いきなり、カバン片手の、革靴を履いたワイシャツ姿のサラリーマンに抜かれた。
いつもの「緑道」に入ると、高層作業車に乗った人夫さんたちが枝切りをしている。準備体操をしながら、区の職員らしき人と二言三言。彼が手にした地図を見ると、「緑道」にそって植えられている一本一本の木々の名前などが記されている。日本のお役所は凄いと思いながらスタート。
途中、公園でいつものように鉄棒にぶら下がりながら空を仰ぐと木の実が。いつもはドングリか何かと見過ごしていたが、葉を見ると東京都の木、イチョウである。ということは、銀杏の実である。いままで実にばかり目を奪われて、葉には関心がいかなかったのである。こんなこともあるんだと、なぜかしきりに感心する自分がそこにいた。
走りだすと、ふと「緑道」の入口で人夫さんたちが枝を落としていた気の名前が気になりだす。すると通りすがりの木々や鳥の名前も知りたくなる。実のところ私が名前を知っている木といっても、杉か、もみじぐらいで、虫といってもセミ、鳥といってもカラスかスズメぐらいである。
帰り際、思いきって人夫さんに聞くと、その木は枇杷(ビワ)の木だった。実はいつなるのか、食べられるのかなども知りたかったのだが…、仕事の邪魔になるのではと、思いとどまった。
ランニングをはじめたお陰で、「緑道」ででくわす木々や、草花、昆虫や野鳥にも興味を示すようになったようだ。このまま、来年までランニングを続けたら、春夏秋冬の「生き物博士」になるのではないかと、一人勝手に思い込む自分がそこにいた。