「一粒出版ニュース」・「私のピョンヤン訪問記」特集(09.11.11)-下 | トンポ・トンネ 日々イモジョモ

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「一粒出版ニュース」・「私のピョンヤン訪問記」特集(09.11.11)-下


金日宇・金淑子著「私のピョンヤン訪問記-快適な共和国訪問の仕方」11月22日配本
         B6版・310頁・頒価1.680円

目次

■第1部■ 7泊8日-ピョンヤンで見たこと、聞いたこと (金日宇)
    まえがきにかえて・最高齢は88歳?(成田発-北京・泊-平壌着)
       *成田から平壌まで-5つのチェックポイント
    リポートⅠ 父の納骨・兄妹、同級生らとの再会
    リポートⅡ 実感した市民生活の大きな変化
    リポートⅢ 「150日戦闘」、市民が語る「キム大将」
    リポートⅣ 共和国訪問をエンジョイするための10の心得
    あとがきにかえて・搭乗は出発5分前!(平壌発-北京-成田着)
        *平壌から成田まで-3つのチェックポイント
■第2部■ パンツルック、啓蒙期歌謡-流行はとめられない (金淑子)
■余 録■ 行政地域に1~3の綜合市場・他22題
■付 録■ 2001年春・13年ぶりの共和国(金淑子)/平壌点描(金日宇)


紹介文・生活者の目から見た朝鮮-下

 父が亡くなって半年が過ぎようとするころ、朝鮮からもう一つの思いもかけない訃報が届いた。妹の夫の死である。享年57歳。脳溢血だった。突然のことに、日本にいる私たちも呆然とした。夫は彼と実の兄弟のように仲が良かった。突然夫を亡くした妹のことを思うと、胸が張り裂けんばかりだったのだろう。しかし日本からは電話もままならず、声を聞くこともできない。数日間、重苦しい雰囲気が流れた。2001年の訪問で、10日ほどしか一緒にいなかった私でさえ、朝鮮というと、優しくてひょうきんで誰からも好かれた彼の面影がちらついた。



 他人思いで、人がよく、機知にとんだ、それでいて少しあわて者の憎めない本当によい奴だった。「ホヨンは私たち皆の最後を見送っていかなくてはならないのに…」こんな言葉しか出なかった。(彼の墓の前で、71頁)

 アボジはホヨンを本当に気に入っていた。ホヨンもアボジを大切にしてくれた。気兼ねない間柄で、酒が入るとうるさかったその2人がいないせいか、場が盛り上がらない。その場を埋めてくれたのは、10か月になるホヨンの孫、アボジにとって2人目の曾孫である。アボジにもホヨンにも、一度も抱かれたことのない赤ちゃんである。(128頁)

 兄と妹の家族は飛行機に乗り込むまで大きく手を振って見送ってくれた。やはり、ノッポでとぼけ顔のホヨンの姿がないのは寂しい。あっちは「アボジ」の姿を探したのだろうか…。(246頁)
 


 というように、文章のいたるところに彼がもういないことを実感する文章が出てくる。私には、55歳で定年退職し、医者をする娘に代わって孫をみているという妹の気丈さが痛々しかった。人生の伴侶を失った心の奥の深い寂しさは、子供たちや孫がいても癒しきれるものではない。見えなくなるまで手を振っていた彼女の姿が今も目に浮かぶ。

 夫の母は日本人である。そんな母が子供たちを朝鮮に送り、今回は夫を朝鮮の土に返すためにピョンヤンを訪れた。日本社会で在日朝鮮人の暮らしや心情に対する関心は薄いが、在日朝鮮人と結婚した日本人配偶者の悲しみや怒りはさらにその奥に隠れてしまい、ほとんど目を向けられることはない。

 この本を通じて、朝鮮と離れ離れになった、母のような日本人妻を含む在日朝鮮人家族の心情を少しでも理解していただければと思う。

 また同書には、1990年代後半に食べることにも事欠いた「苦難の行軍」を経験したピョンヤンの人々の現在の暮らしぶりや、お墓事情、増える国産車の一方でなくなっていく右ハンドル車、日本のマスコミで話題になった3代目指導者の話題にも触れている。

 さらに第2部では、4回の訪問を通じて目撃した朝鮮の社会の変化について触れた。1980年に初めて朝鮮を訪問したときには、「『お酒の飲みすぎは体によくないですよ』というと『金日成主席はそんなことおっしゃらなかった』と返され、言葉を失った」が、「『苦難の行軍』やその後の市場の出現、南北の交流は、人々の意識を大きく変えたようだ」(276頁)。

 南北の軍事的対峙という臨戦態勢の下で繰り広げられる、体制と社会のせめぎあい。わずか7泊8日の通りすがりの旅行者が実感した市民の息遣いについて書いた。北朝鮮情報は、テレビやラジオ、書店などいたるところにあふれている。にもかかわらずそこに暮らす庶民の姿が見えてこないのはなぜだろう。朝鮮の情報が極端に少ないのも事実だ。しかし日本のマスコミなどが、隣国に住む人々にまっすぐ向き合おうとしているようにも思えない。

 日本を警戒する朝鮮と朝鮮の孤立を企む日本の狭間で、高齢者の在日朝鮮人は、「これが最後かもしれない」という悲痛な思いで、痛む足で大きな荷物を引きずりながら今日も、言葉の通じない北京の広大な空港で、なれない手続きに戸惑いながら飛行機を乗り継ぎ、子供の待つ朝鮮を目指すのだ。電話もファクスもインターネットも通じない隣国朝鮮への道のりは、彼らにとって「地球を2周も3周もするような大仕事」である。(金淑子)


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