42.
私にとって。
待ち侘びた再会だった。
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一生懸命に話すジンを眺めている気持ちは、積年の思いで手に入れた芸術品に対するそれのようだった。
自分でも不思議なくらい。
ジンの話や状況を理解するのに時間はかからなかった。
ジンの「二度目の過去」の話は極論、私の身の上には関係のないことだから。
聞き流していても良かった。
ごめんね、ジン。
ジンが話すことは、どんな内容でもいいんだ。
結局は、私のところへ戻ってきてくれたって事実が手元にあるから。
会いたくて。
呼びたくて。
触れたくて。
今度こそ。
ジンに私の全てを受け入れてもらえるように。
1秒でも早く。
「現在」のジンと私が、同じ時間軸に身を置くことが最優先。
あれこれ構ってる暇はない。
「二度目の過去」に関わる全ての事象については、なかったことにしたい。
何も見なかったことにしたい。
何も聞かなかったことにしたい。
昇華することに時間を割きたくない。
もう、「過去」に。
「彼女」に。
傷付けられることは避けたい。
心が。
既に限界だから。
そこにいて。
ヌナと呼んでくれさえすれば。
もう私には。
何もいらないから。
ジン。
私はまた。
自分勝手にあなたを愛してしまう。
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あの時のビビンバは。
味がしなかった。