Jin side 28-1.


今のままの僕で、ヌナと一緒にいられる?


*******


冷えた体はシャワーで暖められたし、なんと言っても心が温かかった。


ヌナと、ちゃんと向き合えた気がする。


ヌナ、怒ってるとき怖かったな。

あんた*、だって。


*韓国語に適当な「あんた」という訳はなく、「そっち」などに訳されるそうです🙇‍♀️


普段そういう、乱暴な言葉を本当に使わないから。

知らないのかと思ってた。

ちゃんと知ってて、使っていなかったんだ、ヌナは。


あんなふうに気持ちを韓国語で話してくれるんだ。

勢いで日本語で話しても良さそうなところを、僕の国の言葉で話してくれた。

きっと本当は、まだまだ言いたいことあるんだろうな。

僕が逆の立場なら、ヌナと同じことはできないや。


すごいな、ヌナ。


ヌナ。

ヌナ。

ヌナ。



曇った鏡にニタニタ笑う自分の顔を見つけてギョッとした。


おっと...

バスルームに長居は禁物!


早くヌナのところへ行かなきゃっ!



『ヌナ!映画何観るか決まった?』


あ...


そこには、優しく眉を下げて子どもみたいな顔で眠っている、僕の愛する人がいた。


...


...


...


「ジ...ン...」


なっ...


なんだっ!?

かわいすぎるっっ!


周りの時間が止まったまま。

この空間にはヌナと僕との二人きり。


暑い、暑いぞ。


空調が壊れてる?

いや、この暴発しそうな熱は、確実に僕の内側から発生している。


ヌナの小さな寝息が、僕の鼓膜を支配する。



『...ダメだ...』



頭、冷やそう。

このままだと、何しでかすか分かんないや。



静かに部屋を出て、ドアにもたれる。

室内とは裏腹、廊下の冷えた空気をすぅ、っと胸に入れる。


フロアの突き当たりにある自動販売機でミネラルウォーターを買い、一気に飲み干す。


ヌナ、多分。

やっと眠れたんだ。


今夜だけでも。

ううん。

ヌナが眠れるなら、毎晩でもそばにいよう。


僕ができることを見つけて、それを全部やる。


僕のすることが。

犯した罪滅ぼしになってしまわないように。

ヌナのため、といった偽善にならないように。


僕の全てで、ヌナを愛すんだ。


つづき→