東条side 23-2.
→つづき
氷が溶け、薄くなったコーヒーを飲み干す。
「さ、もう帰れ。遅くなったって俺は送っていかないからな。彼氏くん呼べよ」
「ははっ...はい。あ、でももうひとつ聞きたいことが」
ん?
なんかあったか、俺が説明しなきゃいけないこと。
「どうして...先輩は私が夜間せん妄に悩んでるって気付いたんですか?」
え、それは...
「だって、お前の部屋の...」
...!!!
「いつ、私の部屋のドア見たんですか...?」
つーっと、冷たい汗が背中を伝う。
彼氏くんに落とした爆弾が、不発のまま俺の元に返ってきたわけだ。
事実だけ、述べればいい。
酔っ払ったお前を、部屋まで介抱した時に見たのだと。
でも。
自分の犯した失態とも言える出来事が頭をかすめ、うまく話せない。
同時にあの夜の光景が鮮明に蘇り、目の前の唇を凝視してしまう。
瑞上が起き出さないように。
起き出したとしても止められるように朝が近くまでそばにいたことも、言えない。
不思議そうに見つめる瞳を背けたくなる。
「うん。説明...しようか...その前に」
コーヒーのおかわりが必要だ。