新国立劇場バレエ団の、デビュー前から熱烈応援してきた木村優里さんが主役を踊ると聞いて、これは行かずにおられましょうか!?
…というわけで、昨日は日本バレエ協会公演「白鳥の湖」を鑑賞してきた。
しかしそのために私は、パーヴォ・ヤルヴィが指揮するN響の定期演奏会を休むことになった
N響の定演は二日間あり、会員券を所持する日に都合が悪ければ別日に振り返ることは可能なのだが、前日の9日は9日で某劇場賛助会員懇親会があったりして、これと天秤にかけてもパーヴォN響を諦めることになってしまった〜
チケットを譲った妹からは、「どうせバレエと被ったんでしょ?」と、何も言う前から見破られておりました
さて…
東京文化会館は、1階席と2階席はぎっしり満員、3階席もまあまあ埋まり、4階以上は余裕あり。
日本バレエ協会のチケットは、出演者からノルマ分を譲ってもらい購入する昔の方式が今も主体のようなので、一般で買うとなるといささか面倒なのが困りもの… それが4階以上の空席の原因だと思った。
私個人は、大好きな木村優里ちゃん主演ということもあるし、東京文化会館でバレエを観る場合は1階席しか快適ではないので1階席に。
開演前には、総監督の岡本佳津子さんと、振付演出の篠原聖一さんとのプレトークもあり、今回の公演における「新演出」についてお聞きすることができた。
開幕。
新国立劇場バレエ団の公演でもお馴染みのバクランさんが指揮で、冒頭から既にドラマチック!
バクランさんもダンサーの1人と数えたくなるのも通常のこと (最前列真ん中の席だとジャマかも?… 唸り声もありますし)
悪魔と契約して、死んだ娘を蘇生させる、ロットバルトとオディールのシーンから始まる。
ひしと抱き合う父娘…
ロットバルト役の高比良洋さんは、昨年新国立劇場の「ダンス・アーカイブ」や(その時の感想)、米沢 唯さんが主演した日本バレエ協会「ライモンダ」でも拝見して、印象に強く残るダンサーなのだけれど、今回のロットバルトも見事の一言だった。
そして場面はすぐ明るい宮殿へ。
とても豪華な舞台。
秋元康臣さんの王子は、登場した瞬間から素敵で、ふだん新国バレエばかり観ている私には「知らずにいた宝石」を見つけた気持ち!!
東京バレエ団のプリンシパルでいらっしゃるのか…そうなのか……うっとりですわ…
そしてパ・ド・トロワには、新国から奥田花純さんが出演されていて、やはり格別に素晴らしかった。
奥田さんの踊りは、いつどんな役柄で観ても(あの酷い振付の「タンホイザー」ですら)、凜として優雅、しかも見る者を包み込むように温かく、余白が広い。
だから胸にすーっと入ってくる。
さーて、場面は変わり、いよいよオデットの木村優里さん登場。
その姿といい、動きといい、ほかの誰でもない華やかさと優美さに満ちあふれた優里ちゃんワールド!
まさに真ん中で踊るために生まれてきたような、全身からキラキラ輝きが発散されるプリマドンナだ。
彼女と踊ると、パートナーの男性はいつもの何倍か頼りがいのある王子に見える気がするのだけれど、昨日は、ただでさえ素敵な秋元さんだったので、ハレーションを起こして惹き合い、あっという間に濃厚なドラマが生まれた。
なるほど〜
木村優里ちゃんは、渡邊峻郁さんもいいけど、井澤 駿さんともいいし、秋元康臣さんとも素晴らしい。
逆に言えば、それだけハイクオリティの美しいパートナーに恵まれてきたってことかもしれないし、そうでなければ木村優里ちゃんとは似合わないから必然として…なのかも?
とにかく目の保養が過ぎて、王子とオデットのパ・ド・ドゥでは、贅沢で息が詰まりそうになった
オディールの彼女もまた、それはそれは素晴らしく、注目のグラン・フェッテでは何度もトリプルを入れる超絶技を披露し、爆発的な歓声と拍手だった。
幕切れは「悲劇」のパターン。
オデットが自殺、王子も追って自殺、するとロットバルトもオディールも滅び、愛し合う主役二人は天に昇っていく…というもの。
ここでの圧巻はコール・ド・バレエで、白鳥たちが強いっ!
これまで沢山の「白鳥の湖」を観てきたけれど、最後のコール・ド・バレエで、こんなに感動したことはなかったかもしれない。
演出も振付も見事なら、ダンサーの皆さんの気迫も凄かった。
泣きました。