新国立劇場バレエ「ラ・バヤデール」(03/10)の感想 | まるこブログ

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3月10日(日)の、新国立劇場バレエ団「ラ・バヤデール」の感想を書く。

この日が千秋楽だった。







主演は、ニキヤが米沢 唯さん、ソロルが井澤 駿さん、ガムザッティが木村優里さん。

主要な役どころは、大僧正が貝川鐵夫さん、黄金の仏像が奥村康祐さん、壺の踊りが原田舞子さんで、アイヤは中田実里さん。

影の王国でのヴァリエーションは、五月女 遥さん、奥田花純さん、細田千晶さんだった。





年度末で超多忙だった上に、なんだか体調もイマイチだった私だが、結局「ラ・バヤデール」の全5公演中、4公演を観に行った。

相変わらず家族からは「オタク」とか「よく飽きないね」と呆れられはしたものの、美しいステージからパワーを貰ったおかげで、みるみる体調は回復し、先週はあんなに辛かった腰痛も軽くなったような…

新国立劇場バレエ団には、ひたすら感謝だ。




今回の公演での最大の立役者は、やはりなんと言っても米沢 唯さんだ。

初日と9日夜にはガムザッティを演じ、10日昼には完璧なニキヤとなって舞台を牽引された。

米沢さんは、ガムザッティも素晴らしかったけれど、ニキヤは更に濃厚に観客の感性に訴える踊りで、私は何度も涙をぬぐった。


その向こうを張る王の娘ガムザッティは、長年ずっと応援し続けている木村優里さんで、彼女がまた予想通りにゴージャス!

研修所生の頃から華やかさではピカイチで、新国立劇場バレエ団期待の星であることを1ミリも裏切らない存在感と美しさで、今回も圧倒的に魅せてくれた。

踊りとしては、私の気のせいか「絶好調」には見えなかったんだけれど、やれることは全部やるプロ魂で、ガムザッティとしての仕事は完全遂行されていたと思う。


この豪華な女性2人にはさまれた戦士ソロル…

井澤 駿さんは相変わらず素敵だったけれど、第2幕までは「もしや不調?」と思わされるハッキリしない様子で、なんだか私はモヤモヤしてしまった。

しかし第3幕からは人が違ったように素晴らしく、踊りにも眼を見張ったけれど、最後の力つきるシーンでの演技は、もしかしたら今回のソロル役では一番だったかも。

福岡さんも渡邊さんも見事だった中での「一番」と感じたくらいだから、井澤さん、本当に素晴らしかった。

井澤 駿さんのことは、彼が新国立劇場にデビューして以来ずっと期待して応援し、大絶賛を送る時もあれば、ガッカリして「愛がない」だの「成長がない」だの文句を言うこともあったけれど、やはりスターの器であることに異論はなく、これからも益々頑張って欲しいと強く思う。



…さて、「ラ・バヤデール」といえば、名のある主役の踊りと同列、いや、もしかしたらそれ以上に楽しみなのは、「影の王国」でのコール・ド・バレエだ。

私も計4回の鑑賞で、第3幕の “影たち” が登場する場面を、文字通りに襟を正し、息も殺して見守った。

ミンクスの音楽が、耳に優しく麻薬のように繰り返され、次々と現れるダンサーたちは一糸乱れず、決してミスの許されない緊張感が劇場全体を包む。

いったいどれだけの鍛錬を積めば、人はこうも美しく動き、静止することができるのだろう?

しかもこんなにピタリと全員が合い、少しの狂いもなく位置を取り、更に驚くのは、誰もが女性らしく柔らかでエレガントだってことだ!

それに、ここで “影たち” を踊る前に、第1幕や第2幕では他の役柄でもそれぞれに活躍され、ふつうに考えて相当にお疲れのはずなのに、大急ぎで衣装やメイクを替え、気持ちを作り直し…なわけだから、なんという精神力だろう!

だんだん一人一人が、「影」どころか「女神様たち」に見えてくる。


その中でヴァリエーションの1〜3を踊るのは、しみじみ大役だと思うけれど、私が鑑賞した4回中の3回は、「寺田亜沙子/池田理沙子/木村優里」組で、最終日だけ「五月女 遥/奥田花純/細田千晶」組だった。

新国立劇場バレエ団が誇る踊りの名手たちの競演で、どなたも主役に一歩もひけをとることなく、踊りが大きく堪能させられた。



話は第1幕に戻る。

「ラ・バヤデール」には、演技で大きく貢献する役がいくつかあるが、中でも、ニキヤに懸想する大僧正役は重要だ。

菅野英男さんも貝川鐵夫さんも、威厳ある一方で俗っぽさもドロドロ滲み、流石の存在感だった。


物語が動く局面に何度も関わるアイヤ役は、今村美由起さんと中田実里さんだったが、演技の呼吸が自然な上に効果的で、舞台を引き締めておられた。


私の大好きな「ジャンペの踊り」は、足から長く伸びたベールが手足に絡まらないか、いつもスリル満点で、初日はちょっと「!?」となった瞬間はあったものの、後の3回は見事なパフォーマンスで、見ていて本当に楽しかった。

10日は、前日にガムザッティだった渡辺与布さんがソリストを踊られていたけれど、やはり彼女は華のある美人で、これからの活躍を見ていきたい人。



第2幕の目玉は、なんたって「黄金の仏像」だが、私は3月3日に行けなかったので木下嘉人さんのは見逃し残念だったが、ほかの福田圭吾さん、奥村康祐さん、速水渉悟さんの踊りは堪能できた。

中でも今シーズン入団された速水渉悟さんには注目したが、やはり期待通りのキレキレの踊りで、客席も盛り上がり、今後の活躍に期待膨らんだ。


可愛らしい「壺の踊り」は、柴山紗帆さんと原田舞子さんで観たが、柴山さんの感じの良さと、原田さんのキュートさに心が和んだし、両脇の子役さん達もとても頑張っていて微笑ましかった。


「ブルーチュチュ」と「ピンクチュチュ」にも、名ダンサーが惜しみなく投入されていて豪華絢爛!


「ラ・バヤデール」って、第1幕から第3幕まで、どの場面にも見所が山盛りあって、本当に本当に大満足の演目だ!!

また近いうちに再演して欲しいし、その時は是非、私の大好きな木村優里さんのニキヤで観たいラブ

あと、速水渉悟さんのソロルも見てみたい。



新国立劇場バレエ団の次の公演は、今月末のDANCE to the Future だ。

若手の活躍も観られる公演になりそうで、今から待ち遠しい。





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