンパク、男子はワンパクぞろい…」と、話していたが、その通りのようだ。
黒板に貼り出された新入生の名前は16人、女子児童は4人で、男子児童が圧倒していた。

始業式会場の、高学年の教室の隔たりを取り除いた「臨時講堂」にも、前日の入学式の名残が…。
「入学をお祝いします」と書かれたポスターには、「一日登校」の時の新一年生と新6年生のツーショットの写真が並んでいた。みんながVサインだ。

その反対側には、お祝いのメッセージも貼り出されていた。

低学年は、教室から一斉に自分が座っていた椅子を臨時講堂に運んでいた。まずは2年生、手慣れたものだ。つづいて1年生、階段で椅子を下ろしてしまったり、引きずったり、初めてのことでぎこちない。制服からシャツがはみ出ている児童は、腰が引けていた。

始業式だ。金校長が「昨日の入学式の主人公は1年生でしたが、祝う在校生も輝いていました。いよいよ新しい担任の先生と、新しい教室で新学期が始まりました。最高学年の6年生と、低学年の長としての3年生が中心になって…」。
校長は、祖国と同胞社会が置かれている困難な状況にふれた。朝鮮半島で高まる戦争の危機や、町田市が西東京第2の児童への防犯ブザーの配布を拒んだ話、高校「無償化」からの排除の話にも及んだ。難しい話だが、登下校のこともあって、避けることができない問題だ。児童たちも真剣に耳を傾けていた。
金校長は、新年度の目標として、ウリマルの習得、あいさつ、勉強、集団生活について述べ、自分ができることはすすんで行うように促した。上級生は下級生を慈しみ、友だち同士が助け合って、心と力を一つにして学校生活を送ろう、ということだ。絶対に、「クバク」や「シムスル」があってはならいと、強調していた。
ウリマルなので、意味もわからず、1年生はぽかんとするだけ、始まるときの金教務主任の「1年生は動かない」との一言がきいたのか、時折担任の黄先生が児童の席を回っていたが、みながおとなしく座っていた。2年生が拍手をすべきときにする姿に、1年間の成長を感じ取ることができた。

つづいて、漢字検定試験で第3が京都、生野、西播とともに「特別賞」を受賞したことが報告され、全日本学生書道連盟主催のコンクールで金、銀、銅賞に入選した児童に表彰状が手渡された。「特選」に輝いた児童への表彰状は一回り大きかった。

始業式が終わると、1年生から順々に、学年別の記念写真だ。 順番待ちの女子児童は、おしゃべりタイム、男子児童はおふざけタイム、あちらこちらでのけぞっていた。

クラスの人数が一番多い3年生は3列、全先生は行ったり来たりしがら、児童の制服の襟を正したり、両膝をそろえさせたりしていた。児童の両端には、花かごとチェサミとミレのキャラクターを描いたパネルが立っていた。

記念撮影を終えた2年生の教室に行くと、男女2人の児童が机に座って読書を、7、8人は床に座り、カード遊びを始めていた。カードを持った女子児童がしきっていた。男子児童は正座をして、おとなしくしたがっていた。
ちょこまかと落ちつかない新入生とだいぶ違って見えた。

その頃、「臨時講堂」では、担任の夫先生と一緒に6年生がビールケースの上に板を敷いた舞台を解体していた。4、5年生は、机を運び込み、「教室」を復元させていた。6年生は「最高学年」としての自覚からか、もくもくと作業に取り組んでいた。

ビールケースを4つ重ねて校庭まで運ぶのだが、重さもあるうえに、かさ高いので視界を遮られ、階段を下りて行くときはよろけていた。踊り場で下し、持ちかえる児童もいた。

ビールケースの上に載せた板は、意外と重いようだ。何度も持ち直して運んでいた。校庭では背広からいつものスポーツウエアーに着替えた金校長が、ビールケースと板の保管の最終チェックをしていた。
3、4人で花かごを校庭に運んだ女子児童は、花束を取り分けて器用に新聞紙で包んでいた。

手前の教室の4年生は早々と読書を、中ほどの5年生は机と椅子を並べ終えると、さっそくおしゃへりをはじめていた。奥の教室の6年生は舞台の撤去を終え、ようやく机を並べ始めていた。幕も取り除かれて黒板が見えていた。

教員室に寄って年間スケジュールを見ると、予定がぎっしり組まれていた。
4月は少年団入団式に、授業参観、写生会、運動会の練習も始まる。
2013年度新学期の開始とともに、「朝鮮学校のある風景」もまたシーズン4のスタートだ。これまでとは違ったウリハッキョの「風景」を見ることができるのではいかと、期待に胸を膨らませている。IK