【07年5月24日・木曜日】昨日、東京大空襲の同胞体験者の聞き取りのためY市でP氏と会う。二度目の訪問である。第一回目の訪問時、P氏の都立時代の東京朝鮮中高級学校の話に夢中になり、空襲時の体験を聞きそびれてしまったのだ。
P氏は、東京中高が都立に移管された年に中級部に入学、日本人教師とのふれあい、朝鮮戦争当時の学生生活、東京大会で優勝し、全国大会に進出したサッカー部の活躍、都立から私立への移行、総連の結成、同級生の共和国への進学などの実体験を自叙伝的物語としてつづっている。1988年10月から2000年5月にかけて仕事の合間をぬって書き上げたという60万字の力作、「青春譜・都立朝鮮人中・高等学校」とのサブタイトルが付されている。
前回訪問時、快く貸してくれた、その60万字にものぼるワープロ原稿を読むのに一週間とかからなかった。これまで知る機会がなかった当時の東京中高の様子が、躍動感ある筆致で、生々しく描かれていたのだ。
当時を描いた著書が全くないわけではない。梶井渉先生の「朝鮮人学校の日本人教師」とか、李殷直先生の「『在日』民族教育の夜明け」などは、代表的な書物であろう。しかし、それは教師の視線からのものであり、フィクションを織り交ぜているとはいえ、生徒の視線で様々なエピソードをこれほどまでに詳細につづった書物は恐らくないであろう。
なお、この日は、三ノ輪での3月10日の大空襲の恐怖、その後の疎開先での出来事など、詳しい体験話を聞くことができた。
「私たちの東京朝鮮第三初級学校物語」は、シリーズ・朝鮮学校の歩みとして刊行したが、P氏の自叙伝的物語は、その続巻にふさわしいテーマではある。しかし、いかんせんものが60万字、3分冊、4分冊になるであろうだけに、とても一個人が手におえる代物ではない。しかし、このままうもらせてしまってはならないと思う、是非とも書物として残す手立てを模索したい。
まずは、空襲の体験の聞き書きの整理だ。
PR・同胞の東京大空襲の聞き書きは、ブックレット二冊に編んでいる。
詳しくは http://www4.ocn.ne.jp/~uil/45310.htm