茹で卵よりもっと彼女に伝えたい事があった。
彼女からの気の利いた贈り物のビアグラスの事だ。
貰ってすぐ使った。
が、今でなく改めて書こう。
今日もアルバイトをして、沢山の汗を掻き、同じ分か少し足りないか位の飲み物を飲んだ。
歩き回り頭を下げ続ける様な仕事なので、時にストレスが高じ、時に足が重く成り、又頭も上がらなく成ったりもした。
とは云うものの、僅かながらも成果を上げられたので満足してゐる。
本当はもっと沢山にしなくては成らないので、恥じ入るべきではあるのだろうが、周りと比較しても平均的以上の仕事はしたと云う自負も有り、そう云った時に何故だか強制的に立てられた目標こそが不当な様な気持ちすらするのである。


さて、そんな話がしたいのではない。
今日は、遂にローソンで茹で卵を買って食べたと云う記念するべき日なのである。
其の事を報告したくて仕方が無いのだ。報告の先は矢張り彼女だ。
マヨネーズが嫌いであるのに卵を大変好む彼女。
彼女が交際を始めた初期の頃から、何度と無く「ローソンの茹で卵が美味しい」と語るので、ずっと気に成ってゐたのだった。
何時か食べようと、又彼女にも幾度か宣言してゐたのに、ずるずると年を越し季節も二度替わって仕舞ってゐた。
俺が、実は余り茹で卵を好きではないと云う事が影響してゐたと思う。
だがしかして、遂に俺は卵を食べた。
手に取り、清算し、勢い良く包装を剥がし、殻を剥き、自分でも驚く事に一思いに口に丸ごと放り込んだ。
むしゃりと奥歯も前歯も使って噛み締めた後の感想は…。
敢えて秘して彼女に直接伝えようと思う。
俺は何時でも彼女との話題に飢えてゐるのだ。
今日は天気雨を避け続けた一日だった。
朝は駅へ向かうバスに乗ってゐる間だけ雨が降った。昼は説明会を終えてビルを出ると雨が降って止んだ形跡が有った。アルバイトの説明会へ行くと、事務所に着く寸前に雨が降り始め、終わると止んでゐた。地元に帰りバスを降り、家迄の道で又少し雨が降ったが私の方が雨雲より早かった。
傘を持って行くか迷った末に置いて出たにも関わらず濡れないとは、偶には幸せな事も有るものだ。

所でアルバイトをする事に成った。
思ってゐたのとは違う上に、条件も余り良くなさそうだ。だが、給料が良い。
もし途中で辞める事と成っても其れ迄の分は保障されてゐるのだし、損する事は無いと思い働いて見よう。
以前観た、ウィル・スミスの出てゐた「幸せのちから」でも、主人公は営業成績を上げる為に受話器に電話を戻す間すら惜しんで金融商品を売り込んでゐたのだった。
正に穀潰しでしかない私としては、一発逆転の為に彼の様に(あの映画は実話だそうだ)必死に成る事が必要だろう。きっと。
休みの日を指定出来るので、少し多めに取った上に、何時でもデート出来る様に殆どの休みを彼女の其れに合わせたので、後は運さえ良ければ続くに違いない。
終わって見ればきっと一夏の思い出である。
If you want something,go get it!


今日の面白かった事。
暫く振りにネクタイを締めた後、襟が立ってゐたらしい(歌、「ベンチとコーヒー」に出て来る人の様に…?)。
通勤途上の見知らぬ男性に指摘されて、慌てて直した。
彼はどことなく、今風の若者たる私に注意を与えるのに小さな勇気を振り絞った様子だった。一寸可愛らしい恥じ入る様な顔をしてゐた。
あのおじさんに感謝。


今日は昨日書いた様な用事を一遍に済ました。
即ち、大学へまず行き、教務課、学生課、生協事務所…と云う風にスタンプラリィの如く廻ったのだった。
生協は夏季休暇中に就き本来ならば終業してゐた所を、中に人が居る事を幸いと思って無理を聞いて貰い手続きした。斯う云った融通がまさか効くとは考えてゐなかったので、望外の喜びだった。
就職課の用事だけは、此れは他を回ってゐる間に窓口の受付の時間を過ぎて仕舞って無理だった。
ただ、折角来たのだからと思って、多様な業界の雑報のみ閲覧して来た。
石油も、その他資源も、繊維も、自動車部品も、設備も、どんな業界も先行きが暗い事で一致してゐた。
悪い時期に悪い場所で就職する事に成って仕舞ったと思う。一方で国外へ職を求めて出て行く程の勇気も無い。
国民の諸権利を巡る状況の如く、景気にもせめて漸進的に良い方へ向かって行って欲しいものだ。



さて、今日面白く思うた事。其れは大学を出てから長く散歩をした事だ。
私の大学の程近くを、人造の川が流れてゐる。
其の川は古くは農業にも流通にも役立てられてゐたそうだ。やがて明治年間に成ってから鉄道が其れに沿う様に引かれた。
其の川と線路とに挟まれた細い歩道を、時々住宅街にも紛れ込みながら、唯々二時間ほど歩いた。
大正時代に掛けられた事が欄干に掘られた、小さな石造りの橋や、時々現れる地蔵等が目を引いた。
長らく真っ直ぐに流れてゐた川が、湾曲するだけでも目の楽しみ足り得た。

しかし其れよりも俺の目を楽しませたのは、多くの鳥達であった。
裾の割れた服を燕尾服と呼ぶ語源と成った燕から、源氏物語では既に可愛がられてゐる雀、家畜化されたものが野生化したと云う複雑な出自を持つ土鳩。
彼等彼女等が所々に現れてはチヨチヨチュンチュンホーホーと鳴くのだった。
燕は川面の虫を捕える為の低空飛行を見せて呉れた。
雀は三羽が順々に人の家の軒先にまるで跳躍する様に入って行く可愛い風景を見せて呉れた。
鳩は、久し振りに大きな鳥を見た様な気にさせて呉れた。
長閑さと云ったらなかった。
夏の散歩は風流だとは思わない。何処か、徘徊や迷子に近い虚しさが含まれてゐると思う。
其れでも二時間も殆ど立ち止りもせずに歩きたく成る位、面白かったのであった。
今日はまず図書館へ行き、返却と貸出とを一遍に済ます。
三冊ずつが、邪魔にも成らず又読み易い量で有る事を経験的に知る。

其の後大学へ。受験する。
凡そ半年前に単位不足で留年した俺にとって、遅れてやって来た最後の試験だ。
点数が出て見る迄、実際最後の試験と成り得るかは定まってゐない。
学籍番号、名前は云うに及ばず、回答もしっかりと大型の用紙に表裏に渡って書き上げた。
先日受けたもう一方の講義も同じ様にした。
兎にも角にも及第を祈るのみである。


今日面白かった事。
本日の面白き事は、可笑しくせずして、小さな慶事だった。
二週間程前に説明会と筆記試験とを受験してゐた企業からの面接試験の招待だったのである。
受験から今日迄長く間が空いた為に、もう諦めてゐた所だったので、予期せぬ吉報であった。


明日為すべき事
一、生協の会員更新の手続き
一、奨学金関係の手続き
一、在学関係の手続き
一、内定を就職課へ報告
全て大学へ足を運ぶ必要がある。生協、学生課、教務課、就職課。何と云う役所仕事か。
総合的な案内を欠いてゐる所に近代的組織の不具合を見る様だ。と云うのは唯の愚痴だが。
午後五時迄に行き、済ます事。出来れば朝の内に済ませる事。
寝る時間が遅く成るばかりの近頃なので、何とか今日はそろそろ寝る事にして、明日早く家を出たい。
せめて八月は彼女と同じ位アルバイトしようと思い、タウンワークを見て電話した。
すると、人気のアルバイトなのかどうか、説明会が有ると説明された。
明後日からでも働く気が有ったので、予定を先延ばしにされた様で少しばかり萎えた。

其の問い合わせの電話をした際、相手の声が遠くに消えて行き、最後には何も聞こえなく成って仕舞った。
恐らく此方の声は聞こえてゐるだろうと考えて、違う電話で掛け直す旨を一方的に告げ、切った。
勿論すぐに掛け直したが、斯う云う不具合は実に困る。
つい先日も恋人に電話をしてゐる時も全く相手の声が聞こえ無いと云う事が有った。
何か電話として致命的な不具合を抱えてゐるのだろうか。
スマートフォンに換える良い口実かも知れない。


今日面白かった事。
玄関を出た所に蝉が居た。
蝉は、絶命寸前の飛ぶ元気は無いが鳴く元気は有る蝉だった。
俺が全く気付かず跨いで通ると、ひっくり返ったまま、「じじじじじじじじ!」と鳴いて、
凄く吃驚して、こっちまでひっくり返りそうに成った。
帰って来ると居なかった。後一日位楽しめて居ると良い。
アクセス解析を見ると、「六月朔日 読み方」を検索し俺のブログに辿り着いた人がゐた。
朔日は、「ついたち」と読みます。
世界の中心で、愛を叫ぶの主人公は長男だから朔太郎だった。又、其の元ネタとして文人の萩原朔太郎が挙げられてもゐました。

さて。

今日一番面白かったのは、妹と居た時の事。
俺がくしゃみをしそうになり、
「ハッ…ハッ…くしゃみが、」
と呟くと、先制で、
「くしゃみ!」
と云われた。
「くしゅん!」
とくしゃみをすると、妹は
「あああ!くしゃみする時くしゃみって言わへん」
と悔しそうだった。
しかし、その通りだ。
彼女が俺の就職内定祝いに二人切りで酒席を設けて呉れるはずだった。
しかし彼女の想定してゐた店はシャッタが降り、そもそも彼女は外食に足る金を持ってゐない事が分かる。更に彼女の使う地銀のキャッシュカードは取扱時間外で金子を引き出せず酒席は破談した。

しかし、単なるついてゐない話で終わらない所が今日のデートの愉快な所だった。
キャッシュカードを使えそうなATMを探しがてら二人して歩いてゐると其の土地の夏祭りを見付けたのだった。

彼女は持ってゐるだけの金員で、かき氷、唐揚げ、オムソバ、ジュースを奢って呉れた。
かき氷が一番当たりだった。
一般にかき氷のシロップは色味が違うだけで味は同じだと云う。しかし、此は梨の味がし、又マンゴの味がした。そもそも色の違いだけで気分を売り出すにしては地味な果物である。味のある予感はしてゐたが正解だったのだ。

盛大な盆踊りも見た。櫓で和太鼓を叩いてゐたのが大学生と覚しき女子で驚いた。凛々しい顔立ちだった。

走り回る子供や、はしゃぐ小中学生も見た。活気に触れた。

雨に降られると云う事故は有ったが彼女の傘で凌げた。

屋根付きの駐輪場で雨宿りがてらカップルらしくくっついてゐた。
俺は自転車通学をした事が無いが、自転車通学をする高校生の様な新鮮な恋愛をしてゐるみたいで面白かった。

唯二つのみ、今回のデートを振り返り悔しい事がある。
一つは、祭の写真を一枚撮る事すら忘れて仕舞ってゐた事だ。
重ねてもう一つは、彼女の写真すら撮らなかった。薄くて手触りの良い生地で、首もとが広く開きアクセサリの似合う、水玉柄で、フリルも付いた新しい洋服姿。
不覚。
就職活動の進展を全く書いて居なかった事に気付く。

先ず、先日内定が出た。
必ずしも私が希望する業界では無い。
しかしながら、ただただ嬉しい。一応の責任は取れた訳だ。
卒業を残すのみである(試験は未だ済んでゐない)。

ただ、会社への返事は保留している。欲張りだと思う。しかし将来を決める余裕を人よりも多く得ながら早々に結論を出すのは勿体無くはないだろうか。秋採用や春先にも未だ機会は有る筈だ。
そうした末に結果が出ずとも其れなら其れで今拾われた会社で懸命に働くのみだ。又、未練を絶てた方が良いに決まってゐる。
明日から又、奮闘しよう。
夏休みはしかしアルバイトもして置きたいが。
彼女が給料日を迎えたので御馳走を奢って貰った。
元々彼女が店を調べ予定を立てて呉れてゐたが、俺が疲れに任せて寝こけてゐる間にラスト・オーダの時間が過ぎて仕舞ってゐた。
其処で本来と予定は違うが、HERBIS PLAZA ENTは五階に有る「笹」と云うモード和食とやらの店へ這入った。

「笹」ではコース料理のみが提供される。
吟味の末、二人とも「ナンバーテンスペシャル」と云う十周年を記念したコースを頼んだ。
主役の料理と、締めとは選べる様に成ってゐた。
主役は、鶏肉の揚げた物か、牛肉を焼いた物かのどちらかで、締めの料理にはカレーか茶漬けかだった。

彼女も俺も食通ではないので、出て来た料理が和食の流行なのかは判然としなかったが、美味しかったので良し。
特に、締めの、昆布茶を掛ける、桜海老の天麩羅の入った茶漬けが旨かった。
メイン・ディッシュは二人共別々の物を食べたが、直観に従って茶漬けは揃って注文した事は間違いでなかった。
普通の茶でなく、昆布茶と云うだけで斯うも茶漬けの風味が違うかと二人で驚いた。


多少成金的な趣味が見えなくもないが食器も面白かった。
たっぷりと余白を取って、其処に鳥や草花が蒔絵の様に描いてあったり、妙に大きな瀬戸物だったりした。
茶を注いで呉れるポットも、花瓶の様な、はたまた正倉院にでも有りそうな、くびれた硝子の器で涼やかだった。

全席禁煙なれども、HERBIS PLAZA ENTは、北側の出口を出て、旧郵便局を望む歩道に灰皿が有るので特に問題無し。