彼女にメールをもっと送れば良かった。其れを悔いてゐる。
多分、何か、過剰に、「恋愛一辺倒は怖い」云った彼女とのバランスを取ろうとしてゐたのだろう。

昼過ぎに起きてから、七時間もバランスを取って、そして直ぐ寝て仕舞った。

心理学上の「投影」を信じたく成るのは、斯うして寝てから、起きた際である。
起きてから、彼女からメールが届いてゐるのを確認すれば特に。
彼女からの何通かの私信を読んで、私からの便りが殆ど無くて、今日は彼女は寂しかっただろうかと考える。
唯、実際はそうではなくて、其れは私が寂しかっただけである。
自分から連絡を取らなかった後ろめたさを誤魔化した上で、寂しさを彼女の物として空想しているだけだ。
或る意味で私は彼女からの着信を待ち続けてゐた。

バランスを取ろうとする彼女の態度に、バランスを取ろうとするのは、私が彼女の少しく後ろを歩んでゐるからか。
彼女の先を行ってゐれば、彼女が、自立的に恋愛したいと述べた時に、もう少し知的な応対が出来ただろう。
唯、本当には出来なかった。
彼女が、半歩だろうと、私(や私への恋慕)から距離を取ろうとする事に怯えて仕舞って、同等以上に彼女から形式的に距離を取ることで、互いの関係を等距離に置こうとする。
恋愛の深みに嵌りたくないと云う彼女は其れ丈大人である。
子供じみた対処法だ。加えて其の子供っぽさが、投影や無意識に依って現れるのだから性質が悪い。
何とか斯うして分析することだけは出来た。
どうにか書けた此れをウェブへ上げる事で彼女にも伝わるだろう。


明日は普通に過ごす。
面接の反省点。此は、声量、喋り方、背筋の伸び。何れも他に良い遣り方が有ったのではないか。加えて留年の経緯に関しても、もう少し話し方があったのではないだろうか。
一方で全般的には話した内容は良かったのではないかと思う。本当に行きたい企業であるから、良く調べて行ったので、質問も鋭かった。まあ…私にしては、と接続句を被せるべきだろうが。

しかし、何がどれほど結果に影響するかは人事担当者ではない私が想像しても詮ない事だ。

ただ。一つだけ、一つだけ自分を誉めたい事がある。

お前よくトイレ我慢したな!

家出た時から便所に行きたがってゐたのにな!
睡眠不足は思考のみならず気分にも悪影響だ。
今日は何時になく過密日程だった。
間に合いそうで間に合わないでも一寸間に合った説明会参加で幕を開け、其の説明会から一時間の後に次の説明会を受け、更に又一時間程後から集団討論へ行き、心斎橋の端から徒歩でいけ好かない男子と喋りながら歩き、郵便局へも行き、大学は諦め、帰った。
帰りは帰りで電車で眠り込んで仕舞い、揺れて両隣の会社員風情に迷惑を掛け、加えて寝過ごし自分に迷惑だった。
明日だけは何としても今日と同じ時間に起き、いや、今日より早く起き、栄養を取って家を出なければならない。
面接に万全で挑まなければ。
果たして大丈夫だろうか。不安から、対策を立てる必要を感じるが、朝にして、今は先ず寝なければならない。
本当に明日は自分次第である。
二つホームがある駅で、三月にダイアが変わった影響で、快速に乗れなかった。普通電車で其の駅へ来て、まさか待ち合わせしてゐる快速が先に行くとは思ってゐなかった。目の前に電車がいたのにだ。あと二三分余裕が有ると思ってイヤホンで音楽を聞いてゐて、車両に沿って歩いてゐて発車の合図を聞き逃した。馬鹿馬鹿しい。
朝から、と云うより昨日からずっと眠たくて苛々してゐた。彼女と電話したり昨日より長く寝たおかげで今日は何とか乗り切れる積もりがしてゐたと云うのに出鼻を挫かれた。
苛々した気持ちが焦り等と化学反応して、少しく悲しい心地すらして来た。帰って寝られたら。そんな事しか望んでゐないのに、何故叶わないのだろう。眠たい。
企業の説明会を受けた。「質問はありませんか」の問いに、何故皆黙って仕舞うのだろうか。就職活動が二回目で何も臆することが無い私の様な者が質問をする事は当然としても、他の参加者も早い者なら昨年の末から就職活動をしていただろうに。内定が欲しくはないのだろうか。是非私に譲って欲しい等と無益な意地悪を考えていた。

さてそんな事より、今日も彼女とデートをした。今日は大阪府池田市の一風堂へ行って、一風堂版チキンラーメンを食べた。百福元味と云う名前が付いてゐたか。出汁の味は確かにインスタントで無いチキンラーメンだった。其の事は非常に面白かったのだけれど、彼女の食べてゐた豚骨味のラーメンの方が好みだった。一口貰って其れを確信した。日清食品創業者の安藤氏がまだ存命の頃に一風堂の店主が直談判し店に百福元味を置く許可を得たそうだ。ラーメン業界に於ける其の様な遣り取りは面白く思う。日清・一風堂というメジャ所の意外な接点である。而して豚骨が好きと云う好みを揺るがす程の事はないのだった。一風堂の池田店でしか食べられないそうなので気に成る方は是非池田市へ来られたい。

一風堂を出て、又散歩をした。長い間寄り添って、ロマンティークな時間を過ごした。遠く聞こえる自動車の音や、低い所に湧いた雲や、少し強い風の流れ、ランナーの近付く気配等、細々とした環境が記憶に残った。それ以上に、彼女との会話や、手探りで知った彼女のシルエットが決して強くはないが持続した印象に依って銘じられた。此の時は、有益な意地悪を沢山した。何に動機する物だったのだろうか。
彼女の女子力に感心したので書き残して置く。

居酒屋で飲酒をした後、カフェーでコーヒーとケーキを求めた事。二次会も兎に角飲みたがる様な粗野な所が無く、女性的な感性を感じた。昼食に少し高い和食を食べ、電車の柔らかな座席で寝る事に優雅さを感じる様な貧しい我が精神とは根本から違う。

もう一つ。携帯ゲームをしてすらオシャレを学ぼうと云う実利的な所。此はまあ、可愛いなとフと思っただけで理由は無い。
明日必要な履歴書を八割書き上げてゐたから彼女と会えた。

廿時頃だったか。集まってブラブラと河原へ行き、花壇や鯉幟を観た。又、子供の如く近くの公園で遊具を使って遊んだ。其の合間合間に恋人らしい遣り取りもした。一度のデートで彼女の様々な表情を見るのは実に愉快である。春先は季節が人の気持ちを高揚させ恋愛し易く成ると彼女は云った。そうした季節性の昂奮や、会わず過ごした六日間の我慢が相乗して特別今日をより楽しくしたのだろうと思う。
精神の充足は斯うして得た。加えて、駅で別れ独り帰りながら斯う思った。即ち、公園ではしゃぎうんと運動したお陰で筋肉がほぐれたと。常より歩く機会は多いが、遊具にて全身を動かす様に機会は僅少である。依って人目の無いのを理由に公園で思い切り遊び身体的充足も得たのである。
留年したと云う事情を知らない親しい知り合いからメールが来た。
一々動じる事はもうしない。とは云え、何度も同じ事を説明する事や、親しい人に失望される事を厭悪して気は重く成った。
事情を説明して大袈裟な反応をされなかった事は救いだった。
例えば吃驚して電話等されたら辛かったろうと思う。

留年に依って内定を失った事を考えると、未だに悔しい。
大きくてこれからの時代を導引できる会社だったから就職が楽しみだったし、その中で優秀な(と云うのは目に見える例えば学歴が優れた)同期の一員に抜擢された事が誇らしかったからだ。
今は再び同じ様な思いをする為に彼方此方と会社を回ってゐるけれど、矢張り進路が決まる迄は失望(望みを失うだなんて、冗談みたいに現状にぴったりだ!)を引き摺る事だろう。
切り替えられた、前向きな思考とは別次元で其れは存在し続ける。
幾ら、容易く就活のコースもペースを制御出来ようと、挫折で成長出来たと考えようと、学生生活の延長を楽しく感じようと、別な問題なのだ。
例えば、絶対にスマートフォンに機種変更する積もりで携帯電話屋へ行って、セールスに負けて、どんな携帯電話と比べても使い勝手の良いガラパゴス携帯を買ったとしよう。所謂ガラケーの性能には満足するだろうが、スマートフォンへの憧れは捨て切れないだろう。詰まりは其れと似た様な事なのである。
本日の昼食は、がんこコムズ京橋店にて頂く。握り寿司とざるうどんのセットを食べた。
税込九百幾十円は今の私には過分な贅沢であった。和食を食べたいと思う余りに周りが見えなかったのだ。
寿司の種は、カッパ、マグロ、ハマチ、サケ、エビ、玉子、加えて生湯葉だった。どれも此も唯ひたすらに旨いとしか思わなかった。切り身が分厚く、脂が乗って、山葵や醤油に至る迄上品さが透けて見える様な味わいだった。うどんもコシがあってツルツルとして、薬味のおろした生姜も辛く無く控え目にしてきちんと味がした。
過分な贅沢と書いたが矢張り過ぎた物を食べたと思う。
ものの千円で釣りが来る旨い昼御飯ではあったが、其の千円が私の遣える金に占める割合は大きい。
一体贅沢と云うのは止められないもので、特に僅か数百円の差で大きな満足を得られる昼食に於いて止めようと積極的に思えないのである。
財布に入れ置く金子を初めから少なくして置くしか無いだろう。五月は目と鼻の先で、色々と入り用な時期である。
近頃、寝る時間が遅く成った。睡眠時間が元より長いので、寝るのが遅い事は即ち起きる時間の遅延である。
今日も其の所為で飯を食う時間も無く家を発たざるを得なかった(お陰で用事が済んだ後食べた、松屋のピビン丼を普段より旨いと思ったが…)。
生理学的に此の生活の乱れが好からぬ物であると共に、精神的にも留年に至った精神の弛緩と同質の物である事を感じ、矢張り好ましからざる物を感ず。
今日は風呂を上がったら速やかに寝る事を誓う。