44-1.
どこまで。
足を踏み入れればいいか。
*******
「日曜...か...」
メッセージアプリ、開かなきゃ良かった。
何かしら返事、しなきゃだよね...
嬉しくないわけじゃない。
でも、心の底から喜ぶには程遠い。
ジンと再会して。
やっと会えて。
しかも、ジンは私の元へ戻ってきてくれた。
それなのに、ジンと過ごすのが怖い。
何もかも放り出して、ジンのことだけ考えてしまいそうになる。
時間を忘れて、ジンを愛してしまいそうになる。
醜い独占欲を曝け出す勇気はないのに。
ジンを目の前にすると、それに支配されそうになる。
ジンに触れたら最後。
私が私でなくなってしまいそう。
そんな私を、ジンは受け入れてくれるだろうか。
前の私は、どんなだったっけ?
ジンが好きになってくれた私は、どんなだったっけ?
私って一体。
どんなだったっけ。
*******
『ヌナッ!』
待ち合わせ時間ぴったりに着いた先には、既にジンが立っていた。
満面の笑みで、大きく手を振っている。
ジンの体が内側から放つ光が眩し過ぎて、息を呑む。
『ジン、お待たせしてごめんね、待った?』
『ううん!あ...いや、待った』
「えっ?」
『ヌナを待っていたくて早く来たんだ』
難しいことは考えないで、その腕の中に飛び込めたら。
どんなに幸せだろう。
つづく→