朝鮮学校のある風景-その五 ③ ■沖縄での誇らしい五三期生との出会い | トンポ・トンネ 日々イモジョモ

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朝鮮学校のある風景-その五 ③
 
 
*「統一評論」の連載に一部加筆
 
 
六月はサッカーW杯の応援に課外授業
 
 
 
 
■沖縄での誇らしい五三期生との出会い
 日韓合同授業研究会が主催する「沖縄戦と朝鮮人」をテーマにした聞き取り調査とフィールドワークに参加するために沖縄入りした二日後の出来事である。
 読谷村での「沖縄戦『強制連行犠牲者』遺族による証言の集い」に参加した後、車で那覇市に戻り、遅い夕食を兼ねて居酒屋に入った。主宰者で元教師のY氏と大学生、共同通信の若い記者と私の四人だ。ワールドカップの日本対オランダ戦で白熱した試合が展開され、国際通りから二つ三つ路地に入ったスポーツカフェからも人があふれ、熱狂したファンが通りに繰り出していた。一〇時を回っていたのだろう。
 オリオンビールを飲み、ゴ―ヤチャンプルといくつかの豚肉料理を頼み四人でテーブルを囲んだのだが、泡盛に手を出すのは、Y氏と私の二人、若い記者と大学生の二人は、ビールに口を付けただけで、料理にも箸がすすまない。話に熱中しているのだ。
 昨晩もこの若い二人に韓国の留学生と上海出身の青年が加わって、宿舎で大バトルが繰り広げたという。
 「国籍」だの「アイデンティティー」だの「在日」だの、そんな単語が飛び交っている。
 Y氏が「ところで記事になりそう?」と話を向けると、若い記者は「とても話が奥深く、いますぐにとはいかない」との答えだ。
 隣で話を聞いていても、この大学生の話は明快でありながら、興味深い。
 大学生とは初対面だ。Y氏に尋ねると、「ホン・チャングッ、朝鮮籍の学生がほしくて、誘った」とのことだ。
 「どこの朝高を卒業したの」と聞くと東京朝高だという。不思議とこの一言で急に親しみがわく。一二年間民族教育を受け、一浪して西東京にあるT大学に入学したという。そして次の一言である。
 「小学校は板橋にある東京第三です」
 沖縄、那覇でのチェーサムの後輩とのめぐり合いには、少し感激した。
 翌日は、聞き取りの日程が入っていなかったが、かれの仕事ぶりに興味がわき、少し早めに集合場所に行った。
 路上に座り、東京でもよく見かける弁当チェーン店のビビンパ弁当を食べている。沖縄に来て、体調がすぐれず、沖縄料理はまったく口にしていないとのことだ。
 チェーサムの思い出といえば、クゴソジョ(国語クラブ)で、中央大会の優秀賞を受賞したことだと楽しく語ってくれた。
 学校での成人式の謝恩会にも参加したらしい。けっして専従にはならないと思っていたリ・サンインとリ・ドンジュが今年朝大を卒業して、青年同盟の支部のイルクンとして働き始めたと、誇らしげに話していた。今年三年制の教育学部を卒業して茨城の学校に赴任した一つ後輩のリョ・ソナとは、近所で育った幼馴染だという。
東京に戻って調べたところ、ホントンムは二〇〇〇年卒の五三期生である。
 那覇市の施設で二チームに分かれ、聞き取りが始まった。話し手は、フィリピンの母を持つ沖縄の人である。前日の補足ということで、担当の元日本人教師、韓国からの留学生とホントンムの三人が質問をする形で、聞き取りが進んだ。
 差別をめぐる話が飛び交う中、突然韓国人留学生が、「それならなぜホン君は朝鮮籍を捨てて韓国籍にしないのか」と質問の矛先を彼に向けた。
 
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それに対してホントンムは「単に、便宜上の問題として考えたくない」として、 在日の国籍変遷や、自分の生い立ち、現在の心境を織り交ぜながら丁寧に答えていた。留学生とその場にいた皆も納得したようである。
 朝高を卒業して進学先を決めるとき、また浪人して、大学生活を送りながら国籍やアイデンティティーについて、考えざるをえなかったのだろう。そうした体験を経たウリハッキョ出身者の言葉は一言で言ってしなやかである。横で聞いていても小気味いい、すがすがしさがある。
立会人である私には発言権がなかったが、心の中で大きな拍手を送っていた。
六月二〇日の那覇市内での「調査報告会」を報じた「琉球新報」(6・21)の記事には、「沖縄と朝鮮が互いに共感し合ったり、壁を乗り越えたりするのは難しい。自分も被害者だからと免罪するのではなく、自らの加害性にも責任を持って語られるべきだと思う」との彼のコメントが載った。
後に主宰者のY氏は、「ホン君は調査団の中でも、とくに韓国や中国から参加した若者に、その存在感を示した。かれらにいい刺激になったのではないか」と語っていた。
 
■課外授業-「朝大も楽しそう」 (次回)
 
 
 
 
 
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