【3月24日・日曜日】
12時30分スタート、40分前に学校に着いた。
愛校会主催の卒業生の集まりは、これまでも何度か催されてきたようだが、チャリティーを銘打った大同窓会は初めてだ。校門を入ると受付があり、すでに校庭にはテーブルと椅子が並べられていた。校舎の入り口の左手には、ビールの空き箱の上に板をひいた仮設舞台が設置されていた。舞台の前に集まっているのは、実行委員のようだ。
愛校会の姜会長や、地元青年同盟の李総務部長ら、顔なじみの面々と挨拶を交わした。
李総務部長は、「紹介しますから、よろしく…」、そんなことを言っていた。
校舎に入ると、もう一つの「受付」があった。2月に大泉学園駅前で、一緒に高校無償化を求めるチラシを撒いたオモニたちが何人かいた。
練馬区からウリハッキョに入学する新入生を祝うイベントだという。
校門の前には大同窓会の受付、校舎の玄関には祝う会の受付が設けられた。開始時間もほぼ同じ、W取材のスタートだ。
急ぎ3階の「臨時講堂」に行くと、会場の後方に10人ほどの子どもが床に座り込み、本を読んだり、ゲームに興じたりしていた。2人の東京第9の先生と話している児童もいた。新入生だけではなく、妹や弟も混じっているようだ。
練馬区は、東京第3と第9が学区だ。それで第9の先生が第3に来ていたのだ。前日の修了式でも会ったが、2人とも朝大の教育実習で第3に来た時、「風景」に詳しく書いたことがある。
「第9の新入生は女子児童だけだから、男子児童を何人か連れて行ったら…」と言うと、「そうですね」とも言えず、困り顔をしていた。
正面の舞台付近では、教育会の洪先生と男女の青年が、スクリーンを見ながら言葉を交わしていた。
崔○○君の写真が映し出されていた。
学校で楽しみにしているのは友だちとサッカーをすることで、お弁当に入れてほしいおかずは梅干にキムチにチャンジャだそうだ。将来の夢は、両親は「人の役に立つ仕事」だが、本人は「ドラゴンボールのベジット」、次の瞬間そのベジットが映し出されていた。児童への一言メッセージも添えられていた。
練馬からの今年の新入生は、当日参加できなかった児童も含めて9人、新入生とそれぞれの保護者に5つの質問に対する回答を収集するなど、準備にかなりの手間暇をかけたようだ。
「新入生の歓迎会を開くのは、何年ぶりかです。この数年、新入生が少なかったけど、今年は…」と、洪先生は楽しむように打ち合わせに臨んでいた。

1階の会議室では、練馬の女性同盟のメンバーがいなりやおにぎりを作っていた。
安委員長は「若いオモニたちは行動力もあるし、皆がアイデアを出し合って…ついて行くのが大変…」と、いいながらも、笑顔でおにぎりをむすんでいた。

隣の給食室には、肉をてんこ盛りしたボールがいくつも並んでいた。サラダも、キムチもだ。5、6人の女性たちが、それをどんぶりに分けていた。
100人分だと言っていたが、焼き肉店の100皿分ではなく、食べざかりの20代、30代が腹いっぱい食べる100人分、相当な量だ。

その頃、校庭では10人ぐらいの男性陣が七輪の火起こしを始めていた。こちらも和気あいあいだ。大きな笑い声が3階まで響き渡ってきた。
すでに5、6人が丸椅子に座って、それを眺めていた。「お客さん」か?。

3階の歓迎会の会場には、5つの長テーブル一杯に、料理が並べられていた。蒸し豚にキムチ、チャプチェ、鶏のから揚げ、ポテトフライ、各種サラダ、焼きそば…先ほど会議室で作っていたいなりとおにぎり、それにデザートがいくつも並んでいた。5つの分会で、手分けして作ったとのことだ。

校庭に戻って受付に座っていた同じ分会の朴さんとハラボジのことなどを話し、3階の会場に戻ると、すでに歓迎会は始まっていた。
スクリーンに映し出される絵にあわせて、4、5人の男女児童が交代でマイクに向かっていた。東京第3と第9の低学年が、練馬に住む金氏が創作した童話を演じているようだ。
混雑した電車に乗ってウリハッキョに行く、通学路での出来事をつづった物語だ。話は「4月からいっしょに頑張ろうね」という言葉で終わった。
すべて日本語、1年生が理解できるようにだ。
続いて、第3と第9に入学する新入生が入場した。「明るく天真爛漫」だとか、「頑張り屋さん」だとか、「甘え上手の愉快な子」だとか、「恥ずかしがり屋さん」だとか、「大胆だけど…」だとか、オモニからの一言を司会者は紹介していた。
安委員長が、朝鮮学校がいつになく困難な状況に陥っている中で、子どもを立派な朝鮮人に育てようとウリハッキョを選んだ学父母に感謝する、児童たちが健康で楽しい学校生活を送れるよう、青商会と共に女性同盟が「一番の応援団」になるとの決意を述べた。

校庭では姜会長(1989年卒の42期)があいさつをしていた。
…
東京第3をなくしてはなりません。数日前、66期生が卒業しました。これからも、卒業生を送り出さなくてはなりません。心を一つにしないとウリハッキョがなくなってしまいます。学校をなくしてしまった地域があります。第3は、絶対になくしてはなりません。
階段に1期生からの卒業写真が貼られています。第3はトンムたちの思い出が詰まった、私たちの誇りです。守りぬくためみんなの心を一つにしましょう。
そして「333運動」への参加を呼び掛けた。ハナ信用組合の自動引き落としによる毎月333円の募金活動だ。新入生に体育着をプレゼントしようという試みだ。プレゼントは何年か前から始められている。
*詳しくは「愛校会」のHP参照 http://www.koreans.jp/school/tokyo/3/lovers/index.php?page=page3

女性司会者・「会長の話を聞くと、愛校会をみんなの力で盛り上げなきゃという気持ちに…」
男性司会者・「いや~あの腕白だったリョンチョルが…20点!!」
運動会の帽子をかぶり、Tシャツに襟と、胸に油性ペンで学校名を書いて「熱演」した司会者だったが、参加者の反応は残念ながら鈍かった。「あいつスベリまくっているな…」との声があちこちから聞こえた。

翌週末に予定されている高校無償化からの朝鮮学校排除に反対する大集会とパレードへの参加も呼びかけられた。受付でもチラシが配られていた。
「ピンクのチラシ、もらっていない人?」、「こっちにも…」、「参加するよね」との声も飛び交っていた。司会者は「愛校会としても声をあげよう」と、アピールしていた。
そして、この日の肉を提供してくれた「黒5」への感謝トークだ。
…池袋で1、2を争う有名店!! 焼き肉の新たな可能性を…牛肉は国産の黒毛和牛に、ランクはA-5という最高の品質にこだわって…値段は原価ぎりぎりの安値で…
格闘技の司会者を真似たトークに、会場からは感謝の拍手がわいた。
しばらくすると、20個近い七輪から一斉に煙が上がった。
3階から見ると、女性より男性の茶髪が目立った。茶髪というかより黄色に近い髪をした男性が何人もいた。
その頃、3階では新入生と家族の紹介が続いていた。
「李○○、甘えん坊の照れ屋さん…頑張り屋さん」と、紹介されていたが、恥ずかしがり屋さんのようだ。オモニの傍から離れようとしなかった。
司会は、男性は青商会、女性は青年同盟のメンバーだ。
スクリーンには、「お弁当に入れてほしいおかずは?」との問いに、パスタ、から揚げ、魚の切り身との答えが映し出されていた。
女性司会者・「スパゲッティーではなく、パスタとはなかなかおしゃれな家庭のようですね。魚の切り身…」
将来の夢は、オモニはパティシエかアパレル、アボジはお嫁さんだ。
参加者の一人からは「うちは息子だが、娘だったら…なぜ、お嫁さんですか」という声が。それでもアボジは「早く、結婚してくれれば…」と、言っていた。
娘の夢は、モデルだった。

「家族紹介」の台本を見ると、新入生の夢は、ケーキ屋さん、幼稚園の先生、アイドル、マッサージ屋さん。パン屋さんとチョコレート屋さんと欲張りの児童もいた。
新入生と保護者は、前列2つのテーブルに座っていた。後方のハラボジが集まったテーブルには、アルコールが出された。歓迎会の冒頭、乾杯の音頭をとった総連の支部委員長は、新入生に「乾杯はウリマルでチュッペといいます。チュッペすると元気が出ます」と、言っていたが、元気を出すためか、ハラボジたちと何度もチュッペをしていた。
しばらくすると、子どもたちは「臨時講堂」の後方に集まり、床に座り込んで、携帯ゲームに夢中になっていた。女子児童はおしゃべり、トイレも一緒に行っていた。すっかり仲良しだ。

つづく