朝鮮学校のある風景-その四 ② | トンポ・トンネ 日々イモジョモ

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連載中の「統一評論」(2010年7月号)の原稿に加筆
 
 
 
朝鮮学校のある風景-その四 ②
 
 
 
 
五月は新人戦に運動会
 
 
 
■新人戦-惜しくも優勝を逃すが…
 先生も児童も忙しい。児童が忙しいから学父母も忙しい。
 四月最後の日曜は、校庭で豊島支部主催の新入生歓迎の焼肉パーティーで、五月の連休明けの第二日曜日は、板橋支部の野遊会で、その翌週の日曜は、東京朝高の体育館で都内の初級学校のバスケットボールの新人戦だ。
 遅れて会場に着くと、第一戦は圧勝。つづく第二戦は、康前教務主任が校長として赴任していった、東京チェーイル(荒川区にある東京朝鮮第一初中級学校)との対戦である。
 四年生になると、クラブ活動が始まるが、児童数の制約もあって、男子全員はサッカー部で、女子はバスケ部だ。
昨年夏の第七回ヘバラギカップ(在日朝鮮初級学校中央ミニバスケット大会)では準優勝、今年二月の関東地方学生バスケットボール選手権大会では三位と、チェーサムのバスケ部を「底力のあるチーム」に育てたのが他でもない、康先生なのである。
その康先生が校長に赴任したチェーイルは、昨年のヘバラギカップと今年の関東選手権大会で「圧倒的な強さ」を発揮して優勝した埼玉を初戦で破っている。
 「康先生、分かっているでしょうね」、「ダメですよ」
 学父母からの「圧力?」である。
 体育館の外では、選手たちが指導教員の金先生の話に集中している。いつになく緊張気味だ。声を大きく出すこと、ディフェンスからの速攻を強調しているようだ。
 
 
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いよいよ試合が始まる。二階の観覧席から声が飛ぶ。レギュラーの学父母なのであろう、彼らとともにコート横で応援することになった。
孫の応援に来た、長らく東京朝高の教壇に立っていたこともある先生の隣に座る。東京チェーサムの九期先輩の六期生である。
隣のコートの試合を応援しに来た教え子たちが駆け寄ってくる。
「先生、お元気そうで…」、「子どもは何人…」、「同じクラスだった○○トンムは?」
背番号「8」の孫の姿を追ったり、教え子と話したり、大忙しである。
 正直、バスケットボールの試合を見るのは、初めてである。小学生ながら中々のスピード感で、ゴール下でのぶつかりにも迫力がある。
 体育館に鳴り響く、ホイッスルのけたたましい音には驚いた。隣のコートでも試合をしているので、ときどきどちらのホイッスルか戸惑うこともあるが、集中している選手たちは大丈夫なようだ。
 一進一退のシーソーゲームである。
 ゲームが一時中断すると、オモニたちのおしゃべりが始まる。振り向いて、隣のコートで応援するオモニに声をかけるオモニもいる。一緒に来たオモニを紹介する、誰々の叔母さんだの、どこどこに住んでいた誰々さんのオンニ()だので、すぐにメールアドレスの交換である。
 まずは、ランチやカラオケの約束に利用されるのであろうが、このメールアドレスが、ときに威力を発揮するのである。昨年一二月の「在特会」による京都の小学校への嫌がらせの時も、そうだった。「朝鮮新報」が報道する前に、学父母の間で、情報が伝わり、抗議の輪を全国的に広めた。メールの大活躍である。
 現在、全国的規模で取り組まれている、「朝鮮学校への差別なき速やかな『高校無償化』適用を求める署名」にも、このメールが活用されている。六月末までに、目標の五〇万人達成も夢ではないようだ。
 同級生も多いようだ。同級生は、名前だけか、例えばリ・リョンジャの場合、苗字と名前の頭一文字をくっつけて、「リーリョン」というような呼び方をするようだ。とても親しそうで心地よい。
 ときどき思い出したように「今どっちが勝っているの」と聞いている。
 一方、アボジたちは、娘の動きに夢中だ。隣のコートで応援しているアボジは「三秒ルール」がどうだのこうだのと、審判に食ってかかっているが、チェーサムのアボジたちはいたって、冷静、静かである。私同様、ルールに疎いのかもしれない。
 指導教員の金先生は、時には、足でコートを蹴りながら、選手たちに激しい身振り手振りで指示を出し続けていた。
 康先生が手心を加えたからではないが、一ゴールか、二ゴールの差で勝ちを拾った。
 康校長によると、今の時点では参加八チームの内、四、五チームの実力は拮抗しており、どのチームが勝ってもおかしくないとのことだ。
 その言葉の通り、決勝戦は千葉に敗れたものの、僅差であった。
 児童と共に、悔しそうにコートを後にする金先生が意外と小柄であることに気付く。教壇に立っているときは、実際より大きく見えるのはなぜだろう。
 
在日バスケ協会は、東京学区初級部新人戦(兼第8回ヘバラギカップシード権大会)について、つぎのように「講評」している。
 
「群雄割拠」の様相
 
 3月の選手権大会以降、各地域で新体制での活動が始まった。今年度ミニバス部門は数年ぶりに「戦国時代」の到来だ。
 
■講評
 男子()
女子は前年度選手権で優勝した埼玉、準優勝の東京第2が決勝にコマを進められなかった。どのチームもレベルは僅差で数年ぶりに「群雄割拠」の様相を呈している。
1回戦からワンゴール差のゲームが多く、観客は大いに盛り上がった。スピードもあり展開も速く、エキサイティングな試合が多かった。
 初優勝した千葉、準優勝の東京第3をはじめ、今夏は大激戦、大波乱が起こるであろう。
 夏までの課題点は、オールコートプレスに対する攻略をしっかりすることである。相変わらずドリブルに頼る傾向にある。ドリブルレスとまではいかないが、早いパッシングからの展開を目指して練習していきたい。
 ※シード権獲得校-男子()
女子優勝=千葉、2位=東京第3、3位=東京第1、4位=埼玉(「朝鮮新報」日文・電子版 2010・6・2)
 
 
 
(以下次回)
 
 
 
 
 
■シリーズ・朝鮮学校の歩みⅧ「続・東京朝鮮第三初級学校物語」(体験記録編・一九四五~二〇〇九年)刊行のお知らせ
 二〇〇七年刊行の「物語」の続編。草創期から現在に至るまでの児童・学父母・教職員の体験記録と児童の作文・アンケート調査の結果などを収録。
 
目次・内容などは 
www4.ocn.ne.jp/~uil/tokyo3.htm
 A五判・三九〇頁・頒価二、八六〇円
 一粒出版 TEL.FAX 03-6279-3356
uil21@yahoo.co.jp
 
 
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