Jin side 28-1.
今のままの僕で、ヌナと一緒にいられる?
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冷えた体はシャワーで暖められたし、なんと言っても心が温かかった。
ヌナと、ちゃんと向き合えた気がする。
ヌナ、怒ってるとき怖かったな。
あんた*、だって。
*韓国語に適当な「あんた」という訳はなく、「そっち」などに訳されるそうです🙇♀️
普段そういう、乱暴な言葉を本当に使わないから。
知らないのかと思ってた。
ちゃんと知ってて、使っていなかったんだ、ヌナは。
あんなふうに気持ちを韓国語で話してくれるんだ。
勢いで日本語で話しても良さそうなところを、僕の国の言葉で話してくれた。
きっと本当は、まだまだ言いたいことあるんだろうな。
僕が逆の立場なら、ヌナと同じことはできないや。
すごいな、ヌナ。
ヌナ。
ヌナ。
ヌナ。
曇った鏡にニタニタ笑う自分の顔を見つけてギョッとした。
おっと...
バスルームに長居は禁物!
早くヌナのところへ行かなきゃっ!
『ヌナ!映画何観るか決まった?』
あ...
そこには、優しく眉を下げて子どもみたいな顔で眠っている、僕の愛する人がいた。
...
...
...
「ジ...ン...」
なっ...
なんだっ!?
かわいすぎるっっ!
周りの時間が止まったまま。
この空間にはヌナと僕との二人きり。
暑い、暑いぞ。
空調が壊れてる?
いや、この暴発しそうな熱は、確実に僕の内側から発生している。
ヌナの小さな寝息が、僕の鼓膜を支配する。
『...ダメだ...』
頭、冷やそう。
このままだと、何しでかすか分かんないや。
静かに部屋を出て、ドアにもたれる。
室内とは裏腹、廊下の冷えた空気をすぅ、っと胸に入れる。
フロアの突き当たりにある自動販売機でミネラルウォーターを買い、一気に飲み干す。
ヌナ、多分。
やっと眠れたんだ。
今夜だけでも。
ううん。
ヌナが眠れるなら、毎晩でもそばにいよう。
僕ができることを見つけて、それを全部やる。
僕のすることが。
犯した罪滅ぼしになってしまわないように。
ヌナのため、といった偽善にならないように。
僕の全てで、ヌナを愛すんだ。
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